「濃い味」ブームの次に来る味覚トレンドを探れ!
nikkei TRENDYnet 5月23日(水)11時6分配信

カレー、シチュー、ラーメン、スナック菓子など、ジャンルを超えてすっかり定着した「濃い味」ブーム。しかし、いつかは飽きられてしまうのが"味"の宿命だ。「濃い」の次に来る味は何か? 味覚分析の専門家や商品開発の現場の担当者の解説...
スーパーやコンビニの店頭で「濃厚」の文字がやたらと目につく昨今。カレー、シチュー、ラーメン、スナック菓子など、ジャンルを超えて「濃い味」ブームはすっかり定着した。しかし、いつかは飽きられてしまうのが“味”の宿命だ。「濃い」の次に来る味トレンドは何か? 味覚分析の専門家や商品開発の現場の担当者の解説も踏まえて探ってみた。
【詳細画像または表】
そもそも流行している「濃い味」とはどういう味なのかを知るために、味覚を定量的に解析するセンサーを開発した慶応義塾大学の鈴木隆一研究員のもとを訪ねた。鈴木氏は大学内ベンチャー企業「AISSY」の社長でもある。
鈴木氏によれば、味は、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つの基本的な要素に分かれる。辛味については痛覚や触覚に近く、味の要素には入らない。これらをヒトの舌に感じさせる成分は「呈味成分」と呼ばれる。
「塩味は食塩、酸味なら有機酸などが呈味成分です。甘味の呈味成分である糖にはスクロースやフルクトースなど、さまざまな種類があります。私たちの味覚センサーは、甘さを感じさせるほとんどの呈味成分がカバーできるよう設定した準選択的(セミ・セレクティブ)センサーを採用しています」(鈴木氏)。
この味覚センサーで解析された結果は、基本味を軸に持つ5角形の「味覚チャート」で表現される。
最近流行している「濃い味」の商品をこの味覚センサーで解析すると、スナック菓子であれば塩味あるいは旨味、チョコレートならば苦味など、どれか1つの味がはっきりと突出したかたちの味覚チャートになる。
ところが、いま、この「濃い味」のトレンドに異変が起きている。
たとえば、現在ブームとなっている「塩麹」は、単に塩味という1つの要素が強いだけでなく、麹の酸味や旨味が加わることで、幅のある美味しさになる。
そこで、これまで数多くの食品の味の分析にたずさわってきた“味博士”の鈴木氏に、次にブームとなる味は何か、ずばり尋ねてみた。
「次に来ると思われる味は、単一の味が濃いのではなく、いくつかの味が組み合わさってバランスした濃厚でコクのある味だと考えています」。この流行の兆しをみせる「味」のキーワードとして、鈴木氏は「ボディ感」を挙げた。
「ボディ感がある」とは、どんな味なのか。
もともと「ボディ感」とは「ライトボディ」や「フルボディ」といったかたちで、ワイン、とりわけ赤ワインを論評する際に使われてきた。
実際、鈴木氏もワインのボディ感について、味覚センサーで解析した経験を持っている。「解析結果でボディ感があるものは、一般的にもフルボディと認知されているもので、ボディ感が薄いものはライトボディと、それまでの評価と解析結果は一致しました」。
「ボディ感は、味覚チャートでの面積の広さに比例します」。そう言って、鈴木氏は2つの味覚チャートをみせてくれた。
「大トロは、サーモンには少ない苦味や酸味を含むので、味覚チャートの面積が大きい。『ボディ感』とは『複数の味覚のバランスのとれた美味しさ』であり、バランスがとれればとれるほど、味覚チャートの面積は広くなるのです」。
そう解説する鈴木氏は、最近、この「ボディ感」に着目され始めた商品の1つとして「ミルクティ」を挙げ、複数の商品を実際に味覚センサーで解析した結果をみせてくれた。
