新設3号は「らせん水車式」 小水力発電所「元気くん」に視察者急増
産経新聞 4月8日(日)12時47分配信
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稼働を始めた山梨県都留市の小水力発電所「元気くん3号」(写真:産経新聞)
「小水力発電のまち」を掲げる山梨県都留市のシンボル的存在で、3カ所目の家中川(かちゅうがわ)小水力市民発電所となる「元気くん3号」が市役所(同市上谷)近くに完成し、この春に本格稼働を始めた。東日本大震災と原発事故以降、「エネルギーや発電に対する関心の高まり」(都留市政策形成課の秋山英一郎主事)から、小水力発電所への視察者数が急増している。
同課によると、平成23年度の視察者数は2475人と、22年度の1330人から倍近くに増えた。とくに県外からの視察者が2035人(22年度1054人)と圧倒的に多い。新設の3号が視察可能となった年明け以降も、福島県会津若松市議会、福島市議ら被災地を含む全国から視察者が訪れたという。
元気くん1号は市庁舎前の家中川に、2号はその300メートル下流に設置。水車の力で生まれた電気は市役所の受電設備を介し、市役所や周辺のエコハウス、植物栽培施設の電力に使われ、電気使用量の少ない土日曜日に発電した電気は売電にも回している。
河川工事などで発電できなかった期間を除く1、2号の発電総量は、市役所と周辺施設で使われる年間電力の約4割に上り、これに3号が加わると、5割程度に押し上げられる計算になるという。
3号は長さ約7メートル、直径1・6メートルの「開放型らせん水車」という形式。上流の水を鉄製のブレード(スクリュー)が受けて発電する。最大出力7・3キロワットで水の落差1メートル、最大使用水量は毎秒約1トン。
木製の下掛け水車の1号(最大出力20キロワット、落差2メートル)、上掛け水車の2号(19キロワット、3・5メートル)と異なる形式で規模は小さい。しかし、少ない落差で発電できるほか、大規模な導水路も必要なく、場所を選ばず、設置も容易というメリットがあるという。
水車のスクリューの回転速度は1分間に約37回。ギアを組み合わせた増速機を介して約1500回転まで上げて発電機盤に伝える。
都留市には「環境学習ができる町」として修学旅行の訪問先に検討したいという問い合わせもあり、市政策形成課の秋山主事は「元気くんというハードを生かして交流人口を増やし、観光などの面で市民に利益を還元したい」と話す。
■都留市家中川小水力市民発電所 元気くん1号は平成18年、2号は22年に稼働開始。3号の設置費約3千万円は山梨県地域クリーンエネルギー導入促進事業費補助金を財源としている。市役所庁舎前を流れる家中川は古くからの農業、生活用水で、とくに夏場の水量が豊か。この地域の江戸期の基幹産業、絹織物生産の動力源にも水車が用いられたという。
最終更新:4月8日(日)17時46分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻
産経新聞 4月8日(日)12時47分配信

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稼働を始めた山梨県都留市の小水力発電所「元気くん3号」(写真:産経新聞)
「小水力発電のまち」を掲げる山梨県都留市のシンボル的存在で、3カ所目の家中川(かちゅうがわ)小水力市民発電所となる「元気くん3号」が市役所(同市上谷)近くに完成し、この春に本格稼働を始めた。東日本大震災と原発事故以降、「エネルギーや発電に対する関心の高まり」(都留市政策形成課の秋山英一郎主事)から、小水力発電所への視察者数が急増している。
同課によると、平成23年度の視察者数は2475人と、22年度の1330人から倍近くに増えた。とくに県外からの視察者が2035人(22年度1054人)と圧倒的に多い。新設の3号が視察可能となった年明け以降も、福島県会津若松市議会、福島市議ら被災地を含む全国から視察者が訪れたという。
元気くん1号は市庁舎前の家中川に、2号はその300メートル下流に設置。水車の力で生まれた電気は市役所の受電設備を介し、市役所や周辺のエコハウス、植物栽培施設の電力に使われ、電気使用量の少ない土日曜日に発電した電気は売電にも回している。
河川工事などで発電できなかった期間を除く1、2号の発電総量は、市役所と周辺施設で使われる年間電力の約4割に上り、これに3号が加わると、5割程度に押し上げられる計算になるという。
3号は長さ約7メートル、直径1・6メートルの「開放型らせん水車」という形式。上流の水を鉄製のブレード(スクリュー)が受けて発電する。最大出力7・3キロワットで水の落差1メートル、最大使用水量は毎秒約1トン。
木製の下掛け水車の1号(最大出力20キロワット、落差2メートル)、上掛け水車の2号(19キロワット、3・5メートル)と異なる形式で規模は小さい。しかし、少ない落差で発電できるほか、大規模な導水路も必要なく、場所を選ばず、設置も容易というメリットがあるという。
水車のスクリューの回転速度は1分間に約37回。ギアを組み合わせた増速機を介して約1500回転まで上げて発電機盤に伝える。
都留市には「環境学習ができる町」として修学旅行の訪問先に検討したいという問い合わせもあり、市政策形成課の秋山主事は「元気くんというハードを生かして交流人口を増やし、観光などの面で市民に利益を還元したい」と話す。
■都留市家中川小水力市民発電所 元気くん1号は平成18年、2号は22年に稼働開始。3号の設置費約3千万円は山梨県地域クリーンエネルギー導入促進事業費補助金を財源としている。市役所庁舎前を流れる家中川は古くからの農業、生活用水で、とくに夏場の水量が豊か。この地域の江戸期の基幹産業、絹織物生産の動力源にも水車が用いられたという。
最終更新:4月8日(日)17時46分
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暗黒の稲妻