巻き返す与党、焦点は親北左派 韓国、きょう総選挙に突入 来月11日投票
産経新聞 3月29日(木)7時55分配信

 【ソウル=黒田勝弘】韓国の総選挙が29日、公式の選挙戦に突入する。4月11日の投票に向け与野党の宣伝戦はすでに始まっているが、選挙演説など戦いはこれから本格化する。

 ◆12月大統領選前哨戦

 12月の大統領選の前哨戦で、保守派が政権を維持するのか、それとも親北・左派勢力が再び政権を握るのか、今後の韓国政局を占う重要な選挙だ。

 現時点の選挙情勢は劣勢が伝えられた与党セヌリ党(旧ハンナラ党)が盛り返し、最大野党の民主統合党を追撃している。一方、親北・社会主義路線の統合進歩党(旧民主労働党)の進出が目立ち、韓国政治を左右する存在になるのではとの観測も出ている。

 韓国の国会は一院制で任期は4年、議席数は300(地域選出246、比例代表54)。現在、与党セヌリ党が過半数を占めているが、政権末期の李明博政権への飽きや各種疑惑などから苦戦を強いられている。

 ◆民主・進歩が連立?

 マスコミ世論調査によると党支持率では一時、民主統合党が上回っていたが、このところセヌリ党が巻き返しほぼ伯仲の状態だ。ただ民主統合党は統合進歩党と選挙協力を進め、統一候補がかなりいるため、全体的には依然、野党陣営の支持率が上回っている。

 なかでも、統合進歩党の動きが注目される。支持率は10%未満だが、前身の民主労働党時代に10議席を占めたことがある。今回、院内交渉団になる20議席の確保が関心の的になっている。

 また選挙協力で民主統合党への影響力も拡大しているため、総選挙および大統領選で野党陣営が勝った場合、次期政権は“民主・進歩連立政権”になるとの見方さえ出ている。

 ◆3党女性代表の戦い

 統合進歩党は旧民主労働党内で「主体思想派」といわれた親北朝鮮派など急進左派が中心。米韓自由貿易協定(FTA)破棄、済州島海軍基地反対、米韓同盟反対、財閥解体など反米・反企業路線で知られる。

 民主統合党はセヌリ党と接戦の選挙区では統合進歩党の票がほしい。このため統一候補作りや政策公約などで統合進歩党にかなり引きずられている。

 セヌリ党は朴槿恵(パク・クネ)・非常対策委員長が陣頭指揮で選挙戦に臨み、野党陣営の親北・左翼ぶりを攻撃している。民主統合党(韓明淑(ハン・ミョンスク)代表)、統合進歩党(李正姫(イ・ジョンヒ)共同代表)も党代表は女性で“女の戦い”になっているが、とくに次期大統領を狙う朴槿恵氏にとっては背水の陣だ。

最終更新:3月29日(木)10時39分

韓国の総選挙が29日、公式の選挙戦に突入するそうだ。

暗黒の稲妻