<三菱東京UFJ銀>対イラン決済停止 資産凍結指示で
毎日新聞 5月17日(木)2時30分配信

 米ニューヨーク地裁が三菱東京UFJ銀行に対し、管理するイラン政府・中央銀行の資産凍結を指示していたことが16日、分かった。米国でイラン政府を相手に行われた損害賠償訴訟の賠償財源を確保する措置とされる。これを受け三菱東京UFJ銀行は、イラン金融機関との決済取引を当面停止すると決定。同行は日本のイラン貿易決済の7~8割を担うため、原油取引などが混乱する懸念があり、政府は対策の検討に乗りだした。

 政府関係者や毎日新聞が入手した文書によると、同地裁は今月2日、同行の在米支店や東京の本店に口座があるイラン政府・中銀の資産のうち、約26億ドル(約2000億円)分の凍結を指示した。同地裁では、1983年にレバノンの首都ベイルートで起きた米海兵隊司令部爆破テロ(241人死亡)で、イランの関与を主張する遺族が損害賠償を求めて提訴。07年に賠償を認める司法判断が下されたが、イランは支払っていない。今回の措置は「賠償を確実にするため」(政府関係者)と見られる。

 指示に従わないと、約26億ドルの罰金が科される可能性があり、三菱東京UFJ銀行は当面、資産を凍結し、決済を停止すると決定。商社などイラン貿易に携わる取引先に連絡を始め、金融庁などと対策を協議している。政府は決済停止が長期化する事態に備え、同行以外で決済などができないか、対策を検討する。同地裁の指示が、同行だけか、他の銀行も含まれるかは不明。

 日本とイランの貿易総額は約1兆1600億円(11年)。このうち、原油などの輸入が1兆273億円を占める。決済の7~8割は同行のイラン中銀口座を利用しており、原油の安定供給に支障が生じる可能性もある。

 イランの核開発を批判する米政府は2月、米国の銀行が保有するイラン資産を凍結する制裁を発動。3月末には、イラン中銀と取引する外国金融機関に対する制裁措置を決定した。ただ、日本がイラン産原油の輸入削減を進めたことが評価され、邦銀は制裁の対象外になっていた。【赤間清広、三沢耕平】

 ◇原油調達に新たな課題

 米司法当局の指示に伴う三菱東京UFJ銀行の対イラン決済取引の停止措置は、原発の長期停止で資源調達が課題となっている日本に新たなリスクを突きつけた。当面の輸入原油は既に決済済みとされ、流通に混乱は見られないが、長期化すれば原油調達に支障が生じる可能性がある。

 日本政府が警戒してきたのは、米国のイラン制裁が日本のメガバンクにも及ぶ事態だった。原油代金の決済を行っているイラン中央銀行と取引のある外国金融機関に対し、米銀との取引を大幅に制限する内容で、邦銀が対象になれば米金融市場から締め出される恐れがあった。

 日本政府は11年後半の半年間で、イラン産原油の輸入を削減した実績を訴え、米国から邦銀の対象除外を引き出したが、今回の問題はこうした外交努力を覆すものだ。政府関係者は「日米の政府間で一度は決着がついたはずなのに。司法の判断だけに対応が難しい」と動揺を隠さない。【赤間清広】

最終更新:5月17日(木)5時13分

確かに何か変だと思ったんだ。
東京の本店に合衆国の主権が及ぶ訳無いのだから。
合衆国内の支店ならば、差し押さえの効力は有効なので、適法なのだろうけど。
さて、日本国内の口座については、どうするんでしょう?野田さん

暗黒の稲妻