確かに、一見すると、甘みと苦みしか印象にないミルクティが、旨味とのバランスをとって、かなり大きな面積を示しているのがわかる。
この「ボディ感」を持った商品を生み出すために、どのような考えがあり、どのような方法でそれが実現されているのか。「濃厚」からスタートして「ボディ感」を求めて改良を繰り返してきたメーカーを訪ねた。
複数の味要素のバランスが「ボディ感」を生む
「ワインやコーヒーだけでなく、紅茶の世界でも注目され始めた『ボディ感』を考えるときには『単に濃い味ではない』ということがポイントになると思います」。ミルクティの商品企画に携わっている、森永乳業第一営業本部リテール事業部ビバレッジマーケティンググループの並木亜希子氏はいう。
「何か1つの味の特長を飛び出させてインパクトを求めたこれまでの『濃い』ではなく、複数の味がバランスよく、ぎゅっと凝縮した美味しさ。『コク』や『深み』などと同じく味密度の高さを表す言葉が『ボディ感』だと考えています」
「ですから、当社が現在発売しているチルドカップ容器入りのミルクティ『リプトン EXTRA SHOT』には、紅茶感が強い『深煎ストロング紅茶』とミルクのコクが濃厚な『ミルク芳醇紅茶』の2タイプがありますが、どちらも『ボディ感のある美味しさ』という点では共通しているのです」
ミルクティのボディ感を追究するうえで重要なのが紅茶の味の強さだと並木氏はいう。「私たちは『紅茶感』と呼んでいます。たとえミルクを重視した『ミルク芳醇紅茶』でも、ミルクのコクで紅茶感が損なわれてしまったら、ミルクティとしてのボディ感が得られません。そのとき、特に大切になってくる要素が苦味、いわゆる『紅茶の渋み』です」。
煎茶と同様、紅茶を入れるときも、低い温度で抽出すれば旨味が、高い温度だと渋みが出る。また、抽出時間が短いと薄く、長いと濃くなる。しかし、本来はネガティブに働くことの多い『渋み(苦み)』を美味しさに変え、ボディ感を実現するためには、かなり複雑で繊細な抽出法が求められるという。
その一例として、並木氏は「渋みにもいろんなタイプがある」と指摘する。「紅茶にとってまず大切なのが、飲んだらすぐに感じる良質な『渋み』です。この『渋み』がすっと消えて、爽やかな後味になることを『紅茶の渋みのキレ』と呼んでいます。ただ、キレが良すぎると余韻が残らず、満足感に欠けてしまう。この2つの渋みをコントロールして絶妙な『渋みのキレと余韻のバランス』をとるのが、非常に難しいのです」。
その難易度の高さは、ここ数年の間にリニューアルを重ねて来たことからもわかる。
2007年11月に発売された「リプトン エクストラショット」は、3年半後の2011年春、「リプトン EXTRA SHOT 深煎ストロング紅茶/ミルク芳醇紅茶」としてリニューアルされた。その後も、同年秋には2タイプとも、今年の春には「深煎ストロング紅茶」がリニューアルされたが、そのたび、『渋み』をメインとする紅茶感は強められていったという。
「さがみ野にある研究所からサンプルが届けられると、スタッフのみんなと一緒に飲んで『もう少し紅茶感がほしい』とか『余韻の渋みが強すぎる』とか、細かな要望を出します。どのリニューアルでも紅茶の味を強くする方向にあるのですが、ボディ感にはバランスが重要なので、結局、他の要素もすべて見直すことになりました」(並木氏)
目指すボディ感とは何か。並木氏は「ただ濃いだけのアンバランスな味に刺激を求めるわけではなく、飲んで満足できるバランスのとれた深い味わいが望まれ始めています。ボディ感のある味には質の高さが感じられます。ボディ感で美味しさと上質感が得られて、しかも手軽に買える。そんな贅沢なミルクティを目指しています」という。
ボディ感と美味さの関係はどこにある?
