経団連、春闘は「ベア論外」「定昇延期・凍結も」
産経新聞 1月23日(月)17時12分配信

 経団連は23日、2012年春闘の経営側指針を示す「経営労働政策委員会報告」を正式に発表した。

 東日本大震災や円高、電力不足など経営環境が急激に悪化したため「ベース・アップの実施は論外」としたほか、昨年は理解を示した定期昇給にも「延期・凍結も含め厳しい交渉を行わざるを得ない」と明記。会見した宮原耕治副会長(経営労働政策委員長、日本郵船会長)は「輸出型製造業の業績は相当厳しく、国内で事業を続けられるかどうかの瀬戸際にある」と強調し、企業存続のため労使が協調すべきだと訴えた。

 報告に定昇の「延期・凍結」を記述したのは03年の「延期」、04年の「廃止」以来。08年のリーマンショック後でもこれらの厳しい表現はなく、宮原会長は「円高や電力不足などのコスト高による空洞化に危機感が強い」と語った。

 報告はまた今年労使が解決すべき課題は「いかに企業を存続させるか」だと強調。春の賃金交渉だけではなく経営環境の悪化に対処するために労使が議論を尽くすべきとして、昨年打ち出した「春の労使パートナーシップ対話」から「春の」を削除している。

 報告をもとに米倉弘昌経団連会長は25日、古賀伸明連合会長とトップ会談し、今年の春闘が本格的にスタートする。

 労働側は昨年に続き定昇維持を求めているが、宮原副会長は「定昇を否定するつもりはないが、いまの状況で賃上げは難しい」と表明。労働側が非正規労働者を含むすべての労働者の給与総額を1%に引き上げるよう要求していることについても「賃上げしても消費ではなく貯蓄に回るのは子育て支援金の例をみればわかる」と指摘した。

 また会見後、記者団に対し「日本企業で雇用を切るのは難しい」と語るなど、賃上げより雇用を優先すべきとの考えを示した。

最終更新:1月23日(月)18時39分

経団連は23日、2012年春闘の経営側指針を示す「経営労働政策委員会報告」を 正式に発表したようだ。

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