幸せは誰のもの
帰宅途中、コンビニに入ろうとしたときドアですれ違った浴衣の男。
手には紙パックの飲み物。
コンビニで買い物を終え自転車で家まで漕ぎ出す。
途中さっきの男を追い越そうとしたそのとき。
男は飲み終えた紙パックを路上に捨てた。
おそらくデート帰りなのだろう。
近隣であった花火を見に行った帰りなんだろう。
男が浴衣を着るなんて女性に頼まれなければまずないはず。
若ければ特に。
女性と一緒ならやさしくいい人。
彼女のいないところでは悪行三昧。
そんな人間が幸せでいる現実。
こんな世の中。
ふざけるな。
本当の愛は拒まれ、偽りの愛は受け入れられる。
これが現実だ。
ならば悪に心を売ろう。
純粋に愛しても受け入れられないのであれば、不幸を願おう。
すべての幸せを不幸に。
別れろ。
そしてオレの元へ来い。
さらなる不幸を与えてやる。
オレだけ幸せになり、あなたには最上の不幸をプレゼントしてあげよう。
不幸。
素晴らしいではないか。
悪に染まれば、たとえ愛する相手が不幸でも高笑いしてられる。
オレのいるべきところは悪なのだ。