玉川温泉雪崩 県警、旅館関係者聴取 破壊力強い「表層」、新幹線並み速度
産経新聞 2月3日(金)7時55分配信

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雪崩でできた雪の断層=2日、秋田県仙北市 (緑川真実撮影)(写真:産経新聞)
 秋田県仙北市の温泉旅館「玉川温泉」の屋外岩盤浴場で雪崩が発生し、湯治客の男女3人が死亡した事故で、県警は2日、施設の安全管理に問題がなかったか実況見分を行った。一方、今回の大雪で同温泉で発生したとみられる「表層雪崩」は積雪の多い各地でも発生する危険性が高まっているとして、気象庁は警戒を呼びかけた。

【フォト】雪崩で岩盤浴用のテントがつぶれた現場

 県警は、2日の現場周辺の捜索で新たな被害者がないことを確認。岩盤浴場奥の東側斜面で幅40メートル、奥行き60メートルの規模で、表層雪崩が発生したとみている。旅館が設置した大型テントが完全に崩れており、県警は業務上過失致死容疑も視野に旅館関係者から事情聴取を始めた。

 表層雪崩は固く締まった古い雪の上に短時間で積もった新雪が重みなどで崩れ、新雪層が流れ落ちる。

 国土交通省によると、表層雪崩は大雪シーズンの1、2月に起きやすい。時速100~200キロ超と新幹線並みのスピードで落ちるため破壊力も強い。予測も困難とされている。

 雪崩には表層雪崩のほかに、地面上の雪がすべて滑り落ちる「全層雪崩」があり、全層雪崩は暖かくなった春先に多くなっている。

 表層雪崩は、積雪が深く、降雪が多い▽0度以下の気温が続き、吹雪や強風を伴った状態▽斜面に吹きだまりが発生している-場合に起きやすい。気象庁によると、秋田県内では1月30日ごろまで晴れた日が多かったため、日中に気温が上がり、現場でもそれまでに降り積もった古い雪の一部が解けて夜に再び凍結。固く締まった根雪になった。

 低気圧の影響で1月31日以降、大雪となったが、雪崩が発生した1日の気温は現場周辺で0度前後。雪は水分を含み重くなっていたなど表層雪崩が起きる条件がそろっていた。

 国交省は平成4~23年の積雪シーズンに全国で306件の雪崩を確認。2月の発生は最多の129件に上っている。死者150人以上を出した「平成18年豪雪」の17~18年シーズンには計100件が発生した。

 気象庁は、雪が山の尾根から張り出した状態や民家の裏山の斜面が平らになるほど雪が積もった場合には雪崩発生の危険性が高いとして警戒を呼びかけた。

最終更新:2月3日(金)10時2分

秋田県の玉川温泉の旅館で、雪崩が発生して屋外岩盤浴のテントが潰れ、宿泊客3名が死亡した事件について調査が進められているようだ。

暗黒の稲妻