試練に立つモンティ首相-イタリア国民の不満高まる
ウォール・ストリート・ジャーナル 6月14日(木)10時8分配信
【ローマ】イタリアのモンティ首相のハネムーンは終わった。
イタリアは再びユーロ圏の債務危機の焦点となっており、モンティ首相は経済立て直しを加速するようますます圧力を受けている。しかしその努力も、国内の高まる不満にかき消されようとしている。
モンティ首相は昨年11月に政権の座に就いて以降、増税や年金制度改革など緊縮策を打ち出し、投資家や世界の指導者から広く称賛された。
しかし最近、同氏のオーラは失せてきたようだ。投資家やイタリアの国会議員がアジェンダ(政策目標)で未完の項目、例えば労働市場改革、政府支出削減、司法制度近代化に厳しい目を向けているためだ。
ソブリン債に関するコンサルタント会社(在ロンドン)のヘッド、ニコラス・スピロ氏は「モンティ効果はかなり減退した」と述べた。
モンティ氏がかつての勢いを取り戻せるかどうかは、欧州が直面する最重要問題の一つだ。イタリア経済の規模と、国内総生産(GDP)の120%という1兆9000億ユーロ(約190兆円)の債務のため、イタリアは大き過ぎて救済できないだろう。
こうしたシナリオに対する投資家の不安は、スペインやギリシャをめぐる不透明感と相まって、イタリアの借入コストを上昇させており、モンティ氏の首相指名以前の水準に戻った。イタリア10年物国債利回りは12日、6.14%に達し、超安全とされるドイツ連邦債(国債)利回り1.42%を大幅に上回っている。
財務省当局者によれば、イタリア政府は今年借り換えに必要な資金4500億ユーロのうち、依然として約半分が未調達で、国債を発行する必要がある。
同時に、モンティ氏の増税型緊縮策は経済成長を窒息させており、1~4月の経済成長率は0.8%のマイナスに落ち込んだ。
経済と市場の双方から圧力を受け、モンティ氏は首相在任7カ月間で初めて守勢に立たされた。同氏は12日、イタリアは危機克服のためユーロ圏の金融支援を必要とするかもしれないとのオーストリアのフェクテル財務相発言に反発した。
モンティ氏は記者会見で、「欧州連合(EU)の他の政府代表が他国の状況について話すというのは全く不穏当だ」と述べ、イタリア政府は「ユーロ圏の金融上の安定を確かにするため努力し続けている」と語った。
しかし、モンティ氏の最大の難題は国内にある。イタリア人たちはテクノクラートであるモンティ氏への支持が報われているのか疑問視し始めたからだ。深刻化するリセッション(景気後退)は、モンティ氏をイタリアの救世主と持ち上げる支持者に冷水を浴びせた。一方、イタリアの強力な官僚機構は、予算を制御するはずの閣僚たちと公然と衝突するようになった。
先週の世論調査結果では、議会過半数を占めるモンティ氏支持諸政党の支持率はわずか50%で、2カ月前の63%から低下した。モンティ氏自身への支持率も、首相に就任した際の71%から34%にまで低下した。
モンティ政権に対する支持率低下をきっかけに、一部の政治家たちはモンティ首相がEU指導者から求められている厳しい改革を断行できるのかと疑問視するようになっている。先週、モンティ政権を支える最大政党で左派系の民主党の経済問題担当トップ、ステファノ・ファッシーナ氏は、モンティ氏には「他の改革を推進する力がない」とし、次回総選挙を計画通り2013年春ではなく今年秋に実施すべきではないかと問題提起した。
ペルージャ大学のアレサンドロ・カンピ教授(政治学)は、諸政党がモンティ氏を支持する期間が長引けば長引くほど、いざ総選挙となったときにこれら政党が失う票は多くなると指摘。「われわれはまさにカオスの渦中にある」と述べ、「どの政党も、大きな成果を得られなかった政権を支えた責任を取りたがらない」と語った。
最終更新:6月14日(木)10時8分
イタリアは再びユーロ圏の債務危機の焦点となっており、モンティ首相は経済立て直しを加速する様益々圧力を受けている様だ。
