<岡山の古墳>幾何学模様の石のついたて、取り出し作業開始
毎日新聞 11月22日(火)14時41分配信

 岡山市北区新庄下の国史跡「千足(せんぞく)古墳」の石室内で、幾何学模様が刻まれた石のついたて「石障(せきしょう)」を外部に取り出す作業が22日始まった。模様の風化が進んでいるためで、劣化した装飾を取り出すのは奈良県明日香村の高松塚古墳、キトラ古墳の壁画に続き国内で3例目。岡山市教委は12月中旬にも石障を取り出し、修復作業を進めたいとしている。

 千足古墳は5世紀の前方後円墳で全長74メートル。北部九州でみられる初期の横穴式石室と同じ構造で、中四国では初の確認例。石障には「直弧文(ちょっこもん)」と呼ばれる模様が刻まれている。市教委は87年ごろ、水没した状態の石障を確認し、保存状態に問題はないとしてそのままにした。しかし、09年10月に岡山大が調査でたまった水を抜いた際、直弧文の一部の剥落が見つかり、考古学の専門家は「20年以上も現状を確認せず放置していた」と保存計画の不備を指摘していた。市教委は今年3月、取り出しを決定。10月には石室の実物大の小屋を作り、石障と同じ大きさ、重さの模型で搬出実験を行うなど準備を進めてきた。

 この日は石障の剥落を防ぐため、作業員2人が石室内に入り、横162センチ、縦53センチ、厚さ13センチの石障に、約10センチ四方のレーヨン紙を樹脂で貼り付けた。市教委では今後、石室内にスチール製の枠を組むなどしたうえで、石障を古墳の天井部分からつり上げて搬出する。【江見洋】

最終更新:11月22日(火)16時57分

作業中くれぐれも事故の無い事を願っておりますよ。

暗黒の稲妻