新UI、テンキー操作、新しいエコ技――スマホ普及期にシャープが追求する“安心感”
+D Mobile 6月14日(木)18時4分配信

側面に溝を入れることで、液晶が浮かび上がるような効果を演出
2012年夏モデルでは、各キャリアから複数のシャープ製スマートフォンが発表された。KDDI向けモデルは、世界初のFeliCaとNFCにダブル対応するハイスペックモデル「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」、時刻や着信状態を常時表示するメモリ液晶を設けた「AQUOS PHONE CL IS17SH」、物理型のテンキーを搭載したスライド型の「AQUOS PHONE SL IS15SH」の3機種。新機能を豊富に搭載した機種や、従来モデルに改良を加えた後継機など多彩なラインアップとなっている。
【開発陣に聞く:「ISW16SH」「IS17SH」「IS15SH」シャープが追求する“安心感” 】
スマートフォンに対する世間の注目度が高まり、シェア争いが激化している中、シャープはどのような意図で3機種を市場に投入するのだろうか。通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 部長 後藤正典氏、通信システム事業本部 グローバル商品開発センター プロダクト企画部 福山享弘氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 北川友美氏に話を聞いた。
●WiMAXとNFCを初搭載する「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」
3機種に共通しているコンセプトは「安心して長く使えるスマートフォン」(後藤氏)だという。「Android端末が市場に出始めてから2年が経過し、フィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替えだけでなく、スマートフォンからスマートフォンへ買い替える人も増え、ユーザー層が多様化してきました。どんなお客様が使用しても使いやすいと感じられるように端末を仕上げました」と後藤氏は説明する。
ISW16SHは1.5GHz駆動のデュアルコアCPUや4.6インチのHD液晶、0.4秒の業界最速の起動を実現する1211万画素CMOSカメラなど、「最高峰」を連想させるイタリア語の「SERIE」の名にふさわしいスペックを誇る。ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイといったケータイの定番機能もフル搭載するほか、シャープのスマートフォンとして初めてWiMAXにも対応した。「WiMAXをオンにした状態でも、通信していない場合は休止モードになり、バッテリーを節約する仕様にしました」(福山氏)
注目は、FeliCaとNFCに両対応している点だ。「チップは別々ですが、通信用アンテナを1つにすることで軽量化を図っています。世界初なのでアンテナも新規に開発しました」(福山氏)。KDDIは通信業界の展示会「ワイヤレスジャパン 2012」でNFCとWi-Fiを連携させた新技術を紹介するなど、NFCサービスに力を入れている。後藤氏は「ユーザーに端末を長く使っていただくためにも、これから対応サービスが普及していくであろうNFCを国内メーカーとして先取りして搭載していくのが重要だと考えました」と話す。
さらに、ISW16SHにはNFCを利用してBluetoothのペアリングを行う機能も採用した。「例えば、NFCを搭載したBluetoothヘッドフォンにISW16SHをかざすとBluetooth接続ができます。このようなBluetooth製品は、現在は海外のみで販売されていますが、国内で販売された場合、ISW16SHならいち早く体験できます」(福山氏)
●大型化と性能の向上を図った液晶
画面サイズの大型化がトレンドとなりつつあるスマートフォン市場。ISW16SHも4.6インチに大型化したが、液晶周りの枠を狭くする「狭額縁化設計」により、ボディの横幅は66ミリに抑えた。また、ボディのサイドに溝を入れる「クレッシェンドエッジ」というデザインを採用し、「液晶が浮かび上がり、画面そのものを持っているような感覚」(福山氏)で操作できる。
