<被災地>花植え支援に識者ら懸念の声 固有種脅かす恐れ
毎日新聞 3月29日(木)12時47分配信
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宮城県塩釜市沖に浮かぶ桂島の土手に植えられたニホンズイセン。今月初め、開花し始めた=宮城県塩釜市で2012年3月2日午後1時57分、春増翔太撮影
東日本大震災の被災者を励まそうとボランティアらが花などを移植する活動に、東北大の河田雅圭教授(進化生態学)が警鐘を鳴らしている。植物の種類や植え方によっては、その土地の固有種を脅かす恐れがあるからだという。河田教授は「善意からの移植で、被災者も喜ぶ。でも注意を呼びかけておかないと、意図せず生態系を壊してしまう可能性がある」と話している。
宮城県塩釜市の沖合に浮かぶ桂島。島内にある二つの集落を結ぶ道路の脇に昨秋、約1万5000株のニホンズイセンの球根が植えられた。山梨県の園芸家らが、早春に咲くニホンズイセンを植えたのは「一足早い春を被災者に感じてほしい」と願ったからだ。
ただ、桂島など浦戸諸島の動植物を研究している河田教授は、こう指摘する。「ニホンズイセンを含むスイセンは東北には本来、自生していない。移植されたスイセンは桂島では外来種になる」
ニホンズイセンの移植を進めた園芸家は「スイセンは全国に数百万株植えられていると聞く。桂島に移植しても現地の動植物に影響することはないと判断した」と話し、生態系への影響も検討した結果、移植したという。
しかし河田教授によれば、桂島にはシャリンバイやオオシマザクラといった希少植物が多く、「外来種」が入り込むと、島本来の植生を乱す恐れがあるという。
植生学会会長を務める東京農工大の福嶋司教授は「一般的に、人為的に移した動植物は人の思惑から離れていってしまうことがある」と話す。
福嶋教授は生態系を守りながら植物で被災地を支援する方法として、外来種になる場合はプランターや鉢を贈ったり、花壇に花を植えたりする方法を提案する。その土地に直接植える場合には「そこに元々生えている植物から採った種や苗を使うのが望ましい」とアドバイスしている。【春増翔太】
最終更新:3月29日(木)17時56分
東日本大震災の被災者を励まそうとボランティアらが花などを移植する活動に、東北大の河田雅圭教授(進化生態学)が警鐘を鳴らしている様だ。
暗黒の稲妻
毎日新聞 3月29日(木)12時47分配信

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宮城県塩釜市沖に浮かぶ桂島の土手に植えられたニホンズイセン。今月初め、開花し始めた=宮城県塩釜市で2012年3月2日午後1時57分、春増翔太撮影
東日本大震災の被災者を励まそうとボランティアらが花などを移植する活動に、東北大の河田雅圭教授(進化生態学)が警鐘を鳴らしている。植物の種類や植え方によっては、その土地の固有種を脅かす恐れがあるからだという。河田教授は「善意からの移植で、被災者も喜ぶ。でも注意を呼びかけておかないと、意図せず生態系を壊してしまう可能性がある」と話している。
宮城県塩釜市の沖合に浮かぶ桂島。島内にある二つの集落を結ぶ道路の脇に昨秋、約1万5000株のニホンズイセンの球根が植えられた。山梨県の園芸家らが、早春に咲くニホンズイセンを植えたのは「一足早い春を被災者に感じてほしい」と願ったからだ。
ただ、桂島など浦戸諸島の動植物を研究している河田教授は、こう指摘する。「ニホンズイセンを含むスイセンは東北には本来、自生していない。移植されたスイセンは桂島では外来種になる」
ニホンズイセンの移植を進めた園芸家は「スイセンは全国に数百万株植えられていると聞く。桂島に移植しても現地の動植物に影響することはないと判断した」と話し、生態系への影響も検討した結果、移植したという。
しかし河田教授によれば、桂島にはシャリンバイやオオシマザクラといった希少植物が多く、「外来種」が入り込むと、島本来の植生を乱す恐れがあるという。
植生学会会長を務める東京農工大の福嶋司教授は「一般的に、人為的に移した動植物は人の思惑から離れていってしまうことがある」と話す。
福嶋教授は生態系を守りながら植物で被災地を支援する方法として、外来種になる場合はプランターや鉢を贈ったり、花壇に花を植えたりする方法を提案する。その土地に直接植える場合には「そこに元々生えている植物から採った種や苗を使うのが望ましい」とアドバイスしている。【春増翔太】
最終更新:3月29日(木)17時56分
東日本大震災の被災者を励まそうとボランティアらが花などを移植する活動に、東北大の河田雅圭教授(進化生態学)が警鐘を鳴らしている様だ。
暗黒の稲妻