「食べて支援」は続いている?――被災地アンテナショップの今
nikkei TRENDYnet 3月9日(金)11時8分配信


東日本大震災直後、被災地を支援するために、現地の特産品を購入した人が多かった。震災から1年。震災直後に取材した被災地アンテナショップを再び訪れ、その後の様子と、今お薦めの名産品について聞いた。
 東日本大震災直後、被災地を支援するために、現地の特産品を購入した人が多かった。各メディアも被災地のアンテナショップを取り上げ、いずれの店舗もかつてないにぎわいをみせたものだった。 震災から1年。前回、震災2週間後に取材した各アンテナショップ(第1回、第2回)を再び訪れ、その後の様子と、今お薦めの名産品について聞いた。

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石巻「希望の缶詰」が復活!――宮城ふるさとプラザ

 池袋の駅前繁華街の人気スポットでもある「宮城ふるさとプラザ」。震災直後同様に、1年たった今でも大勢の客でにぎわっていた。

宮城ふるさとプラザ●住所/東京都豊島区東池袋1-2-2東池ビル1・2F●電話/03-5956-3511●営業時間/11:00~20:00●公式サイト/http://cocomiyagi.jp/plaza/●義援金は2月下旬までで約2600万円 震災直後から7月は、前年の約2倍の売上を数えた盛況ぶり。当時から海産物以外の加工品やお菓子、楽天イーグルスのグッズなど充実した品揃えであったが、それがそのまま順調に回復したわけではない。工場や倉庫が被災を免れたメーカーは、在庫の商品や材料でいち早く操業を再開したものの、その在庫が尽きたときに、材料の入手が困難になったり、また高騰するなど、なかなか震災以前と同様の運営には至らなかった。

 しかし、現在ではそれも乗り越え、震災直後は入荷ゼロだった同プラザの人気商品、笹蒲鉾が棚にぎっしり並んでいる光景はとても感慨深いものがある。「震災以前は取り扱っていなかったメーカーの笹蒲鉾も増えて、よりラインナップが充実しました」と語る宮城県物産振興協会東京出張所長代理の上野剛氏が笑顔で手に取ったのは鯨の缶詰だ。

避難所の人々の胃袋を満たした「裸の缶詰」

 被害の大きかった石巻と気仙沼の商品は、まだ入荷していないものも多いが、この鯨の缶詰は、石巻の木の屋石巻水産のもの。

 津波により同社の工場は跡形もなく流されたが、瓦礫の下から大量の缶詰が発見された。津波の影響で包装が剥がれた裸の状態の缶詰だったが、まだ支援物資も充分に行き届かなかった震災直後の糧として、避難所の多くの人々の胃袋を満たした。

 その後も同社の社員は缶詰を磨いて、千葉県、鳥取県などの道の駅で裸の缶詰を「希望の缶詰」として販売した。その裸の缶詰が、最近ようやく以前同様の包装された状態で店頭に並んだのだ。気仙沼のフカヒレも仮工場などで稼働したメーカーの商品が徐々に並び始めている。

 以前から産地直送の店頭販売が好評の同プラザだが、取材時は松島で被災した料亭が、被災前の在庫素材を加工した魚のみりん漬などを販売していた。この業者もそうだったが、震災を機に改めて同プラザに商品を卸すメーカーが増えている。

 同時に震災を機に宮城県の特産物のファンになった新規客も多い。「お客様をはじめ、義援金を預けてくださった方、また『募金をされた方に差し上げてください』と手作りの手芸品をお持ちくださった方など、多くの方々の様々な応援に感謝しています」(上野氏)。

周辺企業のイベントに積極出店――福島県八重洲観光交流館

 福島の特産品や陶磁器や漆器などの伝統工芸品のほか、福島県内全市町の観光・交通情報を提供している八重洲の「福島県八重洲観光交流館」。内陸部の商品は物流が回復した昨年の4月下旬にはほとんど店頭に並び、年が明けて次第に例年並に戻ってはきたものの、4月から6月の売上は昨年の約2倍という活況を呈した。

福島県八重洲観光交流館●住所/東京都中央区八重洲2丁目6-21 三徳八重洲ビル 1F●電話/03-3275-0855●営業時間/10:00~17:00無休●公式サイト/http://www.tif.ne.jp/jp/sp/yaesu/●義援金は2月14日までで総額1681万3321円 周辺に大手企業が多い八重洲にある同館の大きな特徴は、企業イベントへの出展だ。「7月くらいまでは店頭での販売だけだったのですが、いろんな企業さんから支援の声がかかり、外部イベントの要請が増えていったことはとてもありがたかったですね」と館長の富田潤也氏は語る。

