<小沢元代表無罪>指定弁護士「ほとんど有罪」
毎日新聞 4月27日(金)1時18分配信


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東京地裁に入る検察役の指定弁護士=東京・霞が関で2012年4月26日、梅村直承撮影
 政界の実力者に下された無罪判決。「完全な無罪」と評価する小沢一郎・民主党元代表の弁護団に対し、検察官役の指定弁護士は「ほとんど有罪」と悔しさをにじませた。「市民感覚」を反映した検察審査会の判断に結果的に「ノー」を突き付けた東京地裁の判決は、関係者に大きな波紋を広げた。【伊藤一郎、鈴木一生、山本将克】

【虚偽記載事件】小沢一郎元代表に無罪判決…東京地裁

 ●笑顔の元代表 「そうか、そうか。ありがとう」。判決言い渡し後の104号法廷別室。判決内容を詳しく説明する弁護団の弘中惇一郎弁護士の言葉に、元代表は緊張が解けた様子で笑顔を浮かべた。公判を毎回傍聴し、同席した民主党の辻恵衆院議員が「おめでとうございます」と声をかけると、「ありがとう」と右手を差し出し強い握手を交わした。

 これから記者会見に臨むことを告げる弁護団。元代表はコメントだけで対応する意向を示し、関係者が運転する黒いワンボックスカーに乗り込み、東京地裁を後にした。その後、「裁判所の良識と公正さを示していただいたことに敬意を表する」とのコメントを出し、自宅に閉じこもった。

 ●弁護団けん制 弁護団の会見。弘中弁護士は「完全な無罪と受け止めている」と断じた。元代表が「政治的抹殺が目的」とまで批判した検察の捜査手法にほとんど触れない判決内容には「物足りなさが残る」と不満を見せたが、すぐに笑みを浮かべ、「要は結論」と言い切った。

 秘書らとの間に虚偽記載の「報告・了承」があったと認定した上での無罪判決だが、喜田村洋一弁護士は「一昔前なら『可能性』があれば有罪だった。(今回の判決は)『可能性』があっても故意や共謀を認定できないという刑事裁判の本道に立ち戻った判断だ」と強調した。

 判決が批判した、元東京地検特捜部の田代政弘検事の捜査報告書問題については「(検察が)きちんと起訴して、裁判所の判断を仰ぐ方向でやっていただきたい」と注文。指定弁護士に対しては「控訴は思いとどまるという結論をしていただくことを強く期待する」と、けん制した。

 ●控訴明言避け 弁護側に続いて会見した指定弁護士の大室俊三弁護士は「結論として主張が受け入れられなかったが、私どもが指摘した個々の点はほとんど否定されていない」と無罪判決に疑問を呈した。山本健一弁護士も「争点は、ほぼ我々の主張が認められているが、結論は逆方向」と不満をあらわにした。

 弁護士同士が相対する異例の裁判に、指定弁護士には疲労の色もうかがえた。村本道夫弁護士は「無罪でも有罪でも(指定弁護士としての任務は)今日で終わりかなと思っていた。控訴については3人で話さなければならないが、これからとなると、ちょっとつらい」と明かした。

 裁判では捜査報告書問題で強制起訴の有効性が争点になり、指定弁護士を苦しめた。それでも大室弁護士は「判決を聞く限り、検察審が起訴すべきだとした議決は、不合理な決断ではなかった」と、公訴棄却という最悪の判断が示されなかったことを評価した。

 焦点の控訴について、山本弁護士は「無罪理由を検討し、納得できなければ、控訴する」と説明。大室弁護士は「(控訴しても、しなくても)政治的影響はある。そうした影響を考えて判断したくはないので、司法の問題として考える」と述べるにとどめ、明言を避けた。

 ●関係者の困惑 検察審の補助役を務めた吉田繁実弁護士は「ほぼ事実関係を認め、重要な争点だった秘書の報告、了承を認めながら、無罪としたのは、全く予想外。ここまで詳細な認識が要求されるのなら、政治家本人が政治資金規正法違反で有罪になることはない」と非難するコメントを出した。

 今回の判決で自身の違法行為を再び認定された元秘書の石川知裕衆院議員は、複雑な表情を浮かべた。今年2月の結婚披露宴で「私のことで大きな荷物を背負わせてしまった」とスピーチしてくれた元代表。その無罪判決には「ほっとした」と素直に喜んだ。一方、「2度目の有罪判決」を受けたことについては「罪を犯そうと思ってやったわけじゃないが、結果として小沢さんが無罪になったことで、判決は良しとしなければ」と言い聞かせるように話した。

 ◇控訴、指定弁護士側「これから検討」

 控訴について、指定弁護士側は「これから検討したい」とし、通常の刑事裁判と同様に2週間以内に控訴できる。初の強制起訴裁判となった那覇地裁の無罪判決(3月)でも指定弁護士が控訴した。ただ、検察審査会法は指定弁護士の職務について「公訴を提起し、公訴の維持をするため検察官の職務を行う」と定めるだけで、控訴審の指定弁護士の人選などについて規定はない。制度づくりに関わった法務省幹部も「明確には言えない」という。

 一方、指定弁護士の報酬は政令が「審級ごとに19万~120万円」と定めており、1審、2審、上告審でそれぞれ120万円を上限に支払われる。【坂本高志】

最終更新:4月27日(金)7時17分

検察の質の低下が招いた結果ではないのかね。
バレなければ何をしてもいいのだろうか。
この国の法律はズル賢い奴のものなのだろうかね。

暗黒の稲妻