液晶には、光が入射する透過率を従来液晶から20%向上させた高透過CGSilicon液晶を採用し、バックライトの省電力化とより明るく鮮明な表示を実現した。「これまでの液晶との明るさの違いは、肉眼で見てすぐに分かる」(福山氏)というほどだ。周囲からののぞき込みを防止するシャープおなじみの「ベールビュー」にも対応している。
画質調整を行う高画質エンジン「SVエンジン」は「3」に進化した。従来は画質調整の際に選べるモードが「標準」と「鮮やか画質モード」の2種類だったが、「ナチュラルカラー」と「ダイナミック」を追加。また、今まではワンセグとメディアプレーヤーのみに効果があるだけだったが、ブラウザやゲームなどすべての画面に適用されるようになった。「PCと同様の色空間の国際標準規格『sRGB』に合わせたチューニングを採用しています。ナチュラルカラーは肉眼で実際に見た色合いに近い色を再現するので、ネットショッピングも商品の実物をイメージしやすく、気兼ねなく楽しめます」(福山氏)
●ホーム画面という概念がない新しいUI
シャープが夏モデルから導入を開始したのが、独自UI(ユーザーインタフェース)の「Feel UX」だ。KDDI向けモデルではISW16SHとIS17SHが対応している。Feel UXは「ウェルカムシート」と呼ばれるロック画面と、アプリ、ウィジェット、ショートカットが別々のシートに並ぶ「3ラインホーム」で構成される。「UXはUser Experienceの略です。ユーザーが感じるままに使える、という意味を込めてこのような名前にしました」と福山氏は説明する。通常のスマートフォンのホーム画面にはアプリ、ウィジェット、ショートカットが1つの画面に混在しているが、これを各シートに分けることで「どこに何を置いたのかが即座に分かり、ごちゃごちゃになることもなく、初めてスマートフォンを使う人でも迷うことなく使いこなせる」(福山氏)という。
3ラインホームの「アプリケーションシート」では、アプリのフォルダ作成のほか、アプリとアプリの間にピンチ操作でセパレーター(区切り)となる横線の作成・削除ができる。上下にスクロールした際にセパレーターごとにスクロールが停止する仕様になっているため、アプリのカテゴリーごとに線を引いておけば、目的のアプリが探しやすい。スクロールの停止は設定で無効にすることも可能だ。「ウィジェットシート」と「ショートカットシート」では、ウィジェットやショートカットの追加方法を2種類用意した。シート上部から引き出せる設定メニューからの追加と、空きスペースを長押しすることで追加できるAndroid標準の方法だ。セパレーターごとの停止やウィジェットの長押しによる貼り付けは、KDDIの夏モデル発表会後に追加されたもの。さらに、3ラインホームのプリセットの壁紙も4テーマから12テーマに増加され、背景色を変えられるだけでなく、子猫や夕焼けなどの画像に変更できるようになった。「今後もユーザーの声を反映して操作性の向上を図っていきます」(福山氏)
●必要な情報へアクセスしやすい「AQUOS PHONE CL IS17SH」
コンビネーション液晶を意味する「CL(Combination LCD)」を冠したIS17SHは、メイン液晶とメモリ液晶の組み合わせが特徴的なモデルだ。メイン液晶を点灯せずに、時刻や着信、メール受信の状態をメモリ液晶で確認できる。コンビネーション液晶を搭載するシャープのスマートフォンは「IS03」と「AQUOS PHONE IS13SH」に引き続き3機種目だが、「従来モデルを実際に使用しているユーザーからは好評をいただいている」(福山氏)という。「IS17SHはIS13SHをベースに開発を行い、RAMを512Mバイトから1Gバイトに増強し、OSにはAndroid 4.0を採用しました。4.0はRAMが1Gバイト以上ないと複数アプリの立ち上げ時に動作が遅くなるなどの不便が生じるため、シャープとしてはRAM1Gバイトを4.0適用の1つの目安だと考えています」(福山氏)
ISW16SHと同じくFeel UXも搭載している。「ウェルカムシート」では、ロックを解除せずに天気や株価などを確認できるため、「メモリ液晶と一緒に活用することで、日常生活で頻繁に確認する情報へのアクセスはIS17SHが最もしやすい」と福山氏は自信を見せる。
