烏蘭のブログ
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氷と炎の歌、ウルフ・ホール、罪人を召し出せ

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海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』に夢中になって次のシーズンの展開が待ちきれず、


原作であるところの「氷と炎の歌」シリーズに手を出して以来、物語を求める熱が再浮上している。


イギリスにとっての神話としての指輪物語と対比してジョージ・R・R・マーティンをJ・R・R・トールキンに


並べる見方も納得できてしまう。


各エピソードごとに巧みなクリフハンガーを仕込む名人芸的な手腕や登場人物の描きこみ。


彼らが有機的に関連して物語の厚みが増していく展開の妙。


ダン・シモンズの「ハイペリオン」シリーズのような、過去のジャンル作品へのオマージュに満ちた通好みの配慮(自身の過去作、例えば傑作人狼もの中篇『皮剥ぎ人』なども)。


薔薇戦争やそれを下敷きにしたシェイクスピアの史劇やブリテン史における、史実エピソードの反映。


小説における神の視点問題を複数の視点人物と全てをウィアウッドの樹やスキンチェンジャー(皮潜り)や


三つ目の烏で雄弁に回答する発想。


語ればきりがない、むしろこのシリーズについて談義できる相手に事欠いて欲求不満が募る次第。


ファンタジーモノは随分と忌避するようになったが、史実が下敷きにあると趣向も変わる。



ここ数年来、ノンフィクションや歴史、人文科学ものばかりの読書傾向も、変化していく機運。


とはいえ脳内に培った知識の樹にマッチするほど読書はスムーズに楽しめるもの。


まずは歴史ものでお気に入りのチューダー朝モノ。


ヒラリー・マンテルの『ウルフ・ホール』、『罪人を召し出せ』。


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映画「エリザベス」シリーズ以来、海外ドラマ『チューダーズ』やフィリッパ・グレゴリー「ブーリン家の姉妹」シリーズ、ヒバート・・・


映画『わが命つきるとも』で国家(すなわちヘンリー8世)と対決して処刑された「正義の人」トマス・モアのライバル、


トマス・クロムウェルを悪漢ではなく魅力あふれるスーパーテクノクラート、能吏として描いた歴史小説。


なにより引き込まれるのが鍛冶屋の息子として生まれ、少年期に家出して欧州大陸に出奔し、兵士や料理人や会計士や、


法律家として苦労し叩き上げられ立身出世した男の凄さ。


最も実りあるべき時間を無為に浪費し、そのツケを日々、苦々しく噛み締める人間には眩しくもある。


トマス・クロムウェルは(作中では常に「彼」と呼ばれる上にやたら「トマス」と名のつく人物が多くしばしば混乱する)


