“おサイフ”以外の取り組みにも期待したいNFC
nikkei TRENDYnet 3月14日(水)11時9分配信

“おサイフ”以外の取り組みにも期待したいNFC
日本では「おサイフケータイ」などで知られる近距離無線通信。中でもNFCは世界的に広く普及する可能性が高いことから、最近さまざまな取り組みがなされている。現在のNFCに対する取り組みとその可能性について確認してみよう。
日本では「おサイフケータイ」などで知られる近距離無線通信。中でもNFCは世界的に広く普及する可能性が高いことから、最近さまざまな取り組みがなされている。現在のNFCに対する取り組みとその可能性について確認してみよう。
【詳細画像または表】
KDDIらがNFCによる電子マネーシステムを開発
日本ではおサイフケータイに用いられている「FeliCa」で知られる近距離無線通信規格。最近では海外製のものを中心に、「NFC」と呼ばれる規格の近距離無線通信機能を搭載した端末が出始めている。国や地域、さらにはシステムによって異なる規格が採用されてきた従来の近距離無線通信規格と異なり、世界的な統一性が図られる可能性が高いことから注目を集めている。
日本において近距離無線通信というと、おサイフケータイに代表される“電子マネー”をイメージすることが多い。そのため、このところ、国内外を問わずNFCを用いた電子マネーに対する取り組みを積極化する動きが随所に見られるようになってきている。
それを象徴しているのが、ビットワレットとKDDI、大日本印刷の取り組みだ。3月6日、3社は共同で、NFCを用いた電子マネーシステムを開発したと発表した。このシステムの特徴は、NFCのType Aプロトコルを用いているのに加え、システムや決済情報などを全てサーバーで管理する、つまりクラウド型であるという点にある。
NFCへの対応に加えシステムをクラウド化することにより、リーダー端末の設置やシステムの運用コストを下げることができるほか、情報をサーバー側で一元管理することで、購入者の購買動向や嗜好などを分析しやすくなり、販促に生かすことができるなどのメリットが生まれるという。
NFCに向けた取り組みは“海外”を強く意識
この3社がNFCを用いた電子マネーのシステムを開発した背景には“海外”への強い意識があることがうかがえる。
1つは、近年日本でも増えつつある海外製端末への対応だ。今後海外製スマートフォンにNFCが搭載される可能性が高いことから、FeliCa対応端末以外を所有するユーザーに対してもサービスを提供したい考えがあるようだ。
そしてもう1つは、海外でのサービス展開だ。特にビットワレットの親会社である楽天は近年、海外企業を買収するなど海外展開の積極化を進めているが、Edyの海外展開を進めようとした場合、海外で広く採用される可能性が高いNFCへの取り組みは重要なものとなる。
先にも触れたが、NFCの電子マネー利用に対する取り組みは日本だけでなく海外でも実施されている。韓国ではNFCを用いた決済サービスが既に提供されている上、カード会社やインターネット決済を手掛ける企業らが、欧州や米国などでNFCの実証実験を実施している。多くの国では日本のように携帯電話による電子マネー決済が本格化していないことから、いくつかの企業グループが今後の市場拡大を狙い、NFCによる決済への取り組みを進めている。
そうしたことから、日本企業もおサイフケータイでの実績をNFCに採り入れて多くの実績を作り、先んじて海外展開を進めたい狙いがあるようだ。実際、昨年2月には、NTTドコモは韓国のKTと、KDDIやソフトバンクモバイルは同じ韓国のSKテレコムと、NFCによる決済を両国で相互利用できるよう連携する取り組みを進めており、海外をにらんだ動きを見ることができる。
決済利用はまだ先、NFCの柔軟性を生かした活用を
将来的なNFCの普及が見込まれているとはいえ、NFC対応端末は日本のFeliCa対応端末と比べその数や普及率が低く、利用スタイルもこなれていない。日本国内で言うなら、NFCを搭載した端末はサムスン製の一部機種のみだ。
こうした状況にあることから、NFCによる電子マネーサービスが本格的に利用できるようになるのはもう少し先と見られる。事実、先の3社のシステムも“プロトタイプ”として発表されたものであり、具体的な導入時期などは未定とのことであった。
それゆえ、当面NFCの活用は電子マネー以外の部分で進んでいくことになるだろう。具体的な利用方法の1つとして考えられるのは、Android 4.0で対応した「Android Beam」に代表されるように、端末同士をかざしてアドレスや画像などのやりとりをする赤外線の代替しての利用だ。
そしてもう1つは、NFC対応スマートフォンをかざすことで、お店の情報やクーポンなどが入手できる情報端末などでの活用である。こうした仕組みは、日本であれば既にFeliCaを用いて実践されている。だがNFCはより小型で低コストなチップを用いての通信が可能で、大型のリーダーを用意する必要がないことから柔軟性が高い。それゆえポスターにチップを貼り付けて読み取らせるなど、従来では考えられなかった応用方法が考えられる。
キャリア各社が力を入れる方針を示していることから、NFCは今後急速に対応端末が増えると予想される。それを電子マネーなど従来のFeliCaと同じように使えるようにする取り組みももちろん重要だが、そこにとらわれずより柔軟な発想で、新しい使われ方が生み出されることを期待したいところだ。
最終更新:3月14日(水)11時9分
これから電子マネーがどうなっていくのだろうかね。