●徹底的に“ケータイ感覚”を追求した「AQUOS PHONE IS15SH」
IS15SHは、「AQUOS PHONE IS11SH」「AQUOS PHONE IS14SH」に続く、物理型テンキーを搭載するスライド形状のスマートフォン。SLはスライダー(SL=Slider)を意味する。「シャープが今年3月に独自調査を行ったところ、フィーチャーフォンのユーザーでスマートフォンへの移行を考えている人の約3割がテンキー付きモデルを選びたいと回答しました。そのためシャープとしては、キー付きのモデルには一定の需要があり、今後も市場として残っていくと考えています」と北川氏は言う。さらに、「グローバルメーカーがやらないのであれば、国内メーカーがやるしかない」と後藤氏もテンキー付きスマートフォンを投入する意義を話す。その結果、全キャリアの夏モデルで唯一、テンキーを採用するモデルがシャープから登場することとなった。従来モデルであるIS11SHとIS14SHのユーザーから挙がった要望や不満点を受け、IS15SHでは防水・防塵への対応やバッテリーの強化などの改良を図り、「さらにケータイ感覚で使える端末」(北川氏)に仕上げた。
IS14SHではキー部分とキーシートが一体化した構造になっていたが、IS15SHではそれらを分離した構造を採用。「各キーが独立した構造になったため押しやすく、クリック感をより得られるようになりました」(北川氏)。使用頻度が高いセンターキーはしっかり凸感を出し、終話キーやテンキーのように横に並ぶ3つのキーはそれぞれの列で凸山の位置を変え、指がかりで区別できるようにした。キー面積も1.2倍に拡大した。さらにラウンドフォルムを採用し、スライド幅を2.4ミリ拡大した57ミリにすることで、重量バランスが良くなり持ちやすくなっている。
キーレイアウトは、従来モデルでは別々に用意されていたバックキーとデリートキーを統合し、「ケータイでいうクリアキー」(北川氏)と同等の操作性を実現している。また、スライドを閉じた状態でも電源のオン/オフができるようにサイドキー側にも電源キーを設置。十字キーやテンキーなどにアプリを振り分け、長押しと短押しでアプリを即座に起動できる「ショートカット設定」は、設定できる場所を20カ所に増やした。「マナー」という文字とベールビューのマークをキーに印刷し、より分かりやすいビジュアルに仕上げるという細かい配慮も欠かさない。
●テンキー向けに進化したアプリトップメニュー
IS15SHでは独自UIとして、アプリが横3列、縦4列で構成された「アプリトップメニュー」をアプリトレイに用意。Feel UXを搭載しなかった理由について北川氏は「アプリトップメニューはアイコンの配列がケータイのメニュー画面と同様であり、ケータイで慣れ親しんだ画面構成で操作できます。そのためIS15SHの『ケータイ感覚で使えるモデル』というコンセプトに合致するUIとして採用しました」と説明する。アプリトップメニューは、アプリがカテゴリー別に分かれており、戸惑わずに目的のアプリにアクセスできるため、スマートフォン初心者でも安心して使えるのも採用理由の1つだという。
アプリトップメニューにはテンキー仕様の機能が追加されている。アプリのカテゴリーとアプリそのものに数字が振られており、テンキーを押すことで特定のアプリを起動できるようになっている。例えば、「電話・メール」カテゴリーは1で、その中に収められた電話アプリが1だとすると、「11」と押すことで電話アプリを起動できる仕組みだ。「ケータイでおなじみの機能です。数字さえ覚えておけばアプリトップメニューを開いたあと素早くアプリを立ち上げられます」(北川氏)
●エコ技に気づいてもらうための工夫
ISW16SH、IS17SH、IS15SHの3機種すべてが対応しているシャープ独自の省エネ機能「エコ技」も進化している。「エコ技は2011年秋冬モデルから搭載し、実際に利用しているユーザーからは高評価を得ていますが、まだ認知度が低いのが現状です。今季からは利便性に気づいてもらうための工夫を施しています」(福山氏)