自身を頼る若者には常に、世界中に扉を開き彼の邸宅は学生や徒弟や見習いや外国の商人がひしめく。


彼は賄賂や役得、なにより国王からの恩寵で財を為し、マッカーシズム顔負けの魔女狩り粛清劇を演出しもするが、


彼の好ましいと思う人物や友人の息子は懸命に保護する。


理性的な反面、恩顧を受けた師匠の弔い合戦をも忘れない情の厚さも備えている。


全三部作のうちの二部までが彼のコントロールの元に過ぎ去った。


だが転落は史実のとおりで彼の郎党たちがどうなるのか、撒かれた次の世代の種、もろもろの構想が


絶対王政を確立していく上で(クロムウェルら官僚がそれを支えているのだが)打ち砕かれていくのが楽しみで怖い。


ヘンリー8世、神学者も志した英邁なる王、自分にとって常にロバート・ショウの無神経で快活で気まぐれで、


アンビバレンツで、一番好きな王のイメージ。


彼が果たしてどこまで宗教改革と絶対王政の確立(絶え間ない嫁探し、無用の嫁一族の排除という粛清劇)を志向していたのか謎だが。


自分の宗派がアン・ブーリンとヘンリー8世の結婚のために成立した英国国教会から分裂した流れにあるので


なおさら感慨深いのかもしれない。

ザ・イースト

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映画ザ・イーストはおもしろかった

公害をもたらす企業のトップに対して宗教的な紐帯をもつエコテロリストが天誅を加えるといった筋書き

非合法的な手段で「社会正義」を目論むテログループに、標的となる企業の依頼を受けてそうしたカルト

集団に潜入し摘発する企業の

潜入スパイの物語

しかしキリストと12使徒を思わせる濃密な「家族」に溶け込むうちに美しい女スパイは彼らに洗脳されていく

実際にアウトロー生活を体験し、エコテロリスト集団に参加した経緯を持つ、脚本と主演を兼ねたブリット・マーリングは
第二のキャサリン・ビグローとして注目を集めるのでしょう

