企業年金 揺らぐ土台 ずさん運用、高まるリスク
産経新聞 2月25日(土)7時55分配信
独立系投資顧問会社「AIJ投資顧問」に対する24日の行政処分を受け、金融庁が同業者に対する一斉調査に乗り出す背景には、企業の年金資産の運用リスクが高まっている実情がある。AIJと同様のずさんな運用管理が蔓延(まんえん)していれば、財務に想定外の打撃を受ける企業が拡大し、企業年金制度の土台も揺るがしかねない。
「(AIJと)同様の業者が存在するという情報はないが、他の業者についても予断を持たずに調査を実施したい」。金融庁幹部は投資顧問会社による年金資産の運用や資産管理の実態解明を慎重に進め、再発防止を図る考えを示した。
企業年金は国民年金や厚生年金に上乗せする形で企業が自主的に設ける年金制度だ。企業は社員から掛け金を集め、信託銀行や保険会社、投資顧問会社に株式や債券などでの運用を委託。将来の年金給付に備え、運用益も含めて年金資産として積み立てている。
企業年金には、企業側が運用利回りを約束し、あらかじめ給付額が決まっている確定給付型と、加入者がリスクを負って給付額が変わる確定拠出型がある。確定給付型の場合、株式相場などの低迷で資産の積み立て不足が発生すると、企業側は不足分を穴埋めする必要があり、企業の財務を圧迫する。厚生労働省によれば、平成23年3月末現在で、確定給付型の導入事例は約1万件に上る。
過去には元本割れのリスクを抑えるため、国債や株式の運用を一定割合に制限する規制があったが、9年に完全撤廃された。その結果、ヘッジファンドや不動産投資信託(REIT)などリスクが高く、商品内容が複雑な分野に運用対象が拡大している現状がある。
格付投資情報センターによると、欧州債務危機に伴う金融市場の混乱の影響で23年4~12月期の主要企業の企業年金の運用利回りはマイナス4・75%まで低下した。投資顧問会社の検査は証券取引等監視委員会が担うが、定期的には実施されておらず、AIJにも16年以降、一度も入っていなかった。今後、検査体制の見直しが迫られる。
最終更新:2月25日(土)9時9分
「生兵法は大怪我のもと」とはいうが・・・。
暗黒の稲妻
産経新聞 2月25日(土)7時55分配信
独立系投資顧問会社「AIJ投資顧問」に対する24日の行政処分を受け、金融庁が同業者に対する一斉調査に乗り出す背景には、企業の年金資産の運用リスクが高まっている実情がある。AIJと同様のずさんな運用管理が蔓延(まんえん)していれば、財務に想定外の打撃を受ける企業が拡大し、企業年金制度の土台も揺るがしかねない。
「(AIJと)同様の業者が存在するという情報はないが、他の業者についても予断を持たずに調査を実施したい」。金融庁幹部は投資顧問会社による年金資産の運用や資産管理の実態解明を慎重に進め、再発防止を図る考えを示した。
企業年金は国民年金や厚生年金に上乗せする形で企業が自主的に設ける年金制度だ。企業は社員から掛け金を集め、信託銀行や保険会社、投資顧問会社に株式や債券などでの運用を委託。将来の年金給付に備え、運用益も含めて年金資産として積み立てている。
企業年金には、企業側が運用利回りを約束し、あらかじめ給付額が決まっている確定給付型と、加入者がリスクを負って給付額が変わる確定拠出型がある。確定給付型の場合、株式相場などの低迷で資産の積み立て不足が発生すると、企業側は不足分を穴埋めする必要があり、企業の財務を圧迫する。厚生労働省によれば、平成23年3月末現在で、確定給付型の導入事例は約1万件に上る。
過去には元本割れのリスクを抑えるため、国債や株式の運用を一定割合に制限する規制があったが、9年に完全撤廃された。その結果、ヘッジファンドや不動産投資信託(REIT)などリスクが高く、商品内容が複雑な分野に運用対象が拡大している現状がある。
格付投資情報センターによると、欧州債務危機に伴う金融市場の混乱の影響で23年4~12月期の主要企業の企業年金の運用利回りはマイナス4・75%まで低下した。投資顧問会社の検査は証券取引等監視委員会が担うが、定期的には実施されておらず、AIJにも16年以降、一度も入っていなかった。今後、検査体制の見直しが迫られる。
最終更新:2月25日(土)9時9分
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