今までのエコ技の設定画面はモードを切り替えるだけのものだったが、新しいエコ技は節約した待受時間を表示し、バッテリーの減り具合をグラフで確認できるようになった。「この画面を見ることで省エネへの意識を持っていただけるのではないでしょうか」(福山氏)。省エネの効果を数字とグラフで確認できるため、節電のモチベーションを保つのにも一役買うだろう。バックグラウンドでの動作回数が多いアプリがあった場合、画面上部の通知バーで知らせてエコ技の設定を促す「省エネお知らせ」にも新たに対応した。
大きく改良されたのが、画面消灯時にアプリの動作を制限できる「省エネ待受」機能だ。従来は、制限するように設定したアプリとしていないアプリが混合して設定画面に並んでいたが、今回からは別々の画面に分けて表示。制限する、しないがより選びやすくなっている。アプリの並び順は、動作しようとした回数の多い順になっている。ただし「回数が多いからといって消費電力が大きいとは限らない」(福山氏)ので、制限することで省エネ効果が高いとは一概にはいえないという。
また、これまではユーザーがダウンロードしたアプリは無条件で制限していたが(後からオフにはできる)、SNS系のアプリなどは制限することで予期せぬ動作の不具合が起きてしまうことがあった。そこで夏モデルでは、省エネ待受設定直後には、ダウンロードしたアプリは制御されず、後から手動で制御できるようにした。加えて、省エネ待受の詳細画面で「制限することで意図せぬ動作の不具合が起きる場合があります」という旨がポップアップで通知されるようになった。新しいエコ技では“予期せぬ動作の不具合”は少なからず防げるはずだ。
スマートフォンの普及が進むにつれ、操作が分かりにくい、バッテリーが持たないといったユーザーの不満が多く聞こえるようになった。そうした声を聞いて、スマートフォンへの不安を募らせ、買い替えをためらっている人もいるだろう。使いやすさを追求したUIと改良を施したエコ技に対応するシャープのスマートフォン。NFCやメモリ液晶、テンキーといった独自仕様も魅力のKDDI向けの3機種からは「誰もが安心して長く使えるスマートフォンを作りたい」というシャープの想いが伝わってきた。
[松山悠達(ゴーズ),ITmedia]
最終更新:6月14日(木)18時4分
文章が無駄に長い気が…笑。
読んでいて非常に疲れるんだが…。
暗黒の稲妻
+D Mobile 6月14日(木)18時4分配信

側面に溝を入れることで、液晶が浮かび上がるような効果を演出
2012年夏モデルでは、各キャリアから複数のシャープ製スマートフォンが発表された。KDDI向けモデルは、世界初のFeliCaとNFCにダブル対応するハイスペックモデル「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」、時刻や着信状態を常時表示するメモリ液晶を設けた「AQUOS PHONE CL IS17SH」、物理型のテンキーを搭載したスライド型の「AQUOS PHONE SL IS15SH」の3機種。新機能を豊富に搭載した機種や、従来モデルに改良を加えた後継機など多彩なラインアップとなっている。
【開発陣に聞く:「ISW16SH」「IS17SH」「IS15SH」シャープが追求する“安心感” 】
スマートフォンに対する世間の注目度が高まり、シェア争いが激化している中、シャープはどのような意図で3機種を市場に投入するのだろうか。通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 部長 後藤正典氏、通信システム事業本部 グローバル商品開発センター プロダクト企画部 福山享弘氏、通信システム事業本部 パーソナル通信第三事業部 商品企画部 北川友美氏に話を聞いた。
●WiMAXとNFCを初搭載する「AQUOS PHONE SERIE ISW16SH」
3機種に共通しているコンセプトは「安心して長く使えるスマートフォン」(後藤氏)だという。「Android端末が市場に出始めてから2年が経過し、フィーチャーフォンからスマートフォンへの買い替えだけでなく、スマートフォンからスマートフォンへ買い替える人も増え、ユーザー層が多様化してきました。どんなお客様が使用しても使いやすいと感じられるように端末を仕上げました」と後藤氏は説明する。
