新卒一括採用の消滅!? ユニクロが検討する「大学1年生採用」の衝撃
週プレNEWS 12月8日(木)13時51分配信
12月1日、2013年春卒業予定の大学生の就職活動が解禁となった。震災の影響で、12年卒の内定率は10月1日時点で60%を下回っている。
そんななか、ユニークな採用方式が注目を集めている。カジュアル衣料最大手「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングがこれまでの新卒一括採用を見直し、「採用時期を通年とする」「選考する学年も問わない」とする新方式導入を検討しているというのだ。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長によれば、「一括採用だと同じような人ばかりになる。例えば、大学1年生の時点で採用を決め、在学中は店舗でアルバイトをしてもらい、卒業と同時に店長になってもらうこともあり得る」
大学でダラダラ4年間過ごすよりも、1年生の時から「どういう仕事をするか考え、早くから決められる」(柳井氏)メリットがあるという。
この採用方法、就活のプロはどう見ているのか? 人材コンサルタントの常見陽平氏はこう語る。
「予測していたことが起きるという印象です。新卒採用の自由化、多様化、求められる人材の高度化は止まらない。一括採用に代わって、企業が学生を育てていく新しい仕組みが生まれると思っていました。ユニクロにすれば、在学中からアルバイトをしてもらうことで自社に合うよう育成した人材を採用できる。学生も早くから内定先をひとつ確保し、就職先の選択肢が増えるのだと捉(とら)えることができます」
人事コンサルタント会社「ブレーンサポート」の木村俊良氏も高評価だ。
「大手企業の場合、採用スタートから研修終了までひとり当たり100万円以上の費用がかかります。学生のうちから店舗でバイトをしてもらい、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で育成すれば、採用や研修のコストが大幅にカットできます。どこかの企業がいずれは導入するだろうなと思っていましたが、やはりユニクロかという感じ」
アパレルビジネスに詳しい「ジェネックスパートナーズ」の河合拓氏も言う。
「時給が100円違うだけで他社に転職してしまうほど、アパレル業界は人材の流動性が激しい。そのため、企業間で仁義なき人材争奪戦が起きています。その点、大学1年時から卒業時に使える『入社チケット』を渡しておけば、4年間は辞めない。ユニクロがどんな条件を提示するのかは不明ですが、例えば、卒業1年目からいきなり店長に抜擢され、頑張り次第では年収1000万円も夢じゃないよとでもなれば、学生だってやる気になると思いますよ。優秀な学生が集まってくるはずです」
この「大学1年生採用」、他社にも広がるのだろうか?
「拡大しなければ困りますね。経団連は『学生の本分は勉強』と言って、今年の3年生から就活サイトのオープンや説明会のスタート時期を遅らせました。しかし、多くの大学3年生は学業に打ち込んでいるわけではないし、就活の準備がきちんとできているわけでもない。そこで、ユニクロは世間の流れに逆行する『大学1年生採用』をしようとしているのです。これは経団連に対するアンチテーゼ。『新卒一括採用なんてやってたら、日本の仕事はみんな優秀な外国人にもっていかれちまうぞ!』と一石を投じたのです。例えば楽天やパナソニックあたりが続けば、この流れは一気に広まるのでは」(前出・木村氏)
しかし、学業に専念すべき大学生がアルバイトばかりするのは、マイナスも大きいのでは?
