イー・モバイル新製品が下り“最大150Mbps”を実現できないワケ
nikkei TRENDYnet 6月13日(水)11時58分配信
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6月6日イー・アクセスは新製品発表会を開催し、LTEで下り最大150Mbpsを実現するモバイルWi-Fiルーター「GL04P」を発表。だが現時点の同社のインフラではこの速度を実現できないという状況になっている。なぜこのような状況が起きている...
イー・アクセスは2012年6月6日、イー・モバイルブランドの新製品発表会を開催した。LTEで下り最大150Mbpsを実現するモバイルWi-Fiルーター「GL04P」を発表した。だが現時点の同社のインフラでは、この速度を実現することはできないという、ややちぐはぐな状況になっている。なぜこのような状況が起きているのだろうか。
【詳細画像または表】
モバイルWi-Fiルーターなど3機種を発表
今回、イー・モバイルの新製品として発表されたのは、スマートフォン1機種、タブレット1機種、そしてモバイルWi-Fiルーター1機種。
スマートフォンはファーウェイ製の「GS03」で、同社で初めてAndroid4.0を搭載したモデルとなっている。4.3インチのスーパー有機ELディスプレイを採用しながら、7.9mmという薄さと、110gという軽さを実現しているのが特徴で、持ちやすさを売りにしたスマートフォンだ。
またタブレットは、こちらもファーウェイ製の「GT01」で、10.1型ディスプレイとクアッドコアCPUを搭載し、高解像度IPSディスプレイの採用で美しい映像が楽しめるのが特徴だ。ただしこちらは3GやLTEなどの回線は搭載されておらず、モバイルWi-Fiルーターなどと組み合わせて使用することが前提となっているようだ。
そしてモバイルWi-Fiルーターの新機種が「Pocket WiFi LTE(GL04P)」であり、これが今回の新製品の目玉といっていいだろう。
下り150Mbpsを実現可能、だが……
GL04Pは、同社のLTEサービス「EMOBILE LTE」に対応した3つ目の端末となる。無線LANの規格に「IEEE802.11n」を採用し、端末間の通信速度を最大300Mbpsに向上させたほか、USBテザリングに対応するなど従来にはない機能も備えている。しかし、より大きな特徴は通信速度にあるようだ。
というのも、GL04Pは、周波数帯の帯域幅が20MHzの時に、下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsの速度を実現する「UE Category4」に対応しているからだ。イー・アクセス執行役員副社長である阿部基成氏の説明によると、UE Category4に対応した製品は世界初とのことで、「UE Category3」(下り最大112Mbps)を採用した従来機種と比べ、環境が整えばより高速な通信速度を実現できるようだ。
だがここで気になるのが、イー・アクセスが保有する帯域幅である。同社が現在獲得している1.7GHz帯の帯域幅は15MHzで、150Mbpsを実現するにはそもそも帯域幅が足りないのだ。しかもその帯域の多くは3Gで使用しており、従来製品の最大速度である75Mbpsで使用できるエリアも、極めてごく一部に限られている。
端末側が高速通信に対応しても、インフラ側の準備が整っていなければ、ユーザーが実際に高速通信を体感することはできない。それゆえ販売時は、150Mbpsでの通信ができる点を積極的にアピールはせず、USBテザリングや無線LANの高速化などを特徴として推していくようだ。
キャリアに重くのしかかる帯域幅の確保
同社が現時点で保有する周波数帯域では150Mbpsの速度を実現することはできない。だが当然のことながら、イー・アクセスは実現の見込みがない速度の端末を導入しようとしているわけではない。
というのも、総務省が「周波数再編アクションプラン」で、今年新たに割り当てるとされる1.7GHz帯の追加割り当てのうち、イー・アクセスは、同社が所有する帯域と隣り合う、5MHz×2幅の獲得を希望しているからだ。これを獲得すれば、将来的には、LTE向けに20MHzの帯域幅を実現できるという。ちなみにこの帯域の割り当ては、現在進行している700MHz帯の割り当てが終了した後に実施されると見られている。
しかし、順調に追加割り当てを獲得できたとしても、最終的には既存の3Gで利用している帯域をLTEに置き換えなければ、20MHz幅をLTEでフルに使用することはできない。また現在、こちらもイー・アクセスが獲得を目指している700MHz帯についても、実際の割り当てが2015年となっている上、全ての帯域を利用するには、現在この帯域を利用しているラジオマイクなどの帯域を“引っ越し”する必要があるため、フル活用できるまでには時間がかかると見られる。
LTEなどで高速通信を実現するためには、広い幅の帯域が必要だ。LTE-Advancedなどより高速な方式では、さらに大きな帯域幅が必要となってくる。だが、携帯電話向けに割り当てられる周波数の空きは、決して多いわけではない。昨今話題となった700/900MHz帯の割り当ても、テレビや既存の携帯電話を整理した上でようやく実現したものだし、先日900MHz帯の15MHz×2幅の割り当てを受けたソフトバンクモバイルも、7月の運用開始時点ではMCA無線などが使用している帯域の引っ越しが済んでおらず、当面は獲得した一部の帯域しか使用できない。
そのため、キャリアは、3GのユーザーをLTEに早期に移行させるなど、現在保有する帯域をやりくりして、高速通信に向けた帯域を確保せざるを得ない状況にある。しかも次の世代の通信方式に向けては、周波数帯の獲得にオークション制を導入するという動きも進んでおり、帯域確保が従来より厳しいものになると考えられる。キャリアにとって今後、周波数帯域の確保は大きな課題としてのしかかってくることになるといえそうだ。
最終更新:6月13日(水)11時58分
LTEだからって速い訳ではないのかな?
