【ジュネーブ伊藤智永、モスクワ大前仁】国際的な通商ルールを話し合う世界貿易機関(WTO、153カ国・地域)は16日、ジュネーブで開催中の全加盟
国・地域による定例閣僚会議で、ロシアの加盟を承認した。大国の中で未加盟はロシアだけだった。ロシア政府は来夏までに議会の批准を取り付け、9月に極東
ウラジオストクで開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までの正式加盟を目指す。
ロシアは国内総生産(GDP)世界11位の大国。主要8カ国(G8)のメンバーだが、貿易や市場開放の法律・ルールが不透明との批判が強く、外国からの
投資や貿易拡大の足かせとなっていた。このため、1993年の加盟申請から承認まで18年もかかった。加盟すれば、貿易の国際ルールを守る責務を負い、違
反した場合は訴えられることになる。
10年前にWTOに加盟し、「世界の工場」に成長した中国に比べ、石油や天然ガスなど資源が輸出の中心を占めるロシアの場合、加盟による世界貿易への影
響は限定的との見方が強い。だが、加盟には、ロシアを世界貿易のルールからはみ出させず、将来の経済協力開発機構(OECD)加盟への道を開き、国内の制
度改革を促す効果が期待されている。
ロシアはWTO加盟で輸入品の平均関税を10%から7・8%に引き下げるが、保護が必要な自動車や鶏肉には7~8年の猶予期間が設けられており、国内経
済への影響は当面、小さい見通しだ。ロシアには、WTO加盟で外国からの投資拡大に弾みをつけ、資源依存型の産業構造の転換を図りたい考えもある。
だが、来春の大統領復帰が確実視されているプーチン首相は「加盟に懐疑的だった」(ラジオ番組解説者のボン・エゲルト氏)との指摘もある。プーチン氏は
これまで国内産業保護のため自動車や鉄鋼の関税を突然引き上げるなどの強権発動も辞さなかっただけに、WTO加盟で手足を縛られることを警戒したとみられ
る。
ロシアは93年、WTOの前身である関税貿易一般協定(GATT)に加盟申請。米国や欧州連合(EU)は、米同時多発テロ後の02年にロシアを市場経済国と認定し、加盟交渉が実質的に動き出した。