<シリア>国連、監視団派遣を検討 アラブ連盟と合同で
毎日新聞 2月9日(木)19時56分配信

 【カイロ和田浩明】国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は8日、シリアのアサド政権による反体制派の武力弾圧を抑制するため、アラブ連盟との合同監視団派遣を検討中だと明らかにした。4日の国連安全保障理事会でロシアと中国がアサド政権非難決議案の採決に拒否権を行使して以降、政権側と反体制派側との戦闘が内戦状態に発展している。潘氏の発言は、身動きのとれない国連の“苦肉の策”とも言えそうだ。

 だが、現在凍結している連盟監視団の活動中も弾圧が続いた経緯があり、実効性には疑問が残る。シリアでは9日も中部ホムス市などで政権側の攻撃が継続。反体制派によると少なくとも100人以上が死亡、過去1週間の死者は約550人に達した。

 潘事務総長は、国連安保理で政権非難決議案が否決された際、「シリア政府による自国民への戦争が助長された」と発言。ホムス市での住宅地砲撃は「事態がさらに悪化する前兆だ」と警告した。

 ピレイ国連人権高等弁務官も4日、「国際社会によるシリア国民の保護が緊急に必要だ」と述べ、シリア軍・治安部隊が「人道に対する罪」を犯した可能性があると指摘した。同弁務官はすでに安保理に対しシリア問題を国際刑事裁判所に付託するよう求めている。

 一方、シリア問題を巡る主要関係国の動きも活発化。トルコのダウトオール外相は9日に米ワシントンを訪問、クリントン国務長官らオバマ政権幹部とシリア反体制派の支援国会合開催などを協議すると見られる。

 反体制派団体「地域調整委員会」によると、9日の死者はホムス市などで107人。3日夜から激化した軍・治安部隊による住宅地の砲撃が続いている。住民男性は毎日新聞の電話取材に「軍のヘリコプターが南西部バーブ・アムロ地区で射撃している」と語った。現地の反体制派住民がインターネット経由で行っている生中継とされる映像では、砲撃音が断続的に聞こえている。

 死者は北部イドリブ県、南部ダルアー県、首都ダマスカス近郊でも報告されている。地域調整委員会によると、ダマスカスの北西約30キロにある離反兵士団体「自由シリア軍」の拠点ザバダニに対しても、連日政府側の砲撃が続いている。ダルアーでは治安部隊が仮設病院を急襲し、医師や負傷者を拘束、医薬品を押収したとの情報もある。

 一方、国営メディアはホムス市などへの攻撃は「外国の支援を受けた武装テロ集団」が行っていると報道し軍・治安部隊側の被害を強調。8日にホムスの反体制派が報告した「停電で保育器の乳児死亡」との情報も「事実ではない」と否定した。

 政府側と反体制派は双方の残虐行為を非難し合っており、「情報戦」の側面も強まっている。

 シリア政府は外国報道機関の入国を厳しく制限、取材には情報省職員が同行しており、主張の客観的な確認は困難だ。

 ◇反体制派「有効性に疑問」

 【カイロ和田浩明】潘基文(バン・キムン)・国連事務総長が明らかにした国連とアラブ連盟の合同シリア監視団構想に対し、反体制派からは9日、早くも有効性を疑う声が噴出した。

 連盟は昨年12月下旬から最大時150人規模の監視団を派遣していたがアサド政権の武力弾圧や、軍・治安部隊と離反兵士らの衝突は収まらなかったからだ。サウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国は団員を引き揚げており、1月下旬には治安悪化から活動を凍結している。

 反体制派の主要組織「シリア国民評議会」のジャバル・ショーフィ氏は毎日新聞の取材に「アラブ連盟監視団が機能しなかったのに、合同監視団に何の意味があるのか」と発言。現在の焦点は「暴力停止と民間人保護であるべきだ」と語った。

 離反兵士団体「自由シリア軍」のクルディ副司令官も「監視団受け入れは政権側に時間稼ぎをさせるだけだ」と否定的な意見だ。

 政府軍・治安部隊が住宅地などを砲撃している中部ホムス市の住民男性も、「必要なのは監視団でなく、負傷者を助け、死者を葬ることだ」と語り、国際社会の即時介入を訴えた。

 民間人保護についてはこれまで、支援物資供給のための「回廊」や避難民受け入れの「緩衝地帯」の設定などが浮上しているが、いずれも実現していない。

最終更新:2月10日(金)0時43分

そもそも拒否権って制度もおかしい気がするんだけどな…。
モタモタしている間にもまた子供が何十人死んだとかニュースが流れるかと思うとやりきれない。
とにかく殺すのをやめさせてほしいが。

暗黒の稲妻