部活動の指導は、授業や校務分掌とは違い、法律に定められているものではありません。
 
 あくまでも「課外活動」でしかなく、まあ、簡単に言えば「やってもやらなくてもいい」っていう状態になっています。
 
 文部科学省も、そういうスタンス。
 
 自治体や学校のシステムや雰囲気によっても実情は異なりますので、僕のこれまでの勤務校を一例としてご紹介します。
 
 3月末に人事異動が発表され辞令が交付されると、すぐに新任校での業務がスタートします。
 
 各学校の人事異動の規模は、年齢構成や生徒数の増減、必要な科目教員の配置などで様々。
 
 勤務年数も、最近体罰で問題になった教員のように、18年間同じ学校というのはさすがに少ないですが、商業科や工業、家庭科や芸術科など、もともと教員数や設置単位数が少ない科目の先生方は、長くなる傾向にあります。
 
 さて、4月に入ってすぐ校内人事にとりかかります。
 
 学校には、教務部・生徒指導部・進路指導部などの「校務分掌」と呼ばれる部署があります。
 
 学校によって呼び名は違うかもしれませんが、自治体から各部の部長になった先生方には「主任手当」が支給されますので、その種類や業務内容は、自治体によって規定されています。
 
 大規模な学校で独自で設けている部署などがある場合には、手当はつきません。
 
 この「部長」、大規模校であれば、人事異動で「出る」人がいても、「残留」する人が多いですから、事前にその中から新「部長」を決めておくことが可能ですが、小規模校はそうはいきません。
 
「残留」組に、部長の「適任者」が人数分いるとは限りませんから、人事異動で新しくいらっしゃった先生に、いきなり「進路指導部長」とかがあたる可能性も十分あります。
 
 ああ、かわいそうに。。。
 
 その「部長」人事が終わると、担任・副担任、そして全教員の各校務分掌の割り振り、となるわけです。
 
 部活動顧問の校内人事は、多くの場合、一番最後になります。
 
 本県の高校の多くは、転任教職員も含めて希望調査を取ってくれることが多いようです。
 
 ただし、転任・新任者の希望が通るとは限らない(笑)
 
 僕も、硬式テニスがない学校に異動になったりすれば、もちろんテニス部は持てません。
 
 これまでも、バレーボール部、ソフトボール部、バスケットボール部の正顧問・副顧問などを担当した経験があります。
 
 基本的には、異動の転出によってできた「穴」をどう埋めるか、になってしまうことが多く、「残留組」の希望(ほとんどは現状維持)が優先されがち
 
 転任・新任の先生に、誰も担当しない部活が押しつけられる、というのが現状です。
 
 また産休代・育休代で入った常勤講師の先生は、元の先生が復帰されたときに混乱のないよう、元の先生が担当していたものをそのまま任せられることが多いですし、非常勤講師の先生は、授業時間数での給与計算しかされていないので、校務分掌や部活動はあたりません。
 
 実習助手の先生は、自治体・学校によって様々です。
 
 僕が他の部活動の顧問をやっていたときには、他校で正顧問として監督業務をされていた実習助手もいらっしゃいましたが、中には、会計だけを担当して引率業務はできない、という学校もあります。
 
 最終的な部活動顧問の委嘱は、校長名で行われますが、実際の割り振りは部活動担当(多くは生徒指導部)の係の先生が行います。
 
 現在勤めている学校は、ちょうど前任のテニス部の顧問と入れ替わるように異動があったこともあり、希望通りテニス部の顧問になることができました。
 
 担当の先生には、僕のわがままのせいで、他の部活動でバランスが悪くならないようご尽力いただいて、非常にありがたかったです。
 
 逆に、前任校では、全く希望を聞いてもらえませんでした。
 
 テニス部はなかったのですが、他に「これをやりたい」と思っていた部活があり、それをやりたいと毎年希望を出していましたが、一回も採用されず(笑)
 
 僕が転勤する前から顧問をされている先生がいたからですが──正直、毎日熱心に指導をされているようには見えませんでした。
 
 僕はその競技を以前に他校で長年指導していた競技だったので、技術も戦術も身につけている自信があり、その先生にも負けないと思っていたのですが。。。
 
 そんな「やったことがある」ぐらいのことでは、評価されません。
 
 優勝したことがあるとか強豪校で監督していた、などの実績がなければ、ただの自己満足として処理されてしまう学校でした。
 
「他のたくさんの先生にも、無理を言ってやってもらっているので」
 
 とごり押しされ、ふたを開けてみれば、運動部で希望の顧問ができていないのは、僕ともう1人のたった2人。
 
 どうせなら、「嘘」はついてほしくなかったんだけどな。。。
 
 結局は担当教員や生徒指導部長、さらに裏で「アドバイザー」面(づら)して仕切ろうとする体育教員との「人間関係」が優先されていたようで、現に、
 
「○○先生に頼んで、△△の顧問にさせてもらったよ」
 
 と、吹聴していた人がいるぐらいでした。
 
 部顧問担当が発表されるたびに、強い「アウェー感」を感じて、毎年悔しい思いをしたのを覚えています
 
 まあ、そんなこんなで、担当教員が中心となり生徒指導部で揉んだ案を、校長が承認する、という形になり、そこで初めて、部活動のスタートです。
 
 自分の担当する部活動に不満をもつ教職員がいる一方で、その部顧問に不満を持つ生徒も生まれてきます。
 
 Yahoo!知恵袋などを見ていると、そういう悩みがいっぱいある。
 
「知らない、やったことのないスポーツだから、部活動はやらない
 
「やらないんじゃない。できないんだから、しようがないじゃないか。悪いのは学校だ
 
 という教員は、悲しいことではありますが、死ぬほどたくさんいます。
 
 僕は、そういうのが絶対イヤだったので、知らないスポーツでも生徒と一緒に一生懸命やってましたが、そういうことにさえ、
 
「あいつ、バカじゃないか?」
 
 と思っている教員も、やはりいるわけで。。。。
 
 文部科学省の人、この現状をどうにかしてくれないかな。。。。