<名張毒ぶどう酒事件>奥西死刑囚の再審開始を認めず
毎日新聞 5月25日(金)10時2分配信

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差し戻し審の決定を受け「不当決定」の垂れ幕を掲げる弁護士ら=名古屋市中区の名古屋高裁前で2012年5月25日午前10時2分、兵藤公治撮影
三重県名張市で1961年に起きた「名張毒ぶどう酒事件」の第7次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事2部の下山保男裁判長は25日、殺人罪などで死刑が確定した奥西勝死刑囚(86)の再審開始を認めた高裁刑事1部決定(05年)を取り消す決定を出した。差し戻し前の高裁2部決定(06年)に続き、検察側の異議を認めた。ぶどう酒に混入された凶器の農薬が、奥西死刑囚の自白した「ニッカリンT」か否かが最大の争点で、下山裁判長はこの農薬の鑑定結果に関し「混入農薬がニッカリンTではないことを意味しないことが明らか」と判断した。【山口知、沢田勇】
【争点】「凶器の農薬」 名古屋高裁が判断
下山裁判長は、高裁1部決定の刑の執行停止も取り消した。発生から半世紀、死刑確定から40年を経た事件で、開きかけた再審の門は再び閉ざされた。弁護側は特別抗告する方針で、審理は再び最高裁に移る。特別抗告期限は30日。
差し戻し審では、専門家が再製造したニッカリンTを使った鑑定が行われ、この農薬に特有の不純物が検出された。この不純物は事件当時、現場に残ったぶどう酒からは検出されておらず、弁護団は「混入農薬はニッカリンTではなく、自白は信用できない」と主張。検察側は「検出されない場合もある」などと争っていた。
鑑定の評価に関し高裁2部は、事件から当時の鑑定まで1日以上たっていたことから「(この間に)加水分解で不純物の元になる物質がなくなったと考えることが可能」と指摘。「自白は根幹部分において十分信用できる。奥西死刑囚以外にぶどう酒に農薬を混入しえた者はいない」と結論付けた。差し戻し前の2部決定の判断をほぼ踏襲した形だ。
奥西死刑囚は三重県警の取り調べ段階で「事件前夜、自宅にあった瓶入りのニッカリンTを竹筒に移した」などと自白。しかし瓶も竹筒も見つからないなど物証に乏しく、自白を主な根拠に死刑判決が確定した。起訴直前に否認に転じていた奥西死刑囚は73年以降、再審請求を7回繰り返してきた。
7次請求(02年4月)では高裁1部が05年「自白が客観的事実と反する疑いがある」として同事件で初めて再審開始決定を出した。だが検察側が高裁2部に異議を申し立て、別の裁判長が06年「混入農薬はニッカリンT」と判断して取り消した。弁護団が特別抗告し最高裁は10年4月「科学的知見に基づく検討をしたとは言えず審理が不十分」と指摘。事件当時とできるだけ同じ方法で鑑定を行うよう求め、審理を高裁2部に差し戻していた。
確定死刑囚の再審請求では1980年代に▽免田▽財田川▽松山▽島田--の4事件で、再審開始決定が相次ぎ、いずれも再審無罪が確定している。
◇検察側「適正な判断された」
野々上尚・名古屋高検次席検事の話 奥西死刑囚の自白通り、ニッカリンTが犯行に使われたかどうかという核心部分について、科学的知見に基づき適正な判断がされた。
◇弁護団長「考えられない決定」
鈴木泉弁護団長の話 考えられない決定で暴挙以外のなにものでもない。直ちに最高裁に特別抗告を申し立てる準備に入る。この不当決定を必ず打ち破る。
最終更新:5月25日(金)12時9分
それでは一体真実は何処にあるのだろうか。
暗黒の稲妻
毎日新聞 5月25日(金)10時2分配信
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差し戻し審の決定を受け「不当決定」の垂れ幕を掲げる弁護士ら=名古屋市中区の名古屋高裁前で2012年5月25日午前10時2分、兵藤公治撮影
三重県名張市で1961年に起きた「名張毒ぶどう酒事件」の第7次再審請求差し戻し審で、名古屋高裁刑事2部の下山保男裁判長は25日、殺人罪などで死刑が確定した奥西勝死刑囚(86)の再審開始を認めた高裁刑事1部決定(05年)を取り消す決定を出した。差し戻し前の高裁2部決定(06年)に続き、検察側の異議を認めた。ぶどう酒に混入された凶器の農薬が、奥西死刑囚の自白した「ニッカリンT」か否かが最大の争点で、下山裁判長はこの農薬の鑑定結果に関し「混入農薬がニッカリンTではないことを意味しないことが明らか」と判断した。【山口知、沢田勇】
【争点】「凶器の農薬」 名古屋高裁が判断
下山裁判長は、高裁1部決定の刑の執行停止も取り消した。発生から半世紀、死刑確定から40年を経た事件で、開きかけた再審の門は再び閉ざされた。弁護側は特別抗告する方針で、審理は再び最高裁に移る。特別抗告期限は30日。
差し戻し審では、専門家が再製造したニッカリンTを使った鑑定が行われ、この農薬に特有の不純物が検出された。この不純物は事件当時、現場に残ったぶどう酒からは検出されておらず、弁護団は「混入農薬はニッカリンTではなく、自白は信用できない」と主張。検察側は「検出されない場合もある」などと争っていた。
鑑定の評価に関し高裁2部は、事件から当時の鑑定まで1日以上たっていたことから「(この間に)加水分解で不純物の元になる物質がなくなったと考えることが可能」と指摘。「自白は根幹部分において十分信用できる。奥西死刑囚以外にぶどう酒に農薬を混入しえた者はいない」と結論付けた。差し戻し前の2部決定の判断をほぼ踏襲した形だ。
奥西死刑囚は三重県警の取り調べ段階で「事件前夜、自宅にあった瓶入りのニッカリンTを竹筒に移した」などと自白。しかし瓶も竹筒も見つからないなど物証に乏しく、自白を主な根拠に死刑判決が確定した。起訴直前に否認に転じていた奥西死刑囚は73年以降、再審請求を7回繰り返してきた。
7次請求(02年4月)では高裁1部が05年「自白が客観的事実と反する疑いがある」として同事件で初めて再審開始決定を出した。だが検察側が高裁2部に異議を申し立て、別の裁判長が06年「混入農薬はニッカリンT」と判断して取り消した。弁護団が特別抗告し最高裁は10年4月「科学的知見に基づく検討をしたとは言えず審理が不十分」と指摘。事件当時とできるだけ同じ方法で鑑定を行うよう求め、審理を高裁2部に差し戻していた。
確定死刑囚の再審請求では1980年代に▽免田▽財田川▽松山▽島田--の4事件で、再審開始決定が相次ぎ、いずれも再審無罪が確定している。
◇検察側「適正な判断された」
野々上尚・名古屋高検次席検事の話 奥西死刑囚の自白通り、ニッカリンTが犯行に使われたかどうかという核心部分について、科学的知見に基づき適正な判断がされた。
◇弁護団長「考えられない決定」
鈴木泉弁護団長の話 考えられない決定で暴挙以外のなにものでもない。直ちに最高裁に特別抗告を申し立てる準備に入る。この不当決定を必ず打ち破る。
最終更新:5月25日(金)12時9分
それでは一体真実は何処にあるのだろうか。
暗黒の稲妻