迷走する新規就農支援 希望者2倍で予算不足、手続き進まぬ異例の事態
フジサンケイ ビジネスアイ 7月11日(水)8時15分配信

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収穫を前に、小麦の穂が黄金に輝く麦畑=滋賀県(写真:フジサンケイビジネスアイ)
農業の活性化に向けた目玉政策の一つとして、農林水産省が今年度から新設した新規就農者支援の給付金制度が迷走している。45歳未満の人に最大1050万円を給付する手厚い支援に、今春時点ですでに予算枠の約2倍となる利用希望があることが判明。急遽(きゅうきょ)、農水省が給付に優先度を設ける方針を示し、実施主体の自治体がいまだに給付申請の正式受付を開始できない異例の事態となっている。若者の就農を促すはずの制度が、逆に就農希望者のやる気に水を差しかねない状況だ。
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新設された「青年就農給付金」制度は、原則45歳未満の新規就農者に年間150万円(夫婦2人の場合225万円)を年2回に分けて給付する仕組み。前年の所得が250万円未満の場合、研修期間を含めて最長7年間給付を受けられる。年2回支払われる給付金制度の場合、通常は9月にも年度前半分の給付が始まる。だが自治体によると、就農給付金は7月に入っても、国から正式な本申請受付の許可が下りてないという。原因は予算不足による手続きの混乱だ。
農水省は、同制度の新設にあたって利用者を約8200人と想定し、2012年度予算に104億円を計上した。ところが都道府県を通じて3月に実施した事前調査で、すでに予算枠を大幅に超える1万5400人の利用希望があることが分かった。同制度は、就農を希望する地域集落からの推薦と、所定の一律の条件に基づく市町村の審査を経て、資格を認められた希望者全員を給付対象とするはずだった。
しかし当初から予算不足が避けられない事態を受けて、農水省が、経過措置として給付申請の審査を一律ではなく、高齢化が進む集落の希望者などを優先するよう地方農政局を通じて自治体に指示。予算の配分を受けた都道府県は、所定の要件を満たす希望者数を、より厳密に把握するよう市町村に要請すると同時に、給付を認める優先順位の基準づくりなどの対応に追われている。
自治体の中では、給付希望者向け説明会で「要件を満たしても給付されないかもしれない」と参加者に伝える市町村がある一方、「要件を満たす人には全員給付する方向」(関東のある県の担当者)など対応の違いが出始めており、今後、就農希望者が申請先の違いから異なる扱いを受ける懸念も出てきた。
農業従事者のうち65歳以上の割合は59.1%(11年)と高齢化が進んでいる。政府の試算では、国内の農地面積の維持には毎年2万人の新規就農者が必要だが、40歳未満の新規就農者数は18年からの5年間で1万3000~1万5000人。このうち定着は約1万人にとどまる。こうした中で給付制度への期待は大きく、制度の円滑な運用に向けて、郡司彰農水相は「補正(予算での計上)も頭に入れながら対応したい」と話している。(佐久間修志)
最終更新:7月11日(水)15時20分
農業の活性化に向けた目玉政策の一つとして、農林水産省が今年度から新設した新規就農者支援の給付金制度が迷走している様だ。
暗黒の稲妻
フジサンケイ ビジネスアイ 7月11日(水)8時15分配信

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収穫を前に、小麦の穂が黄金に輝く麦畑=滋賀県(写真:フジサンケイビジネスアイ)
農業の活性化に向けた目玉政策の一つとして、農林水産省が今年度から新設した新規就農者支援の給付金制度が迷走している。45歳未満の人に最大1050万円を給付する手厚い支援に、今春時点ですでに予算枠の約2倍となる利用希望があることが判明。急遽(きゅうきょ)、農水省が給付に優先度を設ける方針を示し、実施主体の自治体がいまだに給付申請の正式受付を開始できない異例の事態となっている。若者の就農を促すはずの制度が、逆に就農希望者のやる気に水を差しかねない状況だ。
[写真]「アイドルユニット」が県農業応援 「ぶどう党」地域に活力 山梨
新設された「青年就農給付金」制度は、原則45歳未満の新規就農者に年間150万円(夫婦2人の場合225万円)を年2回に分けて給付する仕組み。前年の所得が250万円未満の場合、研修期間を含めて最長7年間給付を受けられる。年2回支払われる給付金制度の場合、通常は9月にも年度前半分の給付が始まる。だが自治体によると、就農給付金は7月に入っても、国から正式な本申請受付の許可が下りてないという。原因は予算不足による手続きの混乱だ。
農水省は、同制度の新設にあたって利用者を約8200人と想定し、2012年度予算に104億円を計上した。ところが都道府県を通じて3月に実施した事前調査で、すでに予算枠を大幅に超える1万5400人の利用希望があることが分かった。同制度は、就農を希望する地域集落からの推薦と、所定の一律の条件に基づく市町村の審査を経て、資格を認められた希望者全員を給付対象とするはずだった。
しかし当初から予算不足が避けられない事態を受けて、農水省が、経過措置として給付申請の審査を一律ではなく、高齢化が進む集落の希望者などを優先するよう地方農政局を通じて自治体に指示。予算の配分を受けた都道府県は、所定の要件を満たす希望者数を、より厳密に把握するよう市町村に要請すると同時に、給付を認める優先順位の基準づくりなどの対応に追われている。
自治体の中では、給付希望者向け説明会で「要件を満たしても給付されないかもしれない」と参加者に伝える市町村がある一方、「要件を満たす人には全員給付する方向」(関東のある県の担当者)など対応の違いが出始めており、今後、就農希望者が申請先の違いから異なる扱いを受ける懸念も出てきた。
農業従事者のうち65歳以上の割合は59.1%(11年)と高齢化が進んでいる。政府の試算では、国内の農地面積の維持には毎年2万人の新規就農者が必要だが、40歳未満の新規就農者数は18年からの5年間で1万3000~1万5000人。このうち定着は約1万人にとどまる。こうした中で給付制度への期待は大きく、制度の円滑な運用に向けて、郡司彰農水相は「補正(予算での計上)も頭に入れながら対応したい」と話している。(佐久間修志)
最終更新:7月11日(水)15時20分
農業の活性化に向けた目玉政策の一つとして、農林水産省が今年度から新設した新規就農者支援の給付金制度が迷走している様だ。
暗黒の稲妻