「深層崩壊」解明へ 奈良県、紀伊半島豪雨受け
産経新聞 12月2日(金)15時9分配信

 台風12号による紀伊半島豪雨で、表層だけでなく岩盤も崩れ落ちる深層崩壊とみられる大規模な土砂崩落が各地で発生したことを受け、奈良県は深層崩壊のメカニズムを解明するための独自調査を年明けにも開始する。豪雨被害の発生から2日で3カ月。深層崩壊が災害危険箇所を周知する土砂災害防止法の対象外のため、住民の安全を守るには深層崩壊の早急な調査と解明が不可欠と判断した。

 土砂災害防止法は、危険箇所の周知や建築制限などを目的に危険度に応じて警戒区域を設定し、住民の生命に関わる危険性がある地区を特別警戒区域として都道府県知事が指定する法律。同県は現在、警戒区域約4500カ所、特別警戒区域28カ所を指定している。

 しかし、同法は予知が可能な表層崩壊などが対象で、発生メカニズムが未解明の深層崩壊は対象外としている。国土交通省などが昨年、「深層崩壊推定頻度マップ」を公表しているが、実情は過去の深層崩壊の発生事例をもとに頻度を推定するしかないという。

 また、深層崩壊が起きたとみられ、多数の犠牲者が出た同県十津川村野尻、五條市大(おお)塔(とう)町宇井では川を挟んだ対岸の山が崩れ、土砂で埋まって流れが変わった川や大量の土砂が住宅を押し流した。しかし、警戒区域の指定は住宅と川を挟んだ対岸に山がある場合は想定されていなかった。

 こうした現状を踏まえ、同県は深層崩壊の発生メカニズムや影響範囲を把握するため、国交省や砂防、地滑りなどの専門家と協力して今回の崩壊状況を詳しく調査することにした。

 調査はまず、発生時間の特定や当時の雨の降り方も調べて被害パターンを突き止める。奈良県は「調査で得られた情報を今後の住民の避難行動に役立てたい」としている。

最終更新:12月2日(金)15時31分

台風12号による紀伊半島豪雨で、表層だけでなく岩盤も崩れ落ちる深層崩壊とみられる大規模な土砂崩落が各地で発生したことを受け、奈良県は深層崩壊のメカニズムを解明するための独自調査を年明けにも開始するそうだ。

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