「ボディ感」とはいったいどんな味を指すのかは理解できてきた。しかし、ボディ感があれば「美味しい」のだろうか。
この点について、前出の慶応義塾大学の鈴木氏は餃子のたれを例に説明してくれた。「餃子のたれは、醤油が多すぎるとしょっぱくなるし、酢が多いと酸っぱくなる。さらに、餃子自体の持つ旨味とのバランスも重要です。私たちが味覚センサーの解析結果から導き出した比率は、1000人の実食による調査結果と一致しました。その結果、『美味しい』とは『各味の要素がほぼ同じ強さで釣り合うこと』だと結論づけました」。
濃い味の次のトレンドとして注目される「ボディ感」。しかし、これほどまでに「濃い味」の強い刺激に慣れてしまった消費者は満足できるものだろうか。
鈴木氏はいう。「ラーメンの例でいえば、醤油、味噌、塩、それぞれの濃い味を追究してきましたが、最近は『魚介豚骨系』が人気です。かつて別ものと考えられて来た魚介系と動物系の旨味を合わせたことで、味の密度の高い、深い味わいが実現したわけです」。
つまり、単一の「濃さ」は複数のハーモニーによる「深さ」で代替できるというわけだ。
「人の味覚には『飽き』があるので、『濃い味』ブームにも限界はあります。そうはいっても濃い味に慣れてしまったぶん、いきなり薄味で満足するのは難しい。そのとき、単一の味が濃いわけではないが、複数の味覚の組合せで深みとコクがある味、つまり『ボデイ感がある味』にすれば、『これは新しい!』と味覚が反応する」(鈴木氏)。
鈴木氏は、こうしたトレンドが、塩麹の流行っている理由の1つだと分析する。「しかも、健康によいとされている麹の旨味が濃厚なぶん、塩味も控えられる。健康によくてうまければ流行ります。そういう意味で『濃い味』の次に来るのは、美味くて、さらに健康にもいい影響が与えられる可能性も持った『ボディ感』だと思っています」。
より美味しく、さらに健康的に。「濃い味」の進化形が、さまざまな分野であらたな味覚ブームを生む日は、案外、近いのかもしれない。
(文・写真/佐保 圭=フリーライター)
最終更新:5月23日(水)11時6分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻
nikkei TRENDYnet 5月23日(水)11時6分配信

カレー、シチュー、ラーメン、スナック菓子など、ジャンルを超えてすっかり定着した「濃い味」ブーム。しかし、いつかは飽きられてしまうのが"味"の宿命だ。「濃い」の次に来る味は何か? 味覚分析の専門家や商品開発の現場の担当者の解説...
スーパーやコンビニの店頭で「濃厚」の文字がやたらと目につく昨今。カレー、シチュー、ラーメン、スナック菓子など、ジャンルを超えて「濃い味」ブームはすっかり定着した。しかし、いつかは飽きられてしまうのが“味”の宿命だ。「濃い」の次に来る味トレンドは何か? 味覚分析の専門家や商品開発の現場の担当者の解説も踏まえて探ってみた。
【詳細画像または表】
そもそも流行している「濃い味」とはどういう味なのかを知るために、味覚を定量的に解析するセンサーを開発した慶応義塾大学の鈴木隆一研究員のもとを訪ねた。鈴木氏は大学内ベンチャー企業「AISSY」の社長でもある。
鈴木氏によれば、味は、甘味、塩味、酸味、苦味、旨味の5つの基本的な要素に分かれる。辛味については痛覚や触覚に近く、味の要素には入らない。これらをヒトの舌に感じさせる成分は「呈味成分」と呼ばれる。
「塩味は食塩、酸味なら有機酸などが呈味成分です。甘味の呈味成分である糖にはスクロースやフルクトースなど、さまざまな種類があります。私たちの味覚センサーは、甘さを感じさせるほとんどの呈味成分がカバーできるよう設定した準選択的(セミ・セレクティブ)センサーを採用しています」(鈴木氏)。
この味覚センサーで解析された結果は、基本味を軸に持つ5角形の「味覚チャート」で表現される。
