<1票の格差>幹事長会談も物別れ 民主内で調整つかず
毎日新聞 5月23日(水)22時9分配信


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会談に臨む(奥右から)輿石東民主党幹事長、石原伸晃自民党幹事長、井上義久公明党幹事長、市田忠義共産党書記局長。右手前は樽床伸二民主党幹事長代行=国会内で2012年5月23日午後2時、藤井太郎撮影
 与野党は23日、国会で幹事長・書記局長会談を開き、「1票の格差」是正など衆院選挙制度改革について協議した。民主党の輿石東幹事長は、議員定数80削減を柱とした同党案を改めて提示。野党はすでに実務者段階で同党案を拒否しており、「やる気がない」と強く反発した。与野党は6月21日の今国会会期末までに結論を得ることで一致したものの、与野党合意を急ぐ野田佳彦首相と、輿石氏ら民主党執行部の温度差が浮き彫りになった。

 会談では、民主党の樽床伸二幹事長代行が、4月の各党協議会で提示した定数80削減(小選挙区5、比例代表75)や小選挙区比例代表連用制の一部導入を柱とする同党案を改めて説明。自民党の石原伸晃幹事長は「格差是正を先行すべきだ」、公明党の井上義久幹事長も「極めて不十分で中途半端」などと批判し、平行線に終わった。

 野田首相は消費増税に理解を得るため、衆院選挙制度改革の今国会決着への決意を繰り返し表明してきた。この日の幹事長会談も、「レベルを上げた政治判断が必要」として、首相自ら輿石氏に開催を指示したものだ。しかし、会談で社民党の重野安正幹事長が「ステージが変わったので輿石案を出すべきだ」と迫ったのに対し、輿石氏は「私が個人で出す話ではない」と述べるにとどめた。

 一方、輿石氏は会談の最後に「せっかく国対委員長も同席している。法案審議もお願いしたい」と表明。当初の議題になかった原子力規制庁設置法案や特例公債法案などの審議促進に協力を求めた。

 自民党は問責2閣僚の続投に反発し、消費増税法案以外の審議に応じていない。石原氏は「今日は選挙制度の話だ。(法案審議の)ボールは与党にある」と批判。与野党の合意どころか、輿石氏が提案した来週の再会談出席についても「考えさせてもらう」と収まらなかった。

【高橋恵子】

 ◇与野党、司法判断を放置

 衆院小選挙区の「1票の格差」をめぐっては、最高裁が昨年3月、09年衆院選(最大格差2.30倍)を「違憲状態」とする判決を下して以来1年2カ月が経過した。与野党はそれぞれの思惑から歩み寄る気配はなく、対立にかまけた「動かない政治」により、司法判断が放置されている。

 最高裁判決は、各都道府県に1議席を割り振る「1人別枠方式」が格差の原因として、国会に法改正を促した。与野党はこれを受け、昨年10月になってやっと各党協議会を設置して議論を始めた。

 民主、自民両党は当初、5県で定数1減する0増5減案(最大格差は1・79倍に縮小)の実施を検討。これに公明党以下の中小政党が比例代表制度見直しの同時決着を求め、協議は暗礁に乗り上げた。政府の衆院議員選挙区画定審議会(区割り審)の区割り勧告期限の切れた今年2月からは、「違法状態」にもなっている。

 野田佳彦首相は22日、衆院社会保障と税の一体改革特別委員会で、衆院選挙制度改革について「何としても(消費増税)法案の採決前には結論を出さなければいけない」と決意を示した。首相は違憲・違法状態でも「解散権は縛られない」としているものの、「法改正なしに解散できない」との見方は与野党に強く、「消費税政局」の駆け引き材料にもなっている。

 「最高裁判決はかなり本気で、立法府に改革しろというメッセージだ。違憲状態での選挙は苦しく、先行して解決しておくべきだ」。23日の衆院政治倫理・選挙制度特別委員会の参考人質疑に出席した曽根泰教・慶応大大学院教授(政治学)はこう語り、少なくとも0増5減で格差是正に取り組むよう警告した。【大場伸也】

最終更新:5月24日(木)0時28分

4割台の得票で7割の議席を獲得出来る小選挙区(1人区)制は民主主義に反しないのかな。
民意を正確に反映する比例代表制か、せめて中選挙区(3~6人区)に戻せないのかね。

暗黒の稲妻