ゲーム事業はソニーを救えるか
ウォール・ストリート・ジャーナル 6月7日(木)9時42分配信
【ロサンゼルス】ソニーの社長兼最高経営責任者(CEO)に4月就任した平井一夫氏は、世界のコンピューターゲーム業界の年次展覧会である見本市「E3」の派手な発表会で10年間にわたって司会を務めた経験がある。同氏は司会の任務を外れた後もE3に足を運び続けており、今年も姿を現した。同氏はプレイステーション事業が同社の業績回復にとって重要であることを強調した。
E3のステージには上がらなかったものの、同氏が姿を見せ続けたことはそれでも象徴的だ。同氏の前任者であるハワード・ストリンガー氏や出井伸之氏がCEO在任中にE3に足を運んだことはなかったからだ。
プレイステーション事業の会長を兼務している平井氏は、赤字のテレビ事業がなし得ていないこと、つまり潤沢な利益を生み出すことがゲーム事業でできると踏んでいる。同氏は4月、CEO就任後初の戦略発表会の際、ゲーム事業が同社の成長の3本柱の一つだと指摘し、2014年度(15年3月終了)までに営業利益率8%を達成するという野心的な目標を掲げた。これは2000年代初頭以来達成していない水準だ。
みずほインベスターズ証券(東京)のアナリスト倉橋延巨氏は、「ソニーがそのような目標を達成するのは非常に困難だろう」と指摘し、「構造的な変化が起こり、スマートフォンで遊べるゲームの人気が高まっていることを背景に、従来型のゲーム業界の市場は縮小している」と述べた。
業界情報サイトのVGChartzによると、11年の世界の従来型ゲーム機の販売台数は前年比7%、ソフトウエアの販売本数は3%落ち込んだ。一方、携帯電話やタブレット型端末向けのゲーム市場は伸びが衰える兆しを全く見せていない。無料のオンラインゲームも台頭している。
ソニーは次回のプレイステーションの刷新で、再びはずみをつけたいと期待している。関係筋によると、同社は来年の発売を目指して、次世代ゲーム機の開発に取り組んでいる。
通常、新しいゲーム機を発売すると、販売台数が伸びて生産コストが下がるまでは、赤字の状態になる。そしてソフトウエアの販売が増えるにつれ、より多くの収益が出せるようになる。ゲーム機が出だしでつまずくと、損失が急速に拡大する恐れがある。これは現行のゲーム機「プレイステーション3(PS3)」でソニーが得た苦い教訓だ。
06年のPS3発売後、ゲーム事業は、2年前に黒字回復するまでの4年間で約4500億円(現在のレートで57億ドル)の損失を出した。
また、新型ゲーム機はますますモノが増えているリビングルームの中で、場所を争わなければならない。任天堂は年内に新型ゲーム機「Wii U(ウィーユー)」を発売予定であるほか、マイクロソフト(MS)も現行の「Xbox360」の後継機を開発中だ。
ゲームアプリケーションやインターネットベースのゲームサービスを融合したテレビ受像器が増えており、従来型ゲーム機が脇に追いやられる可能性がある。ソニーにとって不都合なのは、日本で昨年発売された新型携帯ゲーム機「プレイステーション・ヴィータ」の滑り出しが低調だったことだ。
現在プレイステーション事業を率いるアンドリュー・ハウス氏は5日のインタビューで、新型家庭用ゲーム機を取り巻く問題について直接的な言及はしなかったものの、利益改善の可能性はあると述べた。同氏はヴィータが当初の投資期間がそれほど長くならないハードウエアの一例になろうと指摘した上で、海賊行為との戦いで進展がみられたため、PS3がようやく中南米やアジアの途上国に参入しつつあると語った。
ハウス氏はPS3について、赤字の期間が長い特異な例だと述べた。PS3はここ6年間で約6500万台が販売された。PS3の赤字要因の一つは、搭載されていたプロセッサー「セル」のコストにある。ソニーはIBMや東芝と協力してセルの開発と製造を行った。
同氏は「PS3の投資サイクルを今後のテンプレートとして用いるのは、ミスリーディングになるかもしれない」と述べた。
PS3は当初599ドルという高値で売られていたため、売り上げが伸びなかった。この需要の鈍さにより、同社はセルのコストを下げるのに十分なスピードで生産を拡大することが困難になった。関係筋によると、ソニーは今回、よりコストのかからないアプローチを取る予定で、プロセッサーやグラフィックチップをアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)から購入する見込みだ。
最終更新:6月7日(木)9時42分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻
