<フィリピン>米との関係強化に中国、制裁ちらつかせる
毎日新聞 2月5日(日)20時22分配信

 【マニラ矢野純一】米国がアジアにおける軍事プレゼンスの強化を打ち出し、フィリピンとの関係強化を進める中、フィリピンと中国の間であつれきが生じている。中国共産党系の情報紙「環球時報」が社説でフィリピンとの経済関係冷却化などの制裁をちらつかせ、これに対して、フィリピン国会で「脅しだ」と反発する声が上がっている。経済分野での中国依存が強まっている事情から、フィリピン政府は社説を直接的には批判せず、中国を刺激しないよう配慮している。

 米国とフィリピンは1月末、ワシントンで開かれた国防・外務両省の高官級協議で、中国の南シナ海での軍備拡張を念頭に、軍事協力を強化することで合意した。軍事演習の規模や回数を増やすことなども協議した。

 協議について1月29日付環球時報は「フィリピンにバランス外交のツケを支払わせろ」と題した社説を掲載。「フィリピンは処罰するのに最適な標的だ。(処罰によって)米中間でバランスを取ることが良い選択肢ではないことを周辺国にも知らしめるべきだ」と指摘した。

 フィリピンでは国会議員から抗議文の提出などの行動を検討する動きも出ている。だが、国防省報道官は「社説はさまざまな意見のひとつにすぎない。米国との協力は中国を念頭に置いていない」と静観の構えだ。大統領府も「(米国との)協議は初期段階だ。我が国の防衛力を高め、周辺国に追いつくようにしているだけだ」と表明するにとどめ、中国を刺激するのを避けている。

 米国は南シナ海への中国の進出を視野にオーストラリアへの海兵隊駐留や、シンガポールへの新型戦闘艦配備の計画を進めている。一方、フィリピンは経済分野で中国への依存を強めている。対中貿易額(10年)は約100億ドルと全貿易額の約1割を占めており、中国は4番目の貿易相手国になっている。

 匿名を条件に取材に応じた空軍少佐は「米同盟国の中で我が国の軍事力が最も貧弱で『中国包囲網の穴』と認めざるを得ず、米国に頼らなければならない」と対米軍事協力の必要性を指摘する。同時に「中華系フィリピン人(華僑)が経済を牛耳り、経済でも中国に依存している。米中両国に良い顔をしなければいけないのが現実だ」と話した。

最終更新:2月5日(日)22時59分

本当に中国の軍隊が、アメリカの軍に通用するものなのか見てみたいけどね。

暗黒の稲妻