最近流行している「濃い味」の商品をこの味覚センサーで解析すると、スナック菓子であれば塩味あるいは旨味、チョコレートならば苦味など、どれか1つの味がはっきりと突出したかたちの味覚チャートになる。
ところが、いま、この「濃い味」のトレンドに異変が起きている。
たとえば、現在ブームとなっている「塩麹」は、単に塩味という1つの要素が強いだけでなく、麹の酸味や旨味が加わることで、幅のある美味しさになる。
そこで、これまで数多くの食品の味の分析にたずさわってきた“味博士”の鈴木氏に、次にブームとなる味は何か、ずばり尋ねてみた。
「次に来ると思われる味は、単一の味が濃いのではなく、いくつかの味が組み合わさってバランスした濃厚でコクのある味だと考えています」。この流行の兆しをみせる「味」のキーワードとして、鈴木氏は「ボディ感」を挙げた。
「ボディ感がある」とは、どんな味なのか。
もともと「ボディ感」とは「ライトボディ」や「フルボディ」といったかたちで、ワイン、とりわけ赤ワインを論評する際に使われてきた。
実際、鈴木氏もワインのボディ感について、味覚センサーで解析した経験を持っている。「解析結果でボディ感があるものは、一般的にもフルボディと認知されているもので、ボディ感が薄いものはライトボディと、それまでの評価と解析結果は一致しました」。
「ボディ感は、味覚チャートでの面積の広さに比例します」。そう言って、鈴木氏は2つの味覚チャートをみせてくれた。
「大トロは、サーモンには少ない苦味や酸味を含むので、味覚チャートの面積が大きい。『ボディ感』とは『複数の味覚のバランスのとれた美味しさ』であり、バランスがとれればとれるほど、味覚チャートの面積は広くなるのです」。
そう解説する鈴木氏は、最近、この「ボディ感」に着目され始めた商品の1つとして「ミルクティ」を挙げ、複数の商品を実際に味覚センサーで解析した結果をみせてくれた。
確かに、一見すると、甘みと苦みしか印象にないミルクティが、旨味とのバランスをとって、かなり大きな面積を示しているのがわかる。
この「ボディ感」を持った商品を生み出すために、どのような考えがあり、どのような方法でそれが実現されているのか。「濃厚」からスタートして「ボディ感」を求めて改良を繰り返してきたメーカーを訪ねた。
複数の味要素のバランスが「ボディ感」を生む
「ワインやコーヒーだけでなく、紅茶の世界でも注目され始めた『ボディ感』を考えるときには『単に濃い味ではない』ということがポイントになると思います」。ミルクティの商品企画に携わっている、森永乳業第一営業本部リテール事業部ビバレッジマーケティンググループの並木亜希子氏はいう。
「何か1つの味の特長を飛び出させてインパクトを求めたこれまでの『濃い』ではなく、複数の味がバランスよく、ぎゅっと凝縮した美味しさ。『コク』や『深み』などと同じく味密度の高さを表す言葉が『ボディ感』だと考えています」
「ですから、当社が現在発売しているチルドカップ容器入りのミルクティ『リプトン EXTRA SHOT』には、紅茶感が強い『深煎ストロング紅茶』とミルクのコクが濃厚な『ミルク芳醇紅茶』の2タイプがありますが、どちらも『ボディ感のある美味しさ』という点では共通しているのです」
ミルクティのボディ感を追究するうえで重要なのが紅茶の味の強さだと並木氏はいう。「私たちは『紅茶感』と呼んでいます。たとえミルクを重視した『ミルク芳醇紅茶』でも、ミルクのコクで紅茶感が損なわれてしまったら、ミルクティとしてのボディ感が得られません。そのとき、特に大切になってくる要素が苦味、いわゆる『紅茶の渋み』です」。
煎茶と同様、紅茶を入れるときも、低い温度で抽出すれば旨味が、高い温度だと渋みが出る。また、抽出時間が短いと薄く、長いと濃くなる。しかし、本来はネガティブに働くことの多い『渋み(苦み)』を美味しさに変え、ボディ感を実現するためには、かなり複雑で繊細な抽出法が求められるという。