社会的なジレンマを描き出すは映画の醍醐味といえるのでしょう、絶対悪が相対的な正義を
もたらす皮肉もおもしろい

当然、啓蒙的な近代映画に慣れたコンプライアンスな観客には反発を招く内容だろう

優れた海外ドラマや映画を和製にローカライズされるならどのような具体的な素材が用意できるかを

妄想するのが趣味な身としては、例えば日本の赤軍グループや311関連が連想される、そういう意味では怖ろしい映画

ちなみに題名の「ザ・イースト」はオズの魔法使いの「東の魔女」を示しているという

曰く、ワシントンを中心とする東部エスタブリッシュメントがもたらす災厄に見舞われるカンザス云々

エコテロリストはともかく、濃密な組織に潜入するスリルは日常でも比較的容易にできるのだろうな

宗教や政治団体や特定の企業はともかく、怖ろしくも興味深い体験がもたらされるのだろう



記憶整理

インプットばかりでなくアウトプットしていかないと記憶の整理にはならないから、つらつらと


記憶も時が経てば錯綜する、事実誤認はご容赦



俺の好きなマルティン・ニーメラーの言葉


ナチスがコミュニスト(共産主義者)を弾圧した時,私は不安に駆られたが,

自分はコミュニストではなかったので,何の行動も起こさなかった。

その次,ナチスはソーシャリスト(社会主義者,労働組合員)を弾圧した。

私はさらに不安を感じたが,自分はソーシャリストではないので,何の抗議もしなかった。

それからナチスは学生,新聞人,ユダヤ人と,順次弾圧の輪を広げていき,

そのたびに私の不安は増大したが,それでも私は行動に出なかった。

ある日ついにナチスは教会を弾圧してきた。

そして私は牧師だった。

だから行動に立ち上がったが,その時は,すべてがあまりに遅過ぎた。



金正恩も独裁続けたら粛清して正解ですね

東條も子飼いの憲兵を駆使して相当、弾圧したけど

絶対国防圏の崩壊で辞任しなければ皇族や一部将校たちに暗殺されてたな

その意味では独裁には至らぬ不徹底ぶり

226もある意味で粛清を招いたな

ソ連も粛清しなければ独ソ戦のある段階でクーデター起きてたかもな

あらゆる思想を持った人間が集まってロシア革命に便乗したわけだしな

フランス革命も粛清の嵐だったけど、それでも山岳派からユルトラ(超王制主義)、立憲君主から帝政まで

無茶苦茶に、あらゆる国政が噴出したしな

まぁトゥハチェフスキーはもったいなすぎたけど


モルヒネデブも昔はイケメンだしリヒトホーフェンらの同僚やったしね

まぁダンケルクといいアシカといい本土防空といいスターリングラード空輸といい無能すぎたけどw

ゲッベルスこそ唯一の知性だったね、ひところはヒトラーを排除してナチス左派を代弁して党を乗っ取ろうとしただけあるw

シュペーアはナチスの良心やな、ネロ計画つぶして完全な戦時体制に移行させただけでも

ただ、彼の場合はある種、確信犯というか果たして本当にユダヤ人強制労働を感知していなかったかどうか

ニュルンベルクではゲーリングと好対照、そしてどちらも狸だわ

東條も陸軍大臣のころは現役武官制を駆使しての内閣への突き上げの筆頭だったけど、

それを総理にして押さえつけるってのは確かに陛下の英断

ただ、明治憲法下、首相の権限が弱すぎて閣内全会一致に縛られるとかであれだったから、

登場は無数の大臣ポストを兼任してようやく、強権を駆使できたわけだ

その辺はムソリーニも同じことしてるけどw

しかし統帥権干犯などという言いがかりで出先部隊が政権はおろか参謀本部まで無視するという


制度的な欠陥があるから、今の象徴天皇制こそ国体の護持の理に叶っているよね

まぁ、陛下が叱責して内閣総辞職という間接的な介入は何度か・・・w

だからタイとかのクーデターと、それを収める王様が正座させて説教という流れが
コミカルで可笑しい



>>フランス革命も粛清の嵐だったけど、それでも山岳派からユルトラ、立憲君主から帝政まで


だがしかし、それらの激変する政情でもがっちし生き延びて政権の枢要な地位を維持した人間が二人いる

一人はメッテルニヒと並び称される外交の天才、タレーラン

もう一人は日本の警察制度の模範にして後の独裁国家の秘密警察(ゲシュタポ、NKVD)の規範をつくったフーシェ

タレーランはナポレオン失脚後、ウィーン会議で英普露墺といった主要連合国のみならず、

それ以外の弱小戦勝国に投票権を持たせ、増徴するプロイセンの危険性を煽って墺=メッテルニヒを引き込み、

見事にフランス本土を安堵させたどころか事実上の戦勝国に仕上げたからなw

(「ナポレオン、タレーラン、フーシェ」「アレクサンドル1世」)


東條憲兵隊に軟禁されていた吉田茂が敗戦処理を負かされたとき、

「戦争に負けて勝った例がある」

と言ったが、本来ならGDPの過半数を必要とする軍事費を在日米軍という形で利用し

戦前は世界5位くらいの国力を世界第二位にまで押し上げて史上空前の繁栄をもたらした
意味では、日本は戦争に負けて勝ったんだな

天皇制も皇位継承の危機はともかくとして、制度としては安堵されたし(イタリアみたいに廃位は避けられたし)

農政にもメスが入ったお陰で農村の共産化は免れ、強力な保守地盤も得たし

その辺は「日本改造計画」の理想も実現したし

朝鮮とか台湾とか満州とか、赤字だらけで、IRAとかETAみたいな危険を抱え込む要素からも開放されたしな


フーシェだけど、彼の伝記で決定版なのがシュテファン・ツヴァイクの作

でそのシュテファン・ツヴァイクの自伝をもとにしたのが「ホテル・グランド・ブタペスト」

で、パンユーロピアンの理想は日系の貴族クーデンホーフ・カレルギーなわけだけど、

ハプスブルグ帝国は長年、そのノウハウを重ねた先駆者なわけだ


(「スペイン帝国の興亡」)

で、「エリザベート ハプスブルグ家最後の皇女」

エリザベートつってもシシィの方ではなくて、赤い皇女と呼ばれたうたかたの恋で亡くなったルドルフ皇太子の忘れ形見にして
オーストリー社会主義党員の元皇女

この本を読むと、多民族国家として、欧州統合体を目指したオーストリア帝国の苦難が偲ばれる

吉田茂の「戦争に負けて勝った例がある」の言葉を紹介したけど、

オーストリアもアンシュルスとして本来は敗戦国としてドイツや朝鮮みたいに米ソで分割される予定だった

実際にソ連含めて連合国が進駐した、だがカール・レンナーがウィーン時代にスターリンと面識があったことから

オーストリア首班に返り咲く(なんとナチスに恭順した社会党首もカール・レンナー!)

彼は巧みな外交戦術でソ連の送り込んだ共産党分子を排除し、スイス型中立という形で独立を獲得する!

パンヨーロピアンピクニックで鉄のカーテンを突き崩したのはかつて同じ国だったオーストリア・ハンガリーの画策というのも意義深い

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