<取り調べ可視化>実施率92.9% 最高検、試行結果公表
毎日新聞 7月4日(水)20時2分配信


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取り調べの録音録画を含めた検察改革について会見する笠間治雄検事総長=東京・霞が関の最高検察庁で2012年7月4日、須賀川理撮影
 最高検は4日、東京など3特捜部、福岡など10地検の特別刑事部による独自捜査事件で試行されている取り調べの録音録画(可視化)について検証結果を公表した。昨年3月~今年4月、98件のうち91件(92.9%)で実施され、全過程が録画されたのはうち39件(42.9%)。「適正な取り調べが確保できる」などと評価した一方、「共犯者について口を閉ざす」などの弊害を指摘した。

 最高検によると、ほかに殺人など裁判員裁判となる罪名で起訴された事件1005件のうち946件(94.1%)で、知的障害者の事件では拒否事例を除く540件で録音録画を実施。裁判員裁判事件の89件、知的障害事件の45件は、映像が責任能力を判断するための精神鑑定の資料とされ、検察側が録音録画を有罪立証に活用している実態も判明した。

 検証は録音録画について「書面で表現しにくい供述態度を記録できる」などの効果がみられたと評価。一方で「緊張や羞恥心から供述がしづらくなる」「映像のチェック作業が膨大」などの弊害も挙げた。最高検は4日、録音録画の下での取り調べ手法を研究.検討する専門チームも設置。今秋からは精神障害者による事件も試行対象に加え、少年事件での試行も検討する。

 記者会見した笠間治雄検事総長は「研究を重ね、供述調書に過度に依存しない捜査を目指す」と話した。【山田奈緒、島田信幸】

 ◇取り調べ見直しを

 元東京地検特捜部検事の平尾覚弁護士の話

 録音録画を武器として積極活用するための取り調べ方法を検討すべきだ。英国では自白より、個別の質問に対する供述内容や態度を一つの証拠として、他の証拠との総合評価で有罪立証を図る。取調官は練った質問を短い取り調べの中で戦略的にぶつけている。録音録画する以上、自白による真相解明には限界がある。

 ◇議論すべき点多い

 日弁連「取調べの可視化実現本部」の田中敏夫本部長代行の話

 精神障害など責任能力の程度が争点になる容疑者も対象にするなど可視化の試行を拡大していく検察の姿勢は評価したい。だが、検証は第三者の目を入れて客観的に行うべきだった。容疑者に録音録画の拒否権を与えるかどうか、映像を証拠としてどう取り扱うかなど議論すべき点は多い。

最終更新:7月5日(木)0時15分

全面可視化ではなくあくまで基本は容疑者が供述する部分のみの部分可視化でしかも録音録画を行うかは取り調べに当たる捜査官の胸三寸らしい。
それをまるで世間に全面可視化が行われているかのような誤った印象を持ってしまうような誘導公表はどうなんだろうかね。

暗黒の稲妻