<鳥インフル>河岡教授の論文やっと公開 米が非公表要求
毎日新聞 5月3日(木)2時0分配信

 人から人には感染しにくいとされている高病原性H5N1型鳥インフルエンザウイルスについて、わずかな遺伝子の変異で哺乳類の間でも容易に感染することを示した東京大医科学研究所の河岡義裕教授の論文が、3日付の英科学誌「ネイチャー」に全文掲載された。この論文については、米政府が生物テロに悪用される懸念があるなどとして一部非公表を求めたことで、掲載が先送りされていた。

 H5N1型ウイルスはアジアやアフリカで散発的に人に感染し、死者も出ているが、人から人に容易に感染する変異ウイルスは今のところ出現していない。河岡教授らのチームは、H5N1型ウイルスの表面にあり細胞に入り込むための突起「ヘマグルチニン」に注目。H5N1型の遺伝子のうち、このヘマグルチニンに関する部分を操作して3カ所を変異させるなどし、新たなウイルスを作った。これをイタチの仲間のフェレットに感染させたところ、さらに1カ所が変異した。

 この変異したウイルスに感染した個体と健康な個体を金属の網で区切ったカゴに入れたペア6組を飼育していたところ、3~7日後に4匹が感染、残る2匹もウイルスに対する抗体ができていた。感染したフェレットは肺の機能が低下したり、体重が減少したりしたが、死ぬことはなかった。この実験からチームは、H5N1型は同じ哺乳類の人同士でも容易に感染するウイルスに変異する可能性があると結論づけた。

 この論文は昨年8月に提出されたが、オランダのグループの論文と併せ、米政府がテロへの悪用防止のため一部を非公表とすべきだと勧告。研究促進のために全面公開するか論争を巻き起こしていた。3月末に米政府は「公衆衛生にとって重要な価値がある」と勧告を撤回した。

 河岡教授は「人間同士でパンデミック(世界的大流行)を起こす可能性を示したことで、各国のH5N1型ワクチンの備蓄などに関する政策に影響を与えるだろう」と話している。【斎藤広子】

最終更新:5月3日(木)10時10分

確かにテロも心配なんだが難しい問題だ。
結果を発表しなければ資金が得られずに研究が行き詰まるのも事実。
悪用する奴は何でも使っちゃうと思うのだが。

暗黒の稲妻