<北朝鮮>ベール脱ぐ正恩氏の母 神格化へ幹部に映像公開
毎日新聞 6月10日(日)9時39分配信


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金ファミリーの主な家系図
 【北京・米村耕一】毎日新聞は9日、北朝鮮の最高指導者、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の母高英姫(コ・ヨンヒ)氏(大阪出身、04年6月死亡)が、金第1書記や金正日(キム・ジョンイル)総書記(11年12月死亡)らと活動する様子を収録した内部の映像資料を入手した。金ファミリーの一員としての高氏の姿が明らかになるのは初めて。高氏が金総書記の現地指導に同行し、ファーストレディー役を担うシーンや、少年時代の金第1書記が絵を描くのを見守る母親としての姿など、これまで伏せられてきた映像が数多く収録されている。

【詳しく知る】質問なるほドリ:金総書記の家族って=回答・米村耕一(2011年10月掲載)

 ナレーションでは高氏を「不世出の先軍霊将である敬愛する金正日将軍様の最も貴重な革命同志」と紹介。「将軍様のために、先軍の我が祖国と金日成民族のために天が送った方」などと繰り返し神聖化しており、数年前に中断された高氏に対する神聖化作業が再開されたことが確認された。

 内部の資料は「偉大な先軍(軍事優先)朝鮮のお母様」とのタイトルで、約1時間半の映像。80~90年代を中心に撮影されたものを収録しているとみられ、金総書記の体調が急速に悪化した昨秋に朝鮮労働党中央委員会が再編集した。今年5月以降、朝鮮人民軍の中堅幹部などに公開が始まったという。

 高氏は60年代前半に帰還事業で北朝鮮に戻った元在日朝鮮人。これまで北朝鮮の公式報道に登場したことはなく、「日本出身」の経歴が最高指導者の母親として不適格とされている可能性が指摘されていた。資料でも高氏の氏名や経歴は明らかにされていない。

 今回、内部で資料として配布されたのは、今年4月に金正恩氏が朝鮮労働党や国防委員会の最高ポストにつき、最高指導者としての地位が確定した以上、もはや実母である高氏の存在をあいまいにしておけないと指導部が判断したことが背景にあるとみられる。

最終更新:6月10日(日)11時11分

毎日新聞は9日、北朝鮮の最高指導者、金正恩第1書記の母高英姫氏(大阪出身、04年6月死亡)が、金第1書記や金正日総書記(11年12月死亡)らと活動する様子を収録した内部の映像資料を入手したそうだ。

暗黒の稲妻