<性同一性障害>健康保険証性別欄に初の記載なし 松江市
毎日新聞 7月3日(火)0時46分配信

 心と体の性が一致しない「性同一性障害」(GID)と診断された松江市の上田地優(ちひろ)さん(54)に、市が2日、国民健康保険証の表にある性別欄に性別を記載せず、裏面に特記事項として戸籍上の性別を記した保険証を新たに交付したことが分かった。GIDの当事者は、性別適合手術や家裁の審判を経て戸籍を変更すれば、保険証の性別も変えられる。厚生労働省によると、戸籍の変更はせず、保険証の表記方法を変えたのは「把握している範囲では全国初」という。

 上田さんは06年1月にGIDの診断を受けた。今年4月に保険証がカード化され、性別表記が目立つようになったため「医療機関で保険証を提示するのが苦痛」と市側に訴えていた。同市は島根県や厚労省と対応策を協議して先月、裏面記載を提案。厚労省も「問題はない」として市の方針を容認。同市保険年金課は「(上田さんが)困っていたので国などに問い合わせた。緊急避難的に対応した」としている。

 上田さんは「市には感謝している。他の自治体も認識を変えなくてはいけないのではないか」と評価している。

 市民団体「性と人権ネットワークESTO」の真木柾鷹(まさき・まさたか)代表は「周囲の人に保険証を見られ、実生活の性別と異なると疑問に思われる。医療機関を受診するのも楽になるので、こうした動きが広がっていくといい」と話している。【曽根田和久、五味香織】

最終更新:7月3日(火)10時14分

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