<ギリシャ>議会再選挙17日投票…財政緊縮策巡り2強対決
毎日新聞 6月16日(土)20時44分配信

 【アテネ伊藤智永】市場に根強いユーロ圏離脱観測の行方を左右するギリシャ議会の再選挙は17日、投票が行われる。即日開票され、大勢判明は18日未明(日本時間同日午前)になる見通し。非公開独自調査に関する報道によると、財政緊縮推進派の新民主主義党が反対派の急進左派連合を2~3ポイント差でリードする情勢は変わっていないようだが、インターネットなどの人気調査では急進左派の支持が高く、投票結果は予断を許さない情勢だ。

 市場には「ユーロ圏離脱を懸けた国民投票」との見方があるが、ユーロ圏残留は反対派も一貫して主張してきた。争点は欧州連合(EU)・国際通貨基金(IMF)との緊縮策合意への対応だが、推進派と反対派の主張はそれぞれ「再交渉不可避」の立場へ接近しつつある。

 新民主が第1党になれば、18日から3日以内に全ギリシャ社会主義運動や民主左派と連立政権樹立で基本合意するはずだが、選挙で示された「反緊縮策」のうねりは無視できず、公務員給与・年金給付の追加削減の停止、14年までに実行する中期財政計画の期限2年延長といった「緩和措置」をEUなどに求めるのは確実だ。

 急進左派が第1党になると、連立協議は難航する。チプラス党首は選挙戦最終週に、それまでの緊縮策「廃止」ではなく「再交渉」と言い始めた。連立相手の頼みは支持率を伸ばしている民主左派だが、クベリス党首が「緊縮策の一方的な破棄には同調しない」とハードルを上げたので、軟化せざるを得なくなったためとみられる。

 再選挙期間中、自殺や強盗犯の射殺、不法残留外国人への集団暴力などの事件が相次いだ。新民主に消極的な支持が戻ったのも、経済に加えて治安不安が高まり、秩序にすがる民心が強まったからだ。15日夜、アテネ中心部で開かれた新民主の集会脇では、4月に腐敗政治に抗議して議会前広場で男性が拳銃自殺した場所に人々が集まる光景が見られた。

最終更新:6月16日(土)23時8分

市場に根強いユーロ圏離脱観測の行方を左右するギリシャ議会の再選挙は17日、投票が行われる様だ。

暗黒の稲妻