<ルネサス>エルピーダに続き…「日の丸半導体」苦境鮮明に
毎日新聞 5月22日(火)21時58分配信

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半導体事業再編の構図
 半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、従業員約4万2000人の約15%にあたる6000人前後の人員削減の検討に入った。設立母体の日立製作所などに第三者割当増資による500億円規模の支援を求める。2月に経営破綻し、経営再建中のエルピーダメモリに続き、国内電機大手の共同出資による「日の丸半導体」メーカーの苦境が鮮明になっている。

 ルネサスの母体となった日立、NEC、三菱電機の各社はかつて、複数の機能を一つのチップに詰め込んだ「システムLSI」(大規模集積回路)を家電製品向けに自社で作っていた。しかし、00年代のITバブル崩壊などで需要が急減したことなどから、システムLSI事業の採算が急速に悪化。同事業を本体から切り出して他社と統合することで、効率化を図った。

 しかし、最大の顧客である国内電機メーカーは、テレビなどの不振で業績が低迷。東日本大震災やタイ洪水に加え、急激な円高、欧州や中国などでの半導体の売れ行き不振も響き、12年3月期の売上高は前期比2割以上減少。2期連続の最終(当期)赤字に陥った。

 ルネサスの稼ぎ頭は、エンジンや電気モーターを制御する自動車向け「マイコン」。世界シェアは約4割に達する。ところが「寄り合い所帯特有の意思決定の遅さから、リストラが不十分」(米調査会社IHSアイサプライの南川明・主席アナリスト)で、マイコンでのせっかくの稼ぎをシステムLSIなどの赤字部門で食いつぶす形になっていた。

 IHSアイサプライによると、昨年の半導体メーカーの売上高と世界シェアは、首位インテル(米)が487億ドル(約3・9兆円)で15・6%、2位サムスン電子(韓国)が285億ドルで9・2%を占めるのに対し、5位のルネサスは106億ドルの3・4%。

 サムスンは、寄り合い所帯の逆を行く経営判断の早さで、事業の選択と集中を徹底。さらに、スマートフォンなどもうけの大きい製品の世界シェアが高く、低コストの半導体部品をこれらの自社製品に使えることも、生産設備の効率的な活用につながっている。再建を急ぐ日の丸半導体メーカーだが、半導体需要の伸び悩みと韓国勢の台頭の中、苦戦が続きそうだ。【大久保陽一】

最終更新:5月22日(火)23時40分

半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、従業員約4万2000人の約15%にあたる6000人前後の人員削減の検討に入ったそうだ。

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