ムーディーズが金融大手15社を格下げ、クレディ・スイスは3段階
ロイター 6月22日(金)7時0分配信


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6月21日、米ムーディーズが大手金融機関15社を格下げした。パリで昨年10月撮影(2012年 ロイター/Philippe Wojazer)
[ニューヨーク 21日 ロイター] 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは21日、大手金融機関15社を格下げした。

ムーディーズ、大手金融機関15社を格下げ:識者はこうみる

ムーディーズは2月に、大手金融機関17行の格付け見直しに着手したことを明らかにしており、格下げは予想されていた。

そのうち野村ホールディングス<8604.T>とマッコーリー<MQG.AX>については、すでに3月半ばに格下げを発表していた。

最も市場の関心を集めていたモルガン・スタンレー<MS.N>は、長期優先無担保債務格付けが「A2」から「Baa1」に2段階引き下げられた。見通しは「ネガティブ」。

ムーディーズは2月に、モルガン・スタンレーの格付けを最大で3段階引き下げる可能性があると表明していたが、実際は2段階の引き下げにとどまった。

モルガン・スタンレーはトレーディングの規模が比較的大きいことなどから、米銀の中でムーディーズによる格下げの影響を最も受ける銀行とみられていた。

しかし、2段階の格下げとなった結果、同社の格付けはバンク・オブ・アメリカ<BAC.N>やシティグループ<C.N>よりも高い水準にとどまった。ゴールドマン・サックス<GS.N>の格付けに比べれば1段階低い水準。

一方、クレディ・スイス<CSGN.VX>の格付けが唯一、3段階引き下げられた。ただ、新たな長期預金および優先債務格付けである「A1」は、他の多くの金融機関に比べれば依然として高い水準にある。

15行のうち、長期優先債務格付けは4行が1段階、10行が2段階、1行は3段階引き下げられた。

2段階引き下げられたのは、モルガン・スタンレーのほか、バークレイズ<BARC.L>、BNPパリバ<BNPP.PA>、ロイヤル・バンク・オブ・カナダ<RY.TO>、シティグループ、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース<JPM.N>、クレディ・アグリコル<CAGR.PA>、ドイツ銀行<DBKGn.DE>、UBS<UBSN.VX>。

1段階の引き下げにとどまったのは、バンク・オブ・アメリカ、HSBCホールディングス<HSBA.L>、ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド<RBS.L>、ソシエテ・ジェネラル<SOGN.PA>。

21日の株式市場では、各行の格下げが発表されるとの見方から銀行株が総じて下落。モルガン・スタンレーは約1.7%、バンク・オブ・アメリカは4%近く下げていた。

しかし、モルガン・スタンレーは3段階の格下げを回避したことから、時間外取引で約3%上昇した。

長期債務格付けの引き下げは各行の資金調達コストを押し上げる要因になるほか、取引相手から多くの担保を要求されるようになる可能性があるが、格下げは予想の範囲内で、しかもすでに市場に織り込まれていたため、市場への影響はほとんどないとみられる。

ムーディーズのグローバルバンキング・マネジングディレクター、グレッグ・バウアー氏は「格付け見直しの対象となったすべての銀行は、資本市場の活動に伴うボラティリティーや大規模な損失を被るリスクに著しくさらされている」とする一方、「しかしながら、これらの銀行は多くの場合、市場をリードするビジネスに関わっており、それはムーディーズが信用を評価する上で中心的役割を果たす。その活動は資本市場業務から生じる可能性のあるボラティリティーを和らげる重要な『緩衝材』となっているが、独自のリスクや困難さももたらしている」と述べた。

サウスウェスト証券のマネジングディレクター、マーク・グラント氏は「最大の驚きはクレディ・スイスの格付けが3段階引き下げられたことで、それは誰も予想していなかった」と述べた。

格下げの対象となった各社もコメントを発表。モルガン・スタンレーは「当社が過去数年間進めてきた戦略的な行動が格付けに完全に反映されていない」と反論した。

シティグループも「ムーディーズの銀行業界の分析に強く異議を唱える。当社の格下げは恣意的であり、全く正当化できない」と強く批判した。

ムーディーズが発表した格下げは以下の通り。

<バンク・オブ・アメリカ>

長期優先無担保債務格付けを「Baa1」から「Baa2」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けは「P―2」で据え置き。

<バークレイズ>

長期発行体格付けを「A1」から「A3」に引き下げ、見通し「はネガティブ」。

短期債務格付けを「P―1」から「P―2」に引き下げ。

<シティグループ>

長期優先債務格付けを「A3」から「Baa2」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けは「P―2」で据え置き。

<ゴールドマン・サックス・グループ>

長期優先無担保債務格付けを「A1」から「A3」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けを「P―1」から「P―2」に引き下げ。

<HSBCホールディングス>

長期優先債務格付けを「Aa2」から「Aa3」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。

短期債務の予備格付けは「(P)P―1」で据え置き。

<JPモルガン・チェース>

長期優先債務格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<モルガン・スタンレー>

長期優先無担保債務格付けを「A2」から「Baa1」に引き下げ。見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けを「P―1」から「P―2」に引き下げ。

<ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ>

長期優先債務格付けを「A3」から「Baa1」に引き下げ、見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けは「P―2」で据え置き。

<クレディ・スイス>

長期預金および優先債務格付けを「Aa1」から「A1」に引き下げ。見通しは「安定的」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<クレディ・アグルコル>

長期債務および預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「ネガティブ」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<BNPパリバ>

長期債務および預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<ドイツ銀行>

長期預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<ソシエテ・ジェネラル>

長期債務および預金格付けを「A1」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<UBS>

長期債務および預金格付けを「Aa3」から「A2」に引き下げ。見通しは「安定的」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

<ロイヤル・バンク・オブ・カナダ>

長期預金格付けを「Aa1」から「Aa3」に引き下げ。見通しは「安定的」。

短期債務格付けは「P―1」で据え置き。

*内容をさらに追加して再送します。

最終更新:6月22日(金)11時3分

格下げして結局の処一体何を生み出してるの?

暗黒の稲妻