首都高、大改修探る…開通から40年以上が3割
読売新聞 3月6日(火)10時1分配信


拡大写真
読売新聞
 首都高速道路会社は5日、老朽化が進む首都高の大規模改修について検討する有識者会議(委員長=涌井史郎・東京都市大教授)の初会合を開いた。

 改修が必要な場所を洗い出し、年内をめどに報告書をまとめるが、長期間の通行止めも伴う大規模な改修をどう進めるかや、改修費用をどう確保するのかなど課題は多い。

 ◆オリンピック

 東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県をつなぐ首都高は、1962年に東京・京橋―芝浦間が初めて開通し、東京オリンピック開幕の64年10月までに33キロが完成した。総延長301キロのうち、約3割が開通から40年以上が経過し、30年以上も合わせると半分近くを占める。

 点検で見つけた亀裂やひび割れなどを補修しているが、未補修の損傷件数は2009年時点で9万6600件と、02年時点の2・7倍に急増している。首都高は1日平均約100万台が利用し、トラックなど大型車の通行量が都内の一般道の約5倍で「予想を超える過酷な使用状況で劣化が激しい」(涌井氏)。

 補修費は現在でも年間200億~300億円かかっているが、今後ますます増える見込みだ。橋本圭一郎社長は5日の初会合で「場所によっては大規模な更新を計画的に実施していくことを検討する段階に来ている」と述べた。

 ◆動き取れず

 有識者会議は、橋やトンネルなど各分野の専門家8人が集まり、大規模改修が必要な場所や工事の進め方などを検討する。建設時期が古い都心環状線や1号線などが主な候補となる見通しだ。東京・品川区の運河上を通る1号線の一部区間は塩害で劣化が激しく、維持管理も難しくなっている。急カーブなどの影響で交通事故や渋滞が多発する区間も検討の対象となる。

 しかし、改修には難しい課題も多い。

 首都高は高架橋が全体の79%、トンネルが10%を占める。高架橋の架け替えなどに踏み切れば、一部区間を長い期間通行止めにする必要があるため、利用者に与える影響が大きい。

 ただでさえ、首都高の交通渋滞による経済的な損失は年間で約1260億円(04年度)に上ったとの試算もある。首都高全域で渋滞が深刻化すれば、損失は計り知れない。少なくとも、改修を円滑に進めるための迂回(うかい)ルート確保は不可欠だ。

 改修費用は「どこを改修するか分からない段階では全く見通せない」(首都高幹部)状況だ。95年の阪神大震災後に行った改修の場合、橋脚約7200基の耐震補強などで約3000億円を投じた。それを上回るのは確実とみられる。首都高の建設費などの債務は2050年までに完済する計画だが、その期限を延ばすことも検討課題になりそうだ。

 (西原和紀)
最終更新:3月6日(火)10時1分

首都高速道路会社は5日、老朽化が進む首都高の大規模改修について検討する有識者会議(委員長=涌井史郎・東京都市大教授)の初会合を開いたそうだ。

暗黒の稲妻