<シリア>自由軍、ガスマスク配布 化学兵器使用に備え
毎日新聞 6月15日(金)2時30分配信

 【カイロ前田英司】シリアのアサド政権の武力弾圧に抗戦する離反兵士団体「自由シリア軍」が政府軍の化学兵器使用に備えて、前線の戦闘員にガスマスクを配布していることが14日、分かった。自由軍の部隊長の一人が毎日新聞の電話取材に語った。シリア情勢を監視する反体制派組織は今月に入り、しばしば政府軍の化学兵器使用を非難しているが、実態は明らかでない。

 部隊長は「政府軍の化学兵器に対する防護策としてガスマスクの配布を始めた」と説明した。ただ、実際の被害状況など詳細は明らかにしなかった。自由シリア軍のアサアド司令官は最近、中東の衛星テレビ、アルジャジーラで「アサド政権は各地で化学兵器を使用している。一線を越えた」と語っていた。

 反体制派組織「地域調整委員会」などはシリア中部ホムスやハマ、南部ダルアーなどで化学兵器が使われた疑いがあると訴えている。インターネットの動画投稿サイトには、被害者とされる男性がけいれんを起こす映像なども流れたが、実際に化学兵器によるものかどうかは確認されていない。

 これに対し、親アサド政権の一部メディアは「自由シリア軍が(カダフィ政権崩壊後の)リビアから化学兵器を入手し、トルコ国内で使い方の訓練を受けている」と報じた。これも真偽は不明だ。

 シリアの化学兵器を巡っては米国やイスラエルが情勢混乱に伴う流出を警戒している。シリア離反兵士幹部はイスラエル紙ハーレツに対し、化学兵器はシリア空軍情報局の管理下にあり、「我々はアサド政権崩壊直後に統制できる」と語った。

最終更新:6月15日(金)8時57分

ガスマスクって…。
これ以上の被害が出ない事を祈りたいが。

暗黒の稲妻