ドコモ・au夏モデルで見えたスマートフォンの大きな“変化”
nikkei TRENDYnet 5月23日(水)11時8分配信


先週、au、NTTドコモが相次いで夏商戦に向けた新製品・サービスを発表した。中でも注目のスマートフォンの端末を見ると、従来とは変化している部分がいくつか見られる。今回の夏モデルで、何が変わったのだろうか?
 先週、au、NTTドコモが相次いで、夏商戦に向けた新製品・サービスを発表した。なかでも多くの人が注目しているスマートフォンの端末を見ると、従来とは変化している部分がいくつか見られる。今回の夏モデルで、何が変わったのだろうか?

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海外メーカーも対応“日本仕様”の搭載は当たり前に

 注目すべき要素の1つは、ワンセグ、FeliCa(おサイフケータイ)、赤外線といった、いわゆる“日本仕様”の搭載だ。従来は日本仕様の搭載が差別化要因となっていたが、今回のモデルを見ると、すでに日本仕様が当たり前になっていることがわかる。

 具体的に言うと、auはHTC Jを含む6機種すべてが、ワンセグ、FeliCa、赤外線に対応。NTTドコモも16機種中13機種が対応しているほか、残りの「Xperia GX SO-04D」「ELUGA power P-07D」「GALAXY S III SC-06D」の3機種も、FeliCaには対応している(SC-06Dはワンセグにも対応)。また、防水機能は、ソニーやサムスン、HTC以外の全メーカーが対応した。

 特に今回は、海外メーカーも日本仕様をしっかり載せた機種を投入しているのがポイントだ。LGに至っては、通常サイズの「Optimus it L-05D」だけでなく、5インチクラスの「Optimus Vu L-06D」までもが、日本仕様、かつ防水にも対応している。日本市場に向けた力の入れ具合がわかる。

 今後、“素”のスマートフォンを求める人達に向けた一部のハイエンドモデル以外は、ワンセグ、FeliCa、赤外線、防水といった機能の搭載が必須になっていくだろう。

全機種がAndroid 4.0対応に

 もう1つ、大きく変化しているのはOSだ。従来のスマートフォンに搭載されていたAndroidのバージョンは、2.3のものが大半を占めていた。だが、今回の夏商戦向けモデルでは、すべての機種がAndroid 4.0を搭載している。

 Android 4.0の発表から時間が経過しているので当たり前のようにも思うが、現在スマートフォンで主流のAndroid 2.3は、動作やインターフェースがこなれており、ユーザーが慣れてきている。ハイエンドモデルならまだしも、ミドル・ロークラスの端末についても、全機種がAndroid 4.0を搭載したことは、やや意外に感じなくもない。

 Android 4.0に統一された背景には、今後のキャリアのサービス展開が大きく関わっていると推測される。Androidはバージョンの違いによって動作が異なる。さまざまなバージョンの端末を用意してしまうと、アプリやサービスを開発・対応させる側の手間が膨大になる。今後さまざまなアプリやサービスを提供するには、OSのバージョンをなるべく統一した方がよいという判断が働いたのだろう。

 ただ、ある程度インターフェースや操作の作法が出来上がっていたAndroid 2.3と比べ、Android 4.0はインターフェースがあまりこなれておらず、各社がインターフェースに独自のカスタマイズを加えていることが多い。共通のインターフェースである「docomo Palette UI」への統一をある程度、図っているNTTドコモは問題が少ないかもしれないが、auは端末ごとにインターフェースが異なる。そのため、ユーザー側に混乱が起きる部分があるかもしれない。

CPUよりネットワーク、バッテリーを重視

 性能面では高速通信への対応が進んだ。LTEやWiMAXなどの高速通信に対応したモデルが、NTTドコモが11機種、auが4機種と、両者ともに半数を超えている。高速通信の搭載はユーザー満足度向上だけでなく、3Gの負担を軽減する意味も強い。今後もこの傾向は強まりそうだ。

 バッテリーについては、ハイエンドモデルでは1800mAh、ミドルクラスでも1500mAh前後の大容量が一般的となった。スマートフォンでは従来以上にバッテリーの持ちを気にする人が多い。今後も、さらなる大容量化が進んでいくものと見られる。

 一方で、CPU性能を前面に打ち出したモデルは、クアッドコアを搭載した「ARROWS X F-10D」「ARROWS Z ISW13F」のみだ。海外向けの3GモデルではクアッドコアCPUを特徴としているGALAXY S IIIも、国内向けはLTE搭載モデルであることからデュアルコアとなっている。デュアルコアを搭載したモデルも、NTTドコモでは12機種、auでは2機種と差がある。CPUはスマートフォンの動作に影響する部分ではあるものの、現状ではユーザーにはあまり大きな訴求要素になっていないと見ることができよう。

 今回の両者の夏モデルを改めて振り返ると、auはLTEの導入が控えていることもあってか、やや機種数が少ないが、モデル的にはバランスが取れており魅力は高い。NTTドコモは幅広いモデルを16機種もそろえ、かなりの充実している。この夏にスマートフォンを購入したいと思っている人は、購入を検討するのに大いに頭を悩ませてほしい。

最終更新:5月23日(水)11時8分

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