ISW16SHは1.5GHz駆動のデュアルコアCPUや4.6インチのHD液晶、0.4秒の業界最速の起動を実現する1211万画素CMOSカメラなど、「最高峰」を連想させるイタリア語の「SERIE」の名にふさわしいスペックを誇る。ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイといったケータイの定番機能もフル搭載するほか、シャープのスマートフォンとして初めてWiMAXにも対応した。「WiMAXをオンにした状態でも、通信していない場合は休止モードになり、バッテリーを節約する仕様にしました」(福山氏)
注目は、FeliCaとNFCに両対応している点だ。「チップは別々ですが、通信用アンテナを1つにすることで軽量化を図っています。世界初なのでアンテナも新規に開発しました」(福山氏)。KDDIは通信業界の展示会「ワイヤレスジャパン 2012」でNFCとWi-Fiを連携させた新技術を紹介するなど、NFCサービスに力を入れている。後藤氏は「ユーザーに端末を長く使っていただくためにも、これから対応サービスが普及していくであろうNFCを国内メーカーとして先取りして搭載していくのが重要だと考えました」と話す。
さらに、ISW16SHにはNFCを利用してBluetoothのペアリングを行う機能も採用した。「例えば、NFCを搭載したBluetoothヘッドフォンにISW16SHをかざすとBluetooth接続ができます。このようなBluetooth製品は、現在は海外のみで販売されていますが、国内で販売された場合、ISW16SHならいち早く体験できます」(福山氏)
●大型化と性能の向上を図った液晶
画面サイズの大型化がトレンドとなりつつあるスマートフォン市場。ISW16SHも4.6インチに大型化したが、液晶周りの枠を狭くする「狭額縁化設計」により、ボディの横幅は66ミリに抑えた。また、ボディのサイドに溝を入れる「クレッシェンドエッジ」というデザインを採用し、「液晶が浮かび上がり、画面そのものを持っているような感覚」(福山氏)で操作できる。
液晶には、光が入射する透過率を従来液晶から20%向上させた高透過CGSilicon液晶を採用し、バックライトの省電力化とより明るく鮮明な表示を実現した。「これまでの液晶との明るさの違いは、肉眼で見てすぐに分かる」(福山氏)というほどだ。周囲からののぞき込みを防止するシャープおなじみの「ベールビュー」にも対応している。
画質調整を行う高画質エンジン「SVエンジン」は「3」に進化した。従来は画質調整の際に選べるモードが「標準」と「鮮やか画質モード」の2種類だったが、「ナチュラルカラー」と「ダイナミック」を追加。また、今まではワンセグとメディアプレーヤーのみに効果があるだけだったが、ブラウザやゲームなどすべての画面に適用されるようになった。「PCと同様の色空間の国際標準規格『sRGB』に合わせたチューニングを採用しています。ナチュラルカラーは肉眼で実際に見た色合いに近い色を再現するので、ネットショッピングも商品の実物をイメージしやすく、気兼ねなく楽しめます」(福山氏)
●ホーム画面という概念がない新しいUI
シャープが夏モデルから導入を開始したのが、独自UI(ユーザーインタフェース)の「Feel UX」だ。KDDI向けモデルではISW16SHとIS17SHが対応している。Feel UXは「ウェルカムシート」と呼ばれるロック画面と、アプリ、ウィジェット、ショートカットが別々のシートに並ぶ「3ラインホーム」で構成される。「UXはUser Experienceの略です。ユーザーが感じるままに使える、という意味を込めてこのような名前にしました」と福山氏は説明する。通常のスマートフォンのホーム画面にはアプリ、ウィジェット、ショートカットが1つの画面に混在しているが、これを各シートに分けることで「どこに何を置いたのかが即座に分かり、ごちゃごちゃになることもなく、初めてスマートフォンを使う人でも迷うことなく使いこなせる」(福山氏)という。