その一例として、並木氏は「渋みにもいろんなタイプがある」と指摘する。「紅茶にとってまず大切なのが、飲んだらすぐに感じる良質な『渋み』です。この『渋み』がすっと消えて、爽やかな後味になることを『紅茶の渋みのキレ』と呼んでいます。ただ、キレが良すぎると余韻が残らず、満足感に欠けてしまう。この2つの渋みをコントロールして絶妙な『渋みのキレと余韻のバランス』をとるのが、非常に難しいのです」。
その難易度の高さは、ここ数年の間にリニューアルを重ねて来たことからもわかる。
2007年11月に発売された「リプトン エクストラショット」は、3年半後の2011年春、「リプトン EXTRA SHOT 深煎ストロング紅茶/ミルク芳醇紅茶」としてリニューアルされた。その後も、同年秋には2タイプとも、今年の春には「深煎ストロング紅茶」がリニューアルされたが、そのたび、『渋み』をメインとする紅茶感は強められていったという。
「さがみ野にある研究所からサンプルが届けられると、スタッフのみんなと一緒に飲んで『もう少し紅茶感がほしい』とか『余韻の渋みが強すぎる』とか、細かな要望を出します。どのリニューアルでも紅茶の味を強くする方向にあるのですが、ボディ感にはバランスが重要なので、結局、他の要素もすべて見直すことになりました」(並木氏)
目指すボディ感とは何か。並木氏は「ただ濃いだけのアンバランスな味に刺激を求めるわけではなく、飲んで満足できるバランスのとれた深い味わいが望まれ始めています。ボディ感のある味には質の高さが感じられます。ボディ感で美味しさと上質感が得られて、しかも手軽に買える。そんな贅沢なミルクティを目指しています」という。
ボディ感と美味さの関係はどこにある?
「ボディ感」とはいったいどんな味を指すのかは理解できてきた。しかし、ボディ感があれば「美味しい」のだろうか。
この点について、前出の慶応義塾大学の鈴木氏は餃子のたれを例に説明してくれた。「餃子のたれは、醤油が多すぎるとしょっぱくなるし、酢が多いと酸っぱくなる。さらに、餃子自体の持つ旨味とのバランスも重要です。私たちが味覚センサーの解析結果から導き出した比率は、1000人の実食による調査結果と一致しました。その結果、『美味しい』とは『各味の要素がほぼ同じ強さで釣り合うこと』だと結論づけました」。
濃い味の次のトレンドとして注目される「ボディ感」。しかし、これほどまでに「濃い味」の強い刺激に慣れてしまった消費者は満足できるものだろうか。
鈴木氏はいう。「ラーメンの例でいえば、醤油、味噌、塩、それぞれの濃い味を追究してきましたが、最近は『魚介豚骨系』が人気です。かつて別ものと考えられて来た魚介系と動物系の旨味を合わせたことで、味の密度の高い、深い味わいが実現したわけです」。
つまり、単一の「濃さ」は複数のハーモニーによる「深さ」で代替できるというわけだ。
「人の味覚には『飽き』があるので、『濃い味』ブームにも限界はあります。そうはいっても濃い味に慣れてしまったぶん、いきなり薄味で満足するのは難しい。そのとき、単一の味が濃いわけではないが、複数の味覚の組合せで深みとコクがある味、つまり『ボデイ感がある味』にすれば、『これは新しい!』と味覚が反応する」(鈴木氏)。
鈴木氏は、こうしたトレンドが、塩麹の流行っている理由の1つだと分析する。「しかも、健康によいとされている麹の旨味が濃厚なぶん、塩味も控えられる。健康によくてうまければ流行ります。そういう意味で『濃い味』の次に来るのは、美味くて、さらに健康にもいい影響が与えられる可能性も持った『ボディ感』だと思っています」。
より美味しく、さらに健康的に。「濃い味」の進化形が、さまざまな分野であらたな味覚ブームを生む日は、案外、近いのかもしれない。
(文・写真/佐保 圭=フリーライター)
最終更新:5月23日(水)11時6分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