暗黒の稲妻
nikkei TRENDYnet 3月14日(水)11時9分配信

“おサイフ”以外の取り組みにも期待したいNFC
日本では「おサイフケータイ」などで知られる近距離無線通信。中でもNFCは世界的に広く普及する可能性が高いことから、最近さまざまな取り組みがなされている。現在のNFCに対する取り組みとその可能性について確認してみよう。
日本では「おサイフケータイ」などで知られる近距離無線通信。中でもNFCは世界的に広く普及する可能性が高いことから、最近さまざまな取り組みがなされている。現在のNFCに対する取り組みとその可能性について確認してみよう。
【詳細画像または表】
KDDIらがNFCによる電子マネーシステムを開発
日本ではおサイフケータイに用いられている「FeliCa」で知られる近距離無線通信規格。最近では海外製のものを中心に、「NFC」と呼ばれる規格の近距離無線通信機能を搭載した端末が出始めている。国や地域、さらにはシステムによって異なる規格が採用されてきた従来の近距離無線通信規格と異なり、世界的な統一性が図られる可能性が高いことから注目を集めている。
日本において近距離無線通信というと、おサイフケータイに代表される“電子マネー”をイメージすることが多い。そのため、このところ、国内外を問わずNFCを用いた電子マネーに対する取り組みを積極化する動きが随所に見られるようになってきている。
それを象徴しているのが、ビットワレットとKDDI、大日本印刷の取り組みだ。3月6日、3社は共同で、NFCを用いた電子マネーシステムを開発したと発表した。このシステムの特徴は、NFCのType Aプロトコルを用いているのに加え、システムや決済情報などを全てサーバーで管理する、つまりクラウド型であるという点にある。
NFCへの対応に加えシステムをクラウド化することにより、リーダー端末の設置やシステムの運用コストを下げることができるほか、情報をサーバー側で一元管理することで、購入者の購買動向や嗜好などを分析しやすくなり、販促に生かすことができるなどのメリットが生まれるという。
NFCに向けた取り組みは“海外”を強く意識
この3社がNFCを用いた電子マネーのシステムを開発した背景には“海外”への強い意識があることがうかがえる。
1つは、近年日本でも増えつつある海外製端末への対応だ。今後海外製スマートフォンにNFCが搭載される可能性が高いことから、FeliCa対応端末以外を所有するユーザーに対してもサービスを提供したい考えがあるようだ。
そしてもう1つは、海外でのサービス展開だ。特にビットワレットの親会社である楽天は近年、海外企業を買収するなど海外展開の積極化を進めているが、Edyの海外展開を進めようとした場合、海外で広く採用される可能性が高いNFCへの取り組みは重要なものとなる。
先にも触れたが、NFCの電子マネー利用に対する取り組みは日本だけでなく海外でも実施されている。韓国ではNFCを用いた決済サービスが既に提供されている上、カード会社やインターネット決済を手掛ける企業らが、欧州や米国などでNFCの実証実験を実施している。多くの国では日本のように携帯電話による電子マネー決済が本格化していないことから、いくつかの企業グループが今後の市場拡大を狙い、NFCによる決済への取り組みを進めている。
そうしたことから、日本企業もおサイフケータイでの実績をNFCに採り入れて多くの実績を作り、先んじて海外展開を進めたい狙いがあるようだ。実際、昨年2月には、NTTドコモは韓国のKTと、KDDIやソフトバンクモバイルは同じ韓国のSKテレコムと、NFCによる決済を両国で相互利用できるよう連携する取り組みを進めており、海外をにらんだ動きを見ることができる。
決済利用はまだ先、NFCの柔軟性を生かした活用を
将来的なNFCの普及が見込まれているとはいえ、NFC対応端末は日本のFeliCa対応端末と比べその数や普及率が低く、利用スタイルもこなれていない。日本国内で言うなら、NFCを搭載した端末はサムスン製の一部機種のみだ。
こうした状況にあることから、NFCによる電子マネーサービスが本格的に利用できるようになるのはもう少し先と見られる。事実、先の3社のシステムも“プロトタイプ”として発表されたものであり、具体的な導入時期などは未定とのことであった。
それゆえ、当面NFCの活用は電子マネー以外の部分で進んでいくことになるだろう。具体的な利用方法の1つとして考えられるのは、Android 4.0で対応した「Android Beam」に代表されるように、端末同士をかざしてアドレスや画像などのやりとりをする赤外線の代替しての利用だ。
そしてもう1つは、NFC対応スマートフォンをかざすことで、お店の情報やクーポンなどが入手できる情報端末などでの活用である。こうした仕組みは、日本であれば既にFeliCaを用いて実践されている。だがNFCはより小型で低コストなチップを用いての通信が可能で、大型のリーダーを用意する必要がないことから柔軟性が高い。それゆえポスターにチップを貼り付けて読み取らせるなど、従来では考えられなかった応用方法が考えられる。
キャリア各社が力を入れる方針を示していることから、NFCは今後急速に対応端末が増えると予想される。それを電子マネーなど従来のFeliCaと同じように使えるようにする取り組みももちろん重要だが、そこにとらわれずより柔軟な発想で、新しい使われ方が生み出されることを期待したいところだ。
最終更新:3月14日(水)11時9分
これから電子マネーがどうなっていくのだろうかね。
暗黒の稲妻