産総研分析 栄村地震「潮汐」引き金 地殻変動と重なる
産経新聞 3月19日(月)7時55分配信


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潮汐が地震の引き金になるしくみ(写真:産経新聞)
 長野県栄村の周辺で東日本大震災後に多発した地震は、月の引力などの影響で潮が満ち引きする潮汐(ちょうせき)が引き金で起きたとみられることが産業技術総合研究所の分析で18日、分かった。発生時刻と潮汐のリズムに極めて高い相関があり、大震災による地殻変動と潮汐力が重なって誘発されたとみられる。

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 産総研の雷興林(らいきょうりん)主任研究員は、大震災以降の約2カ月間に長野県北部で起きたマグニチュード(M)3以上の142回の地震を分析。栄村で震度6強を観測した大震災翌日の地震(M6・7)を含む全体の約50%が、潮汐と関係していたことを突き止めた。

 潮汐は月の引力などによって海面が周期的に上下変動する現象で、地球内部の岩盤も同じ影響で上下に伸縮している。雷主任研究員によると、潮汐と関係がある地震は世界の約5%で、今回はこの10倍に相当する前例のない高さという。

 一連の地震は地盤が下がる干潮や、下がる速度が最大のときに集中して発生。長野県北部には、マグマから出たガスや液体が岩盤の隙間に高圧でたまっている「流体だまり」が多数あるとみられ、この場所が潮汐力で押されて周囲の岩を破壊、断層を刺激して地震が起きたと推定している。

 大震災の誘発地震は火山周辺で多発しており、同じ仕組みの可能性があるという。栄村の震度6強の地震は死者3人、全半壊約200棟の被害となり、現在も約160人が仮設住宅などで避難生活を送っている。

最終更新:3月19日(月)10時33分

長野県栄村の周辺で東日本大震災後に多発した地震は、月の引力などの影響で潮が満ち引きする潮汐が引き金で起きたとみられる事が産業技術総合研究所の分析で18日、分かったそうだ。

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