 復興イベントへなどへのブース出展から、企業の食堂内にコーナーを設けて福島産の商品を販売するなど、その規模は様々だが、多いときは毎週のように外販に赴いたという。

被災者の手作りの定点観測ノートも閲覧できる

 情報入手もままならない震災直後から、福島から避難してきた人や援助に向かった人の口コミなども盛り込んだ福島へのきめ細やかな交通アクセス情報が掲示されていたのが印象的だった同館。

 現在では観光PRがメインになっているが、福島県の各地で開催される祭りやイベントの情報、さらに地元紙、「福島民報」と「福島民友」が自由に読めるので、インターネットで情報を入手するのが苦手なお年寄りになどに好評だ。さらに、被災した人が手作りした定点観測ノートなども自由に読める。

 しかし、福島県は他県とは異なる原発という大きな問題が残っている。避難地域に指定されている相馬地区の相馬焼、浪江地区や葛尾村の特産品である凍み餅や梅干しなどの入荷の目処が立たないのはやはり寂しい。

 富田氏は「今後の課題は観光誘致。現在、旅行代理店が復興支援として、お手頃なツアーを企画してくださっているので、我々も積極的に福島県の良さをアピールしていきたいです」と意欲を語ってくれた。

全壊した酒蔵の復帰第一号酒が登場!――いわて銀河プラザ

 震災直後のアンテナショップの取材では一番商品が充実しているように見えた銀座の「いわて銀河プラザ」。それでも、当時は震災以前の7割程度の品揃えだった。

 確かに本州で最大の面積を誇る岩手県は、被害の少なかった内陸部のメーカーや沿岸部でも倉庫を内陸部に持っていたメーカーなど、在庫が充実していたところも少なくなかった。とはいえ、物流の問題に加え、パッケージやシールが手に入らないなど、完全な商品として出荷できないケースが多かったためだ。

いわて銀河プラザ●住所/東京都中央区銀座5-15-1 南海東京ビル1F●電話/03-3524-8282●営業時間/10:30~18:00(毎月末日は17:00)無休●公式サイト/http://www.iwate-ginpla.net/●義援金は2月17日までで総額2048万8367円 現在では空きが目立った海産物や日本酒もほぼそろい、開店と同時に賑わいを見せていた。こちらでも福島県同様、岩手県の物産を積極的に購入しようと呼びかける周辺の企業が多かった。

 「企業開催のイベントだけでなく、周辺の企業の方が、お花見のお酒を岩手県産のもので揃えようといった個人レベルでの応援も多かったのがうれしかったです」と店長の樋下小夜子氏は語る。

被災した同業のために「いったん免許を下ろした」

 震災直後は最新の被災地情報を随時提供し、避難所で生活する被災者の名簿が閲覧できるコーナーも設けられていたが、昨年の8月頃からはイベントのスペースとなって、物産展や写真展、観光PRなど、様々なイベントが開催されている。岩手県内の各市町村からの申し込みも多く、イベント参加者に「がんばって!」と声をかける人も見られた。

 沿岸部に日本酒の蔵元が多かったこともあり、空きスペースが目立っていた日本酒コーナだったが、現在ではほぼ出そろい、棚にはぎっしりと酒瓶が並んでいる。

 なかでも人気は酔仙酒造の生原酒「雪っこ」だ。同社は震災で被災し建物が全壊し、従業員7人が犠牲になったたため、当初は復旧の目処が立っていなかった。しかし岩手県一関市千厩にある酒蔵、岩手銘醸の醸造施設を借り、昨年9月から酒造りを再開。とはいえ、同じ場所で酒造免許が重複することは許されないため、岩手銘醸はいったん免許を下ろすといった温かい手を差し伸べた。

 そういった背景も知っているファンも多く、復帰第一号品となる「雪っこ」は大人気。1人5個までの限定販売だ。

 以前から根強いファンを持つ「三陸海宝漬」も復活。現在、人気ナンバーワンの売上を誇る。また、食品以外でも南部鉄器が外国人客を中心に人気が上昇し、新たなファンを獲得している。

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 いずれのショップも震災直後から初秋にかけての盛況は落ち着いたが、震災前よりも確実に客足は増えている。それは震災をきっかけにアンテナショップを訪れて、その商品を気に入り、リピーターとなった新規客が多いからである。

 被災した街の商品だからではなく、「美味しい商品だから」という理由で購入する。決して「順調な復興」をうたえる現状ではないが、こうしたことの積み重ねが、被災地が本当に立ち直る日へとつながっていくのだろう。

(文・写真/永浜敬子)

最終更新:3月9日(金)11時8分

駅前のスーパーで偶に物産展やるのだが、福島の白河ラーメンとはよく買うな。
ラーメン好きなら一度お試しあれ。

暗黒の稲妻