<アイルランド>EU財政規律条約 参加是非の国民投票開始
毎日新聞 5月31日(木)19時38分配信


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投票する修道女たち=アイルランドの投票所で2012年5月31日、AP
 【ロンドン小倉孝保】欧州連合(EU)加盟25カ国の財政規律強化を目指す条約への参加の是非を問う国民投票が31日、アイルランドで始まった。否決された場合、アイルランドは7月に発足する欧州版国際通貨基金(IMF)である「欧州安定メカニズム」(ESM)から支援を受ける権利を失う。結果判明は1日以降になるが事前の世論調査では賛成が反対をわずかに上回っている。

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 財政規律条約は、欧州債務危機の原因となった過度の財政赤字を抑えるため、今年1月末に新たに作った条約。単年度の財政赤字を国内総生産(GDP)の0.5%以内に抑えるよう求め、違反国にGDPの0.1%以下の制裁金を科すことなどが柱だ。

 EU加盟27カ国のうち英国とチェコを除く25カ国が3月に署名、ルーマニア、ポルトガル、ギリシャ、スロベニア、スロバキアがすでに批准した。

 アイルランドだけが憲法の規定に従い、国民投票で参加の是非を問う。ユーロ圏諸国のうち12カ国以上が批准すれば発効するため、アイルランドが否決しても新条約の効力が失われることはない。

 しかし、フランスのオランド大統領が新条約見直しを求める考えを示すなど足並みの乱れが露呈しているだけに、アイルランドの国民投票結果が持つ意味は大きい。

 アイルランドは2010年に、EUやIMFから850億ユーロ(約8兆3000億円)の財政支援を受け、引き換えに付加価値税の税率引き上げや公務員の削減を断行。財政再建は順調に進んでいるが、再び危機に陥った場合、13年以後は、追加支援を受けられなくなるため、政府は批准賛成を訴えている。

最終更新:6月1日(金)1時10分

欧州連合(EU)加盟25カ国の財政規律強化を目指す条約への参加の是非を問う国民投票が31日、アイルランドで始まった様だ。

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