暗黒の稲妻
ウォール・ストリート・ジャーナル 6月14日(木)10時8分配信
【ローマ】イタリアのモンティ首相のハネムーンは終わった。
イタリアは再びユーロ圏の債務危機の焦点となっており、モンティ首相は経済立て直しを加速するようますます圧力を受けている。しかしその努力も、国内の高まる不満にかき消されようとしている。
モンティ首相は昨年11月に政権の座に就いて以降、増税や年金制度改革など緊縮策を打ち出し、投資家や世界の指導者から広く称賛された。
しかし最近、同氏のオーラは失せてきたようだ。投資家やイタリアの国会議員がアジェンダ(政策目標)で未完の項目、例えば労働市場改革、政府支出削減、司法制度近代化に厳しい目を向けているためだ。
ソブリン債に関するコンサルタント会社(在ロンドン)のヘッド、ニコラス・スピロ氏は「モンティ効果はかなり減退した」と述べた。
モンティ氏がかつての勢いを取り戻せるかどうかは、欧州が直面する最重要問題の一つだ。イタリア経済の規模と、国内総生産(GDP)の120%という1兆9000億ユーロ(約190兆円)の債務のため、イタリアは大き過ぎて救済できないだろう。
こうしたシナリオに対する投資家の不安は、スペインやギリシャをめぐる不透明感と相まって、イタリアの借入コストを上昇させており、モンティ氏の首相指名以前の水準に戻った。イタリア10年物国債利回りは12日、6.14%に達し、超安全とされるドイツ連邦債(国債)利回り1.42%を大幅に上回っている。
財務省当局者によれば、イタリア政府は今年借り換えに必要な資金4500億ユーロのうち、依然として約半分が未調達で、国債を発行する必要がある。
同時に、モンティ氏の増税型緊縮策は経済成長を窒息させており、1~4月の経済成長率は0.8%のマイナスに落ち込んだ。
経済と市場の双方から圧力を受け、モンティ氏は首相在任7カ月間で初めて守勢に立たされた。同氏は12日、イタリアは危機克服のためユーロ圏の金融支援を必要とするかもしれないとのオーストリアのフェクテル財務相発言に反発した。
モンティ氏は記者会見で、「欧州連合(EU)の他の政府代表が他国の状況について話すというのは全く不穏当だ」と述べ、イタリア政府は「ユーロ圏の金融上の安定を確かにするため努力し続けている」と語った。
しかし、モンティ氏の最大の難題は国内にある。イタリア人たちはテクノクラートであるモンティ氏への支持が報われているのか疑問視し始めたからだ。深刻化するリセッション(景気後退)は、モンティ氏をイタリアの救世主と持ち上げる支持者に冷水を浴びせた。一方、イタリアの強力な官僚機構は、予算を制御するはずの閣僚たちと公然と衝突するようになった。
先週の世論調査結果では、議会過半数を占めるモンティ氏支持諸政党の支持率はわずか50%で、2カ月前の63%から低下した。モンティ氏自身への支持率も、首相に就任した際の71%から34%にまで低下した。
モンティ政権に対する支持率低下をきっかけに、一部の政治家たちはモンティ首相がEU指導者から求められている厳しい改革を断行できるのかと疑問視するようになっている。先週、モンティ政権を支える最大政党で左派系の民主党の経済問題担当トップ、ステファノ・ファッシーナ氏は、モンティ氏には「他の改革を推進する力がない」とし、次回総選挙を計画通り2013年春ではなく今年秋に実施すべきではないかと問題提起した。
ペルージャ大学のアレサンドロ・カンピ教授(政治学)は、諸政党がモンティ氏を支持する期間が長引けば長引くほど、いざ総選挙となったときにこれら政党が失う票は多くなると指摘。「われわれはまさにカオスの渦中にある」と述べ、「どの政党も、大きな成果を得られなかった政権を支えた責任を取りたがらない」と語った。
最終更新:6月14日(木)10時8分
イタリアは再びユーロ圏の債務危機の焦点となっており、モンティ首相は経済立て直しを加速する様益々圧力を受けている様だ。
暗黒の稲妻