茶の道は年の功より歴の巧
歴の巧より規矩の効つめ 道舜
茶道において重要なのは年齢ではなく、どれだけ修行をして美しい点前ができるようになったかです。しかし、それよりも大切なことは規矩――すなわち正しい教えをどれだけ受け継ぎその経験を積んだかです。
歴の巧とは、稽古を重ねて歴が深くなればなるほど、所作が美しくなることを表していますが、時々、歴だけ重ねて上達していない人もいます。それでは意味がありません。
規矩の効とは、正しい規矩による道具組みや点前のことで、これを積み重ねていくうちにその根柢にある規矩を理解できるようになります(定石は除きます)。
例えば、紹鴎袋棚には「捻梅水指」を使うのは「定石」です。
ただし、当流のように「袋に水指を入れるときは塗蓋のみ」というのは「袋の天板を共蓋で傷つけないため」という理由があります。これは「規矩」になります。
つまり「規矩」には理由がありながらも「自由にできる余白がある」のですが、「定石」というものは「指定されたもの」です。
規矩には物語がありませんが、定石には物語が附随します。
規矩というのは、守破離においても守るべきもの。
規矩を関係ないというのは、茶人ではなく、茶之湯道楽をする数寄者であるということになります。茶人ではないなら、人に教えるべきではありませんから、早々に隠居することをお薦めします。