ウォール・ストリート・ジャーナル 6月7日(木)9時42分配信
【ロサンゼルス】ソニーの社長兼最高経営責任者(CEO)に4月就任した平井一夫氏は、世界のコンピューターゲーム業界の年次展覧会である見本市「E3」の派手な発表会で10年間にわたって司会を務めた経験がある。同氏は司会の任務を外れた後もE3に足を運び続けており、今年も姿を現した。同氏はプレイステーション事業が同社の業績回復にとって重要であることを強調した。
E3のステージには上がらなかったものの、同氏が姿を見せ続けたことはそれでも象徴的だ。同氏の前任者であるハワード・ストリンガー氏や出井伸之氏がCEO在任中にE3に足を運んだことはなかったからだ。
プレイステーション事業の会長を兼務している平井氏は、赤字のテレビ事業がなし得ていないこと、つまり潤沢な利益を生み出すことがゲーム事業でできると踏んでいる。同氏は4月、CEO就任後初の戦略発表会の際、ゲーム事業が同社の成長の3本柱の一つだと指摘し、2014年度(15年3月終了)までに営業利益率8%を達成するという野心的な目標を掲げた。これは2000年代初頭以来達成していない水準だ。
みずほインベスターズ証券(東京)のアナリスト倉橋延巨氏は、「ソニーがそのような目標を達成するのは非常に困難だろう」と指摘し、「構造的な変化が起こり、スマートフォンで遊べるゲームの人気が高まっていることを背景に、従来型のゲーム業界の市場は縮小している」と述べた。
業界情報サイトのVGChartzによると、11年の世界の従来型ゲーム機の販売台数は前年比7%、ソフトウエアの販売本数は3%落ち込んだ。一方、携帯電話やタブレット型端末向けのゲーム市場は伸びが衰える兆しを全く見せていない。無料のオンラインゲームも台頭している。
ソニーは次回のプレイステーションの刷新で、再びはずみをつけたいと期待している。関係筋によると、同社は来年の発売を目指して、次世代ゲーム機の開発に取り組んでいる。
通常、新しいゲーム機を発売すると、販売台数が伸びて生産コストが下がるまでは、赤字の状態になる。そしてソフトウエアの販売が増えるにつれ、より多くの収益が出せるようになる。ゲーム機が出だしでつまずくと、損失が急速に拡大する恐れがある。これは現行のゲーム機「プレイステーション3(PS3)」でソニーが得た苦い教訓だ。
06年のPS3発売後、ゲーム事業は、2年前に黒字回復するまでの4年間で約4500億円(現在のレートで57億ドル)の損失を出した。
また、新型ゲーム機はますますモノが増えているリビングルームの中で、場所を争わなければならない。任天堂は年内に新型ゲーム機「Wii U(ウィーユー)」を発売予定であるほか、マイクロソフト(MS)も現行の「Xbox360」の後継機を開発中だ。
ゲームアプリケーションやインターネットベースのゲームサービスを融合したテレビ受像器が増えており、従来型ゲーム機が脇に追いやられる可能性がある。ソニーにとって不都合なのは、日本で昨年発売された新型携帯ゲーム機「プレイステーション・ヴィータ」の滑り出しが低調だったことだ。
現在プレイステーション事業を率いるアンドリュー・ハウス氏は5日のインタビューで、新型家庭用ゲーム機を取り巻く問題について直接的な言及はしなかったものの、利益改善の可能性はあると述べた。同氏はヴィータが当初の投資期間がそれほど長くならないハードウエアの一例になろうと指摘した上で、海賊行為との戦いで進展がみられたため、PS3がようやく中南米やアジアの途上国に参入しつつあると語った。
ハウス氏はPS3について、赤字の期間が長い特異な例だと述べた。PS3はここ6年間で約6500万台が販売された。PS3の赤字要因の一つは、搭載されていたプロセッサー「セル」のコストにある。ソニーはIBMや東芝と協力してセルの開発と製造を行った。
同氏は「PS3の投資サイクルを今後のテンプレートとして用いるのは、ミスリーディングになるかもしれない」と述べた。
PS3は当初599ドルという高値で売られていたため、売り上げが伸びなかった。この需要の鈍さにより、同社はセルのコストを下げるのに十分なスピードで生産を拡大することが困難になった。関係筋によると、ソニーは今回、よりコストのかからないアプローチを取る予定で、プロセッサーやグラフィックチップをアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)から購入する見込みだ。
最終更新:6月7日(木)9時42分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