シー・シェパード 海保、妨害物を2トン押収
産経新聞 5月3日(木)7時55分配信


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シー・シェパードが南極海に投げ込んだロープなど。調査捕鯨船団が回収した=東京都内(松本健吾撮影)(写真:産経新聞)
 米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)による調査捕鯨妨害問題で、海上保安庁が、SSが南極海に投げ入れたロープやガラス瓶などを大量に押収していたことが2日、分かった。海保はすでに証拠品として分析を終えており、器物損壊や威力業務妨害容疑などを視野に入れ、SSの立件に向けて捜査を進めている。

 関係者によると、今年1月から3月にかけて南極海で行われた調査捕鯨で、SSは捕鯨船団のスクリューやかじを破壊しようと、鉄塊やワイヤを装着したロープ50本以上(最長約70メートル)を海に投げ込んだ。

 さらに、強烈な悪臭がし失明の危険のある酪酸(らくさん)や塗料を詰めたガラス瓶、発火弾なども投擲(とうてき)。捕鯨期間中に妨害活動は計11回に及び、船体が酪酸や塗料で汚損したほか、船員は生命の危険にさらされたという。

 妨害活動が年々エスカレートしているため、今期の調査活動には、捕鯨船に海上保安官が乗船し、水産庁の監視船を初めて派遣するなど安全対策を強化。これまでは船内に投げ込まれた物しか回収できなかったが、今期は海面に浮かぶロープなどの妨害物を大量に引き上げた。投げ込まれた量は総計10トン以上と推測され、そのうちの約2トンを船団が回収した。

 実際に乗船した関係者は「酪酸瓶をランチャーを使って撃ち込むなど今年は軍が使うような装備で攻撃してきた。無事帰ってこられたのが不思議なくらいだ」と訴える。

 SSをめぐっては、海保が平成22年2月、南極海で監視船に侵入した元メンバーのニュージーランド人、ピーター・ベスーン元被告(47)=傷害罪などで有罪判決=を逮捕した。

 同年4月、一連の犯罪行為を指揮した疑いが強まったとして、威力業務妨害容疑などで代表のポール・ワトソン容疑者(61)の逮捕状を取得し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配している。

 捜査関係者によると、ロープなど妨害物の押収は、SSの悪質な行為を立証する上で不可欠としている。分析を終えた妨害物の一部は、調査捕鯨を実施している日本鯨類研究所(東京都中央区)に引き渡された。

 鯨類研究所は昨年、SSの本部のある米ワシントン州で、妨害差し止めを求める訴訟を提起。押収したロープなどは日本側が示す決定的な証拠となり、裁判の流れが有利に傾く可能性もある。

【用語解説】シー・シェパード

 海洋生物の保護を標榜(ひょうぼう)して過激な活動を続ける国際非営利組織。ポール・ワトソン容疑者が1977年に設立した。本拠地は米国ワシントン州にあり、ハリウッド俳優や実業家からの寄付などをもとに運営されている。2005年から日本の南極海での調査捕鯨を妨害し始めるようになった。「シー・シェパード」は「海の番犬」などの意。

最終更新:5月3日(木)9時24分

米反捕鯨団体、シー・シェパード(SS)による調査捕鯨妨害問題で、海上保安庁が、SSが南極海に投げ入れたロープやガラス瓶などを大量に押収していた事が2日、分かった様だ。

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