「ユニクロも学生に卒業してもらわなければなりませんから、むちゃくちゃに働かせるなんてことにはならないでしょう。企業と学生、互いに遠慮が働いて、むしろ学生がきちんと勉強する流れになることを期待できます」(前出・常見氏)
なるほど。卒業後の進路が明確な分、将来につながる勉強には熱心になるかもしれない。
しかし、学生時代とは勉強やバイトをするだけの期間ではない。社会人になると難しい長期の旅行に行くのもアリだし、ひたすらモテだけを考えてそのためだけに生活するのも貴重な経験。そうした大学でもバイト先でもない場所で経験を積みたいと思っている学生もいるはず。ユニクロ方式が広まったとしたら、彼らにとっては就職しづらい世の中になるのかもしれない。この新方式、学生にとっては吉と出るか、凶と出るか。
最終更新:12月8日(木)13時51分
なるほどね。
これが吉と出るか凶と出るか。
暗黒の稲妻
週プレNEWS 12月8日(木)13時51分配信
12月1日、2013年春卒業予定の大学生の就職活動が解禁となった。震災の影響で、12年卒の内定率は10月1日時点で60%を下回っている。
そんななか、ユニークな採用方式が注目を集めている。カジュアル衣料最大手「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングがこれまでの新卒一括採用を見直し、「採用時期を通年とする」「選考する学年も問わない」とする新方式導入を検討しているというのだ。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長によれば、「一括採用だと同じような人ばかりになる。例えば、大学1年生の時点で採用を決め、在学中は店舗でアルバイトをしてもらい、卒業と同時に店長になってもらうこともあり得る」
大学でダラダラ4年間過ごすよりも、1年生の時から「どういう仕事をするか考え、早くから決められる」(柳井氏)メリットがあるという。
この採用方法、就活のプロはどう見ているのか? 人材コンサルタントの常見陽平氏はこう語る。
「予測していたことが起きるという印象です。新卒採用の自由化、多様化、求められる人材の高度化は止まらない。一括採用に代わって、企業が学生を育てていく新しい仕組みが生まれると思っていました。ユニクロにすれば、在学中からアルバイトをしてもらうことで自社に合うよう育成した人材を採用できる。学生も早くから内定先をひとつ確保し、就職先の選択肢が増えるのだと捉(とら)えることができます」
人事コンサルタント会社「ブレーンサポート」の木村俊良氏も高評価だ。
「大手企業の場合、採用スタートから研修終了までひとり当たり100万円以上の費用がかかります。学生のうちから店舗でバイトをしてもらい、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)で育成すれば、採用や研修のコストが大幅にカットできます。どこかの企業がいずれは導入するだろうなと思っていましたが、やはりユニクロかという感じ」
アパレルビジネスに詳しい「ジェネックスパートナーズ」の河合拓氏も言う。
「時給が100円違うだけで他社に転職してしまうほど、アパレル業界は人材の流動性が激しい。そのため、企業間で仁義なき人材争奪戦が起きています。その点、大学1年時から卒業時に使える『入社チケット』を渡しておけば、4年間は辞めない。ユニクロがどんな条件を提示するのかは不明ですが、例えば、卒業1年目からいきなり店長に抜擢され、頑張り次第では年収1000万円も夢じゃないよとでもなれば、学生だってやる気になると思いますよ。優秀な学生が集まってくるはずです」
この「大学1年生採用」、他社にも広がるのだろうか?
「拡大しなければ困りますね。経団連は『学生の本分は勉強』と言って、今年の3年生から就活サイトのオープンや説明会のスタート時期を遅らせました。しかし、多くの大学3年生は学業に打ち込んでいるわけではないし、就活の準備がきちんとできているわけでもない。そこで、ユニクロは世間の流れに逆行する『大学1年生採用』をしようとしているのです。これは経団連に対するアンチテーゼ。『新卒一括採用なんてやってたら、日本の仕事はみんな優秀な外国人にもっていかれちまうぞ!』と一石を投じたのです。例えば楽天やパナソニックあたりが続けば、この流れは一気に広まるのでは」(前出・木村氏)
しかし、学業に専念すべき大学生がアルバイトばかりするのは、マイナスも大きいのでは?
「ユニクロも学生に卒業してもらわなければなりませんから、むちゃくちゃに働かせるなんてことにはならないでしょう。企業と学生、互いに遠慮が働いて、むしろ学生がきちんと勉強する流れになることを期待できます」(前出・常見氏)
なるほど。卒業後の進路が明確な分、将来につながる勉強には熱心になるかもしれない。
しかし、学生時代とは勉強やバイトをするだけの期間ではない。社会人になると難しい長期の旅行に行くのもアリだし、ひたすらモテだけを考えてそのためだけに生活するのも貴重な経験。そうした大学でもバイト先でもない場所で経験を積みたいと思っている学生もいるはず。ユニクロ方式が広まったとしたら、彼らにとっては就職しづらい世の中になるのかもしれない。この新方式、学生にとっては吉と出るか、凶と出るか。
最終更新:12月8日(木)13時51分
なるほどね。
これが吉と出るか凶と出るか。
暗黒の稲妻