3ラインホームの「アプリケーションシート」では、アプリのフォルダ作成のほか、アプリとアプリの間にピンチ操作でセパレーター(区切り)となる横線の作成・削除ができる。上下にスクロールした際にセパレーターごとにスクロールが停止する仕様になっているため、アプリのカテゴリーごとに線を引いておけば、目的のアプリが探しやすい。スクロールの停止は設定で無効にすることも可能だ。「ウィジェットシート」と「ショートカットシート」では、ウィジェットやショートカットの追加方法を2種類用意した。シート上部から引き出せる設定メニューからの追加と、空きスペースを長押しすることで追加できるAndroid標準の方法だ。セパレーターごとの停止やウィジェットの長押しによる貼り付けは、KDDIの夏モデル発表会後に追加されたもの。さらに、3ラインホームのプリセットの壁紙も4テーマから12テーマに増加され、背景色を変えられるだけでなく、子猫や夕焼けなどの画像に変更できるようになった。「今後もユーザーの声を反映して操作性の向上を図っていきます」(福山氏)
●必要な情報へアクセスしやすい「AQUOS PHONE CL IS17SH」
コンビネーション液晶を意味する「CL(Combination LCD)」を冠したIS17SHは、メイン液晶とメモリ液晶の組み合わせが特徴的なモデルだ。メイン液晶を点灯せずに、時刻や着信、メール受信の状態をメモリ液晶で確認できる。コンビネーション液晶を搭載するシャープのスマートフォンは「IS03」と「AQUOS PHONE IS13SH」に引き続き3機種目だが、「従来モデルを実際に使用しているユーザーからは好評をいただいている」(福山氏)という。「IS17SHはIS13SHをベースに開発を行い、RAMを512Mバイトから1Gバイトに増強し、OSにはAndroid 4.0を採用しました。4.0はRAMが1Gバイト以上ないと複数アプリの立ち上げ時に動作が遅くなるなどの不便が生じるため、シャープとしてはRAM1Gバイトを4.0適用の1つの目安だと考えています」(福山氏)
ISW16SHと同じくFeel UXも搭載している。「ウェルカムシート」では、ロックを解除せずに天気や株価などを確認できるため、「メモリ液晶と一緒に活用することで、日常生活で頻繁に確認する情報へのアクセスはIS17SHが最もしやすい」と福山氏は自信を見せる。
●徹底的に“ケータイ感覚”を追求した「AQUOS PHONE IS15SH」
IS15SHは、「AQUOS PHONE IS11SH」「AQUOS PHONE IS14SH」に続く、物理型テンキーを搭載するスライド形状のスマートフォン。SLはスライダー(SL=Slider)を意味する。「シャープが今年3月に独自調査を行ったところ、フィーチャーフォンのユーザーでスマートフォンへの移行を考えている人の約3割がテンキー付きモデルを選びたいと回答しました。そのためシャープとしては、キー付きのモデルには一定の需要があり、今後も市場として残っていくと考えています」と北川氏は言う。さらに、「グローバルメーカーがやらないのであれば、国内メーカーがやるしかない」と後藤氏もテンキー付きスマートフォンを投入する意義を話す。その結果、全キャリアの夏モデルで唯一、テンキーを採用するモデルがシャープから登場することとなった。従来モデルであるIS11SHとIS14SHのユーザーから挙がった要望や不満点を受け、IS15SHでは防水・防塵への対応やバッテリーの強化などの改良を図り、「さらにケータイ感覚で使える端末」(北川氏)に仕上げた。
IS14SHではキー部分とキーシートが一体化した構造になっていたが、IS15SHではそれらを分離した構造を採用。「各キーが独立した構造になったため押しやすく、クリック感をより得られるようになりました」(北川氏)。使用頻度が高いセンターキーはしっかり凸感を出し、終話キーやテンキーのように横に並ぶ3つのキーはそれぞれの列で凸山の位置を変え、指がかりで区別できるようにした。キー面積も1.2倍に拡大した。さらにラウンドフォルムを採用し、スライド幅を2.4ミリ拡大した57ミリにすることで、重量バランスが良くなり持ちやすくなっている。
キーレイアウトは、従来モデルでは別々に用意されていたバックキーとデリートキーを統合し、「ケータイでいうクリアキー」(北川氏)と同等の操作性を実現している。また、スライドを閉じた状態でも電源のオン/オフができるようにサイドキー側にも電源キーを設置。十字キーやテンキーなどにアプリを振り分け、長押しと短押しでアプリを即座に起動できる「ショートカット設定」は、設定できる場所を20カ所に増やした。「マナー」という文字とベールビューのマークをキーに印刷し、より分かりやすいビジュアルに仕上げるという細かい配慮も欠かさない。
