<スマートフォン>安全置き去り フィルタリング、企業任せ ネット利用、親子で相談を
毎日新聞 4月16日(月)15時32分配信


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さまざまなスマートフォンの機種が並び、にぎわう売り場=東京都千代田区のビックカメラ有楽町店で2012年4月12日鈴木敦子撮影
 自由にインターネットに接続できるスマートフォン(スマホ)が普及し、子どもがスマホを手にする機会も増えた。従来型の携帯電話のフィルタリングが義務化されて3年。スマホのフィルタリングはどうなっているのか。【鈴木敦子、水戸健一】

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 スマホ向けフィルタリングソフトを販売する「デジタルアーツ」社が昨年、10~18歳の男女1236人に実施したネット調査によると、スマホを持っている人の19%がネットを巡るトラブルを経験。従来型携帯を持っている人(10%)の約2倍にのぼった。同社は、スマホと従来型携帯でフィルタリングに差があることが原因とみている。

 ポルノや暴力など、子どもに有害なサイトへのアクセスを遮断するフィルタリング。09年に施行された青少年インターネット環境整備法は、携帯電話の販売店やネット接続業者に対し、18歳未満が使う携帯電話にはフィルタリングを設定するよう義務づけた。

 だが、スマホは自分でアプリケーション(ソフト)を入れて機能を増やすことができるなど、実態は携帯電話よりパソコンに近い。同法はパソコンについて携帯電話のような義務づけはしておらず、結果としてスマホはどんなサイトにも無制限につながる「抜け道」になるのだ。

 技術的な問題もある。従来の携帯電話は電話回線を使うため、携帯電話会社が自前の回線にフィルタリングをかければ有害サイトへのアクセスを遮断できたが、スマホは街中の無線LAN回線(Wi-Fi)経由でネットに接続することも可能。電話回線にフィルタリングをかけても、その網から外れてネットに接続できてしまう。

 携帯電話各社にはスマホ用フィルタリングサービスもあるが、ブロックできるのは電話回線か、自社の無線回線に限られる。NTTドコモは「他社の(無線回線の)サービス内容までチェックするのはそもそも不可能」と指摘。デジタルアーツ社は「無線回線にはいろいろな接続業者が参入し、得られる情報量も従来の比ではない。自社だけではすべてを監視できない」と限界を認める。

 NPO青少年メディア研究協会の下田博次理事長は「スマホはブレーキのない自転車のようなもの。安全性が全く担保されていない」と指摘。総務省のワーキンググループは昨秋、スマホのフィルタリング提供を「民間による自主的な努力」にとどめる提言を出したが、下田さんは「フィルタリングが不十分だと認めながら、スマホを売りたがっている企業に委ねるのは無責任だ」と、国の対応を批判している。

 閲覧をすべて遮断するのではなく、ルールを決めて閲覧を可能にするソフトもある。

 シマンテック社がホームページ上で無料提供しているフィルタリングソフトは、有害サイトの閲覧をいったん制限するものの、子どもがアクセスしたい時には保護者に理由を添えて申請できる。閲覧のルールを親子で決められるのが特徴だ。

 同社ノートン事業部の吉田一貫さんは「保護者がネット事情に疎いと、厳しい制限を設けるか、諦めるか、と極端になりがちだ。親子で話し合い、正しくネットを活用すべきだ」と話している。

 ◇子ども向け携帯、従来型は機能を限定

 スマホのような高機能携帯が普及する一方で、当初インターネットやゲームなどの機能が付いていた子ども向け携帯は、09年に文部科学省が小・中学校への持ち込み原則禁止を打ち出して以降、大きく変容している。

 携帯電話大手3社は、親など特定の相手としか電話・メールができず、ネットにもつながらない一方、GPS(全地球測位システム)による居場所検索や防犯ブザーの機能をつけた機種を販売している。ソフトバンクの担当者は「学校への持ち込みを意識した」と話す。

 電話はいずれも登録した相手としかつながらない。メールは、ソフトバンクは登録先20件から受けられるが、送信はできない。NTTドコモは登録先10件に、33の定型文のみ送れる。受信に制限はないが、保護者が制限をかけることは可能だ。KDDI(au)は登録先10件とやりとりができる一方、メールを使えない設定にもできる。

 月額使用料は各社とも1000円未満。当初数年は無料になるサービスもある。機能限定型の機種「マモリーノ」を2年前から販売しているKDDIは「機能をそぎ落とすことで、安全確認のニーズに応える電話を安く提供できる」と説明する。

 見た目も電話より防犯ブザーに近く、こうした目的で小学校入学時に購入する保護者が多いというが、GPSで居場所を捜す場合、ドコモとソフトバンクは、保護者の携帯が他社のものだと利用に制約がある。

 東京都品川区は05年から区内の小学生全員にGPS付き防犯ブザーを無料貸与している。ブザーを鳴らすと、位置情報が役所内の窓口や近所の防犯協力員に届き、駆けつけて安全を確認するという。現在はマモリーノを利用しており、保護者が契約すれば、電話やメールも使える。

 10年度は子どもが危険を感じてブザーを鳴らしたケースが21件あり、事件の未然防止に役立ったという。区教委の担当者は「常に首から下げているので区内の子だと分かる。可視化によって、地域の子どもの安全に関わろうという大人の意識が高まっている」と、思わぬ効果を実感している。【田村佳子】

最終更新:4月16日(月)18時20分

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