暗黒の稲妻
nikkei TRENDYnet 6月13日(水)11時58分配信
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6月6日イー・アクセスは新製品発表会を開催し、LTEで下り最大150Mbpsを実現するモバイルWi-Fiルーター「GL04P」を発表。だが現時点の同社のインフラではこの速度を実現できないという状況になっている。なぜこのような状況が起きている...
イー・アクセスは2012年6月6日、イー・モバイルブランドの新製品発表会を開催した。LTEで下り最大150Mbpsを実現するモバイルWi-Fiルーター「GL04P」を発表した。だが現時点の同社のインフラでは、この速度を実現することはできないという、ややちぐはぐな状況になっている。なぜこのような状況が起きているのだろうか。
【詳細画像または表】
モバイルWi-Fiルーターなど3機種を発表
今回、イー・モバイルの新製品として発表されたのは、スマートフォン1機種、タブレット1機種、そしてモバイルWi-Fiルーター1機種。
スマートフォンはファーウェイ製の「GS03」で、同社で初めてAndroid4.0を搭載したモデルとなっている。4.3インチのスーパー有機ELディスプレイを採用しながら、7.9mmという薄さと、110gという軽さを実現しているのが特徴で、持ちやすさを売りにしたスマートフォンだ。
またタブレットは、こちらもファーウェイ製の「GT01」で、10.1型ディスプレイとクアッドコアCPUを搭載し、高解像度IPSディスプレイの採用で美しい映像が楽しめるのが特徴だ。ただしこちらは3GやLTEなどの回線は搭載されておらず、モバイルWi-Fiルーターなどと組み合わせて使用することが前提となっているようだ。
そしてモバイルWi-Fiルーターの新機種が「Pocket WiFi LTE(GL04P)」であり、これが今回の新製品の目玉といっていいだろう。
下り150Mbpsを実現可能、だが……
GL04Pは、同社のLTEサービス「EMOBILE LTE」に対応した3つ目の端末となる。無線LANの規格に「IEEE802.11n」を採用し、端末間の通信速度を最大300Mbpsに向上させたほか、USBテザリングに対応するなど従来にはない機能も備えている。しかし、より大きな特徴は通信速度にあるようだ。
というのも、GL04Pは、周波数帯の帯域幅が20MHzの時に、下り最大150Mbps、上り最大50Mbpsの速度を実現する「UE Category4」に対応しているからだ。イー・アクセス執行役員副社長である阿部基成氏の説明によると、UE Category4に対応した製品は世界初とのことで、「UE Category3」(下り最大112Mbps)を採用した従来機種と比べ、環境が整えばより高速な通信速度を実現できるようだ。
だがここで気になるのが、イー・アクセスが保有する帯域幅である。同社が現在獲得している1.7GHz帯の帯域幅は15MHzで、150Mbpsを実現するにはそもそも帯域幅が足りないのだ。しかもその帯域の多くは3Gで使用しており、従来製品の最大速度である75Mbpsで使用できるエリアも、極めてごく一部に限られている。
端末側が高速通信に対応しても、インフラ側の準備が整っていなければ、ユーザーが実際に高速通信を体感することはできない。それゆえ販売時は、150Mbpsでの通信ができる点を積極的にアピールはせず、USBテザリングや無線LANの高速化などを特徴として推していくようだ。
キャリアに重くのしかかる帯域幅の確保
同社が現時点で保有する周波数帯域では150Mbpsの速度を実現することはできない。だが当然のことながら、イー・アクセスは実現の見込みがない速度の端末を導入しようとしているわけではない。
というのも、総務省が「周波数再編アクションプラン」で、今年新たに割り当てるとされる1.7GHz帯の追加割り当てのうち、イー・アクセスは、同社が所有する帯域と隣り合う、5MHz×2幅の獲得を希望しているからだ。これを獲得すれば、将来的には、LTE向けに20MHzの帯域幅を実現できるという。ちなみにこの帯域の割り当ては、現在進行している700MHz帯の割り当てが終了した後に実施されると見られている。
しかし、順調に追加割り当てを獲得できたとしても、最終的には既存の3Gで利用している帯域をLTEに置き換えなければ、20MHz幅をLTEでフルに使用することはできない。また現在、こちらもイー・アクセスが獲得を目指している700MHz帯についても、実際の割り当てが2015年となっている上、全ての帯域を利用するには、現在この帯域を利用しているラジオマイクなどの帯域を“引っ越し”する必要があるため、フル活用できるまでには時間がかかると見られる。
LTEなどで高速通信を実現するためには、広い幅の帯域が必要だ。LTE-Advancedなどより高速な方式では、さらに大きな帯域幅が必要となってくる。だが、携帯電話向けに割り当てられる周波数の空きは、決して多いわけではない。昨今話題となった700/900MHz帯の割り当ても、テレビや既存の携帯電話を整理した上でようやく実現したものだし、先日900MHz帯の15MHz×2幅の割り当てを受けたソフトバンクモバイルも、7月の運用開始時点ではMCA無線などが使用している帯域の引っ越しが済んでおらず、当面は獲得した一部の帯域しか使用できない。
そのため、キャリアは、3GのユーザーをLTEに早期に移行させるなど、現在保有する帯域をやりくりして、高速通信に向けた帯域を確保せざるを得ない状況にある。しかも次の世代の通信方式に向けては、周波数帯の獲得にオークション制を導入するという動きも進んでおり、帯域確保が従来より厳しいものになると考えられる。キャリアにとって今後、周波数帯域の確保は大きな課題としてのしかかってくることになるといえそうだ。
最終更新:6月13日(水)11時58分
LTEだからって速い訳ではないのかな?
暗黒の稲妻