<オリンパス>別の元取締役も関与か 海外「飛ばし先」代表
毎日新聞 1月30日(月)2時30分配信

 オリンパスの損失隠し事件で、隠蔽(いんぺい)を主導したとされる山田秀雄前常勤監査役(67)の部下だった元取締役(54)=昨年12月に辞任=が、損失の簿外処理に利用した海外ファンドの代表を務めていたことが分かった。事件は山田前監査役と菊川剛前会長(70)、森久志前副社長(54)の3人が主に関与したとされるが、同社の取締役責任調査委員会はこの元取締役についても金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)に当たる可能性があると指摘している。

 関係者や調査委員会の報告書によると、元取締役が代表を務めていたのは、英領ケイマン諸島にあるファンド「CentralForestCorp(CFC)」。CFCは、山田前監査役らがオ社の80年代からの財テク失敗で生じた損失を隠す「受け皿ファンド」として、香港や米国を拠点にする国内証券会社OBの中川昭夫氏や佐川肇氏に依頼し、98年3月までに設立されたとされる。

 その後、山田前監査役らは海外銀行に預金し、その預金を担保に融資を受けた上で、オ社の保有する有価証券の買い取り資金としてCFCに流し込んだ。これを元手にCFCは01年3月までに約640億円の含み損を抱えた有価証券をオ社から買い取り、オ社の損失を簿外処理する「飛ばし」に利用された。

 元取締役は山田前監査役と森前副社長の部下で、設立当初からCFCの代表を務め、送金手続きなどの実務を行っていたという。

 CFCに移された損失はその後、英医療機器メーカーや国内ベンチャー3社の買収に絡んで捻出した資金で穴埋めしたとされる。

 昨年12月に金融商品取引法違反容疑でオリンパス本社などを捜索した東京地検特捜部や証券取引等監視委員会も、元取締役らを巡るこうした経緯を把握しているとみられる。

 ◇米司法省などに捜査共助を要請 東京地検特捜部

 東京地検特捜部は日米刑事共助条約に基づき、米司法省に対して捜査共助を要請した。

 ケイマン諸島の司法当局にも外務省を通じて捜査への協力を求めた模様だ。

 オリンパスの損失隠し事件では海外を拠点とする国内証券会社OBらが「指南役」として深く関与したとされ、特捜部と証券取引等監視委員会は、ケイマン諸島のファンドなどの実態解明のため海外当局との協力を本格化させている。

最終更新:1月30日(月)2時30分

オリンパスの損失隠し事件で、隠蔽を主導したとされる山田秀雄前常勤監査役の部下だった元取締役=昨年12月に辞任=が、損失の簿外処理に利用した海外ファンドの代表を務めていたことが分かったようだ。

暗黒の稲妻