「オトナ婚の幸せ」 何歳でも祝福される
読売新聞(ヨミウリオンライン) 7月11日(水)10時47分配信


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地元の祭りでウェディングドレス姿を披露した衿野さんと三味線を弾く桜井さん。「自分と相手の世界を持ち寄って楽しめるのが晩婚の面白さ」(6月30日、新潟県魚沼市で)
増える40代以上のカップル

 年齢を重ねてから結婚する「オトナ婚」が増えている。40歳前後はもちろん、「アラフィフ」「アラ還」と呼ばれる50歳、60歳(還暦)前後も目立つ。結婚と年齢についての意識が変わり、周囲も祝福。大人の結婚事情を紹介する。

 朝起きて化粧をし、車で出勤する夫を駐車場まで見送る。それがノンフィクション作家の衿野(えりの)未矢さん(49)の日課になった。「周りはいつまで続くかなんて、賭けているみたい」と笑う。今年2月に結納、3月に新潟県魚沼市小出郷文化会館館長の桜井俊幸さん(56)と結婚式を挙げた。東京にも仕事場を残しつつ、魚沼に拠点を移した。夫をそばに感じる生活が楽しい。

 昨年暮れ、東京・お台場のキラキラした夜景を2人で眺めた。周りは自分たちの子ども世代のような若いカップルばかり。手をつないで笑い合った。「高校生に交じって、うきうきデートできるなんて」

 俊幸さんは地元出身で、多彩な顔を持つ。消防団や町づくりに携わり、シンガー・ソングライターでもある。地縁、血縁は濃い。日本酒好きの未矢さんは、誘われれば喜んで飲み会に行くが、仕事が忙しい時には参加しない。客が来ても、部屋にこもって相手をしないときもある。

 「大人だから、楽しめる幸せがある」と未矢さんは思う。人生経験を積んだ分、自分と違う暮らし方を受け入れる余裕がある。若かったら、嫁の役割や人付き合いを重く感じたかもしれない。「この年になると、周囲も『結婚してくれるだけありがたい』と過剰な期待がない。気楽なんです」

 顔見知りだった2人の距離を縮めたのは東日本大震災だ。東京に住む未矢さんの安否を真っ先に心配したのは、静岡県に住む両親だけ。「大切な人がいないって寂しい」。そんな時に、上京した俊幸さんと知人を交え食事をした。館長のまじめな姿とは違い、おどけて写真用にポーズを取る姿がおちゃめだった。

 結婚に慎重だった俊幸さんに、未矢さんは「結婚したい」と言い続けた。「結婚を迫るとうるさがられたり、嫌われるのでは」という気持ちもぐっと抑えた。「若くはないから、恋の駆け引きを楽しむ余裕はない。結婚しないならはっきり言って」。俊幸さんは「がぶり寄られた」と苦笑するが、家で酒を酌み交わすくつろぎの時間が好きだ。

 40歳以上で結婚する人は、増えつつある。晩婚化が進んでいるのだ。

 「今の40~60歳代は『中高年である』という意識が消滅しかかっている。後半生が長くなり、まだまだ上り坂という人生観がある」と博報堂新しい大人文化研究所所長の阪本節郎さんは話す。「いつまでも若々しく『男』『女』でありたい」「今からまた花を咲かせたい」と願う。子どもを持つことや家にとらわれずにパートナーを選ぶカップルが生まれやすい。

 50歳代以上で結婚する有名人も相次ぎ、社会は大人の恋愛を許容するようになってきた。「世間体を気にしなくてもよい時代。いいパートナーを見つけた人は、何歳であっても祝福する雰囲気が広がっている」と阪本さん。

 いい人を見つけた時が適齢期。そんな時代の雰囲気がオトナ婚から透けて見える。

最終更新:7月11日(水)10時47分

ふぅ~んええなぁ、相手の居る人は(笑。

暗黒の稲妻