「寝つきわるい」「夢よく見る」被災3県警、408人の職員がPTSDの傾向
産経新聞 5月24日(木)14時41分配信

 東日本大震災の被災地で遺体の捜索・収容を中心とした災害対策業務などに従事する岩手、宮城、福島の3県警の警察職員のうち、408人に心的外傷後ストレス障害(PTSD)の傾向があることが24日、警察庁のまとめで分かった。これまでに、3県警でPTSDが原因の退職者はいないが、凄惨な現場で受けた精神的ショック(惨事ストレス)が遅発性のPTSD発症につながる恐れも懸念され、「心のケア」が課題となっている。

 警察庁は今年1~2月、PTSDの発症防止を目的として、3県警の警察職員(1万434人)に調査を実施。9847人(岩手=2208人、宮城=4020人、福島=3619人)から回答を得た。「寝つきがわるい」「活動にともなう夢をよく見る」など32項目について、問診票でPTSDの傾向を測定した。

 調査の結果、4・1%にあたる408人(岩手=64人、宮城=199人、福島=145人)が、PTSDの傾向にあると判明した。

 自宅や警察庁舎の被災といった居住・勤務環境の変化の大きさ、勤務内容の負担の重さを感じる職員にPTSDの傾向の割合が高かったという。いずれもPTSDを発症していないものの、その疑いのある状態にあり、警察庁では「環境などの変化に適応しきれずにストレス反応が出ている」と分析する。

 福島県警の警察職員では特に、太平洋沿岸の浜通りで7・1%と、内陸の中通り(3・3%)や会津地方(3・7%)と比べて高かった。津波による被害に加え、福島第1原発事故も影響しているとみられる。

 一方、上司や同僚とのコミュニケーションが多い警察職員はPTSDの傾向の割合が低かったことから、活動に対するねぎらいや、恐怖体験の共有などが有効とみられるという。

 同種の調査は昨年4~5月にかけても3県警の7750人を対象に実施。この際の調査では、7・6%にあたる587人にPTSDの傾向があった。

 今回は前回に比べて3・5ポイントの減となったが、警察庁では遅発性PTSDの発症を懸念しており、「看過できない問題。一人の職員であっても、惨事ストレスで健康を害してもらうわけにはいかず、組織としてしっかりとした対応を取りたい」と指摘。PTSDの傾向のある職員に対し、医師や臨床心理士による継続的支援の実施、通常のメンタルヘルス対策に準拠した長期的支援体制の構築といった対策を推進する方針だ。

最終更新:5月24日(木)16時46分

職務とは言え、過酷な場面を目前で沢山見られたのであろう。
本当にお疲れ様です。
しっかりケアされてください。

暗黒の稲妻