●テンキー向けに進化したアプリトップメニュー
IS15SHでは独自UIとして、アプリが横3列、縦4列で構成された「アプリトップメニュー」をアプリトレイに用意。Feel UXを搭載しなかった理由について北川氏は「アプリトップメニューはアイコンの配列がケータイのメニュー画面と同様であり、ケータイで慣れ親しんだ画面構成で操作できます。そのためIS15SHの『ケータイ感覚で使えるモデル』というコンセプトに合致するUIとして採用しました」と説明する。アプリトップメニューは、アプリがカテゴリー別に分かれており、戸惑わずに目的のアプリにアクセスできるため、スマートフォン初心者でも安心して使えるのも採用理由の1つだという。
アプリトップメニューにはテンキー仕様の機能が追加されている。アプリのカテゴリーとアプリそのものに数字が振られており、テンキーを押すことで特定のアプリを起動できるようになっている。例えば、「電話・メール」カテゴリーは1で、その中に収められた電話アプリが1だとすると、「11」と押すことで電話アプリを起動できる仕組みだ。「ケータイでおなじみの機能です。数字さえ覚えておけばアプリトップメニューを開いたあと素早くアプリを立ち上げられます」(北川氏)
●エコ技に気づいてもらうための工夫
ISW16SH、IS17SH、IS15SHの3機種すべてが対応しているシャープ独自の省エネ機能「エコ技」も進化している。「エコ技は2011年秋冬モデルから搭載し、実際に利用しているユーザーからは高評価を得ていますが、まだ認知度が低いのが現状です。今季からは利便性に気づいてもらうための工夫を施しています」(福山氏)
今までのエコ技の設定画面はモードを切り替えるだけのものだったが、新しいエコ技は節約した待受時間を表示し、バッテリーの減り具合をグラフで確認できるようになった。「この画面を見ることで省エネへの意識を持っていただけるのではないでしょうか」(福山氏)。省エネの効果を数字とグラフで確認できるため、節電のモチベーションを保つのにも一役買うだろう。バックグラウンドでの動作回数が多いアプリがあった場合、画面上部の通知バーで知らせてエコ技の設定を促す「省エネお知らせ」にも新たに対応した。
大きく改良されたのが、画面消灯時にアプリの動作を制限できる「省エネ待受」機能だ。従来は、制限するように設定したアプリとしていないアプリが混合して設定画面に並んでいたが、今回からは別々の画面に分けて表示。制限する、しないがより選びやすくなっている。アプリの並び順は、動作しようとした回数の多い順になっている。ただし「回数が多いからといって消費電力が大きいとは限らない」(福山氏)ので、制限することで省エネ効果が高いとは一概にはいえないという。
また、これまではユーザーがダウンロードしたアプリは無条件で制限していたが(後からオフにはできる)、SNS系のアプリなどは制限することで予期せぬ動作の不具合が起きてしまうことがあった。そこで夏モデルでは、省エネ待受設定直後には、ダウンロードしたアプリは制御されず、後から手動で制御できるようにした。加えて、省エネ待受の詳細画面で「制限することで意図せぬ動作の不具合が起きる場合があります」という旨がポップアップで通知されるようになった。新しいエコ技では“予期せぬ動作の不具合”は少なからず防げるはずだ。
スマートフォンの普及が進むにつれ、操作が分かりにくい、バッテリーが持たないといったユーザーの不満が多く聞こえるようになった。そうした声を聞いて、スマートフォンへの不安を募らせ、買い替えをためらっている人もいるだろう。使いやすさを追求したUIと改良を施したエコ技に対応するシャープのスマートフォン。NFCやメモリ液晶、テンキーといった独自仕様も魅力のKDDI向けの3機種からは「誰もが安心して長く使えるスマートフォンを作りたい」というシャープの想いが伝わってきた。
[松山悠達(ゴーズ),ITmedia]
最終更新:6月14日(木)18時4分
文章が無駄に長い気が…笑。
読んでいて非常に疲れるんだが…。
暗黒の稲妻