先程、藤井聡太八冠が叡王戦で伊藤匠七段に負けて失冠しました。大いなるライバルの登場になります。伊藤叡王が誕生しました。実に面白い。勝負の世界は、こうでなくてはいけない。ただの傍観者は、その様に面白がっております。僕は将棋は好きですが、大して強くはありません。初段にすら届かない棋力です。ただ、勝負の妙味の面白さは感じているつもりです。

 

 藤井聡太という天才棋士は、将棋史に燦然と輝く偉大な棋士になります。しかし、不幸なことに彼を打ち負かす棋士が居なかった。僕は藤井聡太ではありませんが、彼は八冠というタイトルには未練はないと思います。未練があるとしたら、命を削る様なライバルがこれまでに登場していなかったことではないでしょうか。その様に感じています。負けたということは、次なる目標が生まれたということに他なりません。負けて悔しい気持ちはあるかと思いますが、次なる再選に向けて、藤井聡太さんはたぎる想いで一杯なのではないでしょうか。

 

 将棋界がとても楽しくなりました。他にも、永瀬九段、羽生善治九段、渡辺明九段、豊島九段と挙げだしたらキリがないくらいにタイトルを狙う強豪がタイトルを狙っています。真の天才が集まる将棋界ですが、正直言いましてトップ棋士の棋譜を見たところで、

 

 ――何故そんな手を打ったのか?

 

 ……が、ちっとも分からない僕ではありますが、将棋の面白さは感じているつもりです。将棋の面白さは、勝負の駆け引きになります。そこには対話がありました。自己主張と自己主張とのぶつかり合いの中で、相手のことを何処までも何処までも知ろうとする、恋愛にも似た欲求があると思うのです。藤井聡太の最大の不幸は、その対話のレベルに見合うだけのライバルが居なかった。今回、彼は彼の想像を超えるライバルに打ち負かされたのです。そこには、悔しくとも望んでいた好敵手の登場に歓喜したのではないでしょうか。

 

 全ては、僕の妄想になります。でもしかし、藤井聡太さんは、きっと楽しんでいるんだろうな~と、感じている僕が居ます。何はともあれ、伊藤叡王の誕生おめでとうございます。そして、藤井聡太七冠の益々のご活躍をとても楽しみにしています。