デキる女性は駅でメークアップ?!滞在型の女子化粧室が続々出現
産経新聞 2月5日(日)22時21分配信


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アロマが香る空間でゆったり化粧直しができる「リラクア」。このビル内でトレインビューが楽しめるのは、女子化粧室だけだという=JR大阪駅の商業施設「ルクア」4階(石川有紀撮影)(写真:産経新聞)
【ビジネスの裏側】 女性がゆっくり過ごせるための工夫を凝らした化粧室が、再開発ラッシュで沸く大阪駅を中心に相次ぎ出現している。JR大阪駅の大規模改修で平成23年5月にオープンした複合商業施設「ルクア」内の女子化粧室や同9月には近隣の阪急梅田駅改札前に有料化粧室が登場。ターミナル駅の一等地にゴージャスな女子化粧室が続々開設される背景を探った。

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 その空間に足を一歩踏み入れるとアロマが香り、ガラス窓の下はホームから次々と電車が発着し、人々がひっきりなしに行き交うトレインビュー。

 この贅沢(ぜいたく)なロケーションを楽しめるのがルクアの女子化粧室「リラクア」だ。

 ■「女性を並ばせるな」

 「主要顧客の女性を並ばせるな、という指示から化粧室を充実させる取り組みが始まりました」。ルクア広報担当の大垣晃子さんはこう説明する。結果、トイレの数は、男女比2対8と大幅に差をつけ、4階には特別な女子化粧室「リラクア」を備えることになったという。

 リラクアは、大垣さんを含む女性社員4人が設備を検討。三面鏡のパウダースペース6席と立席のパウダースペース7席に十分な荷物置き場を設け、トイレ個室は館内一広いものを選んだ。特別感を出すため、季節に合わせたオリジナルのアロマを香らせている。

 また、館内のほかの女子化粧室にも彼女たちの意見でパウダーコーナーやオムツ替えシートを標準装備し、快適性を高めている。

 休日には1日約900人が訪れ、平日も仕事帰りに立ち寄る女性が多い。それでも十分なパウダーコーナーが功を奏し、「商業施設の女子化粧室は行列ができやすい」という業界の常識を覆した。「楽しく買い物をしたのに、列に並んでは気分が台無し。リラクアがルクアの魅力アップにつながればうれしい」と大垣さんは話す。

 無料のリラクアだけでなく、ターミナル駅の有料女子化粧室も着実にリピーターを獲得している。5年前にJR大阪駅フロートコートに開業した「アンジェルブ」は1時間300円で化粧台のプライベート空間と、資生堂ブランドの化粧品やパナソニックの美容機器を試せるサービスを提供している。

 これまでに化粧品を10品目(206種)、美容機器を13種類に充実させ、着物のレンタルサービスも新たに始めた。休日の利用者は約300人。結婚式やパーティーのためのドレスアップや早朝の高速バス利用者の休憩まで用途も広がりをみせている。

 ■自分の部屋のように

 「最初は化粧直しや着替え目的で訪れた人が空いた時間の休憩に再び訪れるなど自分の部屋のように使っていただいています」とJR西日本ファッショングッズの門間洋介さんは話す。

 阪急梅田駅の改札前という“駅ナカ一等地”に登場したのは「クレデュプレ」。アンジェルブと同じように1時間300円で三面鏡付き化粧台スペースを借りるスタイルだが、こちらは化粧雑貨チェーンをグループにもつ阪急阪神ホールディングスの強みを生かし、店舗とマッサージサロンを併設し、物販への相乗効果もねらう。

 開発チームの阪急リテールズの新田史子さんは「プロ仕様のヘアアイロンや美顔器など高額アイテムを試して、気に入って買っていくお客さまも多いです」とその効果を話す。

 この場所は元CDショップで、跡地利用案を検討した結果、新業態の有料化粧室を採用。「これまで女性客から『時間があるときにゆっくりできるスペースがほしい』との声が寄せられていました」と駅ナカ開発を手がけてきた阪急電鉄流通事業本部の小谷恭子さんはその理由を説明する。

 「ショップ併設で美に関する情報を得られる」「新商品を試し比べられる」といった利用客のニーズに応えるため、店舗で販売している化粧品9ブランドからフルメークできるアイテムを常備。また、アロマが香る室内と内装インテリアについては「外国のホテルを目指した」と新田さんは言う。

 オンとオフの切り替えや買い物の休息など、すき間の時間をゆったり過ごしたい女性たち。彼女たちを駅につなぎとめる「女性化粧室」が、新たな消費を呼び込む空間として注目を集めつつある。(石川有紀)

最終更新:2月6日(月)11時32分

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