「11条件くらいに煮詰ってきた」角川会長、アマゾン電子書籍の交渉を認める
BLOGOS 編集部 11月8日(火)18時59分配信
角川グループホールディングスの取締役会長の角川歴彦氏は11月8日、アマゾンの電子書籍端末「キンドル」でのサービス開始に向けて、同社と交渉していることを明らかにした。東京都渋谷区内のニコニコ本社で津田大介氏の司会によるトークセッションが開かれた際に記者からの質問に答えた。
国内の中堅出版社からは「こんなの論外だ!」と、アマゾンの契約書に激怒する声も出ているが、角川氏は、アマゾン側が「呑めない条件を突きつけているということはあり得ない」と話しており、一年間に及ぶ話し合いの結果、「11条件くらいに煮詰ってきた」と交渉が最終段階に及んでいることを打ち明けた。
純文学からオタク向けまで多くのコンテンツを抱える角川グループがアマゾンとの契約交渉が進んでいることが明らかになったことは、出版界に大きな波紋を呼びそうだ。【写真・文:安藤健二(BLOGOS編集部)】
「1年間交渉している」
―先ほど、キンドル・ファイアが電子書籍の端末として非常に優れているというお話が角川会長から出ましたが、アマゾンが国内の出版社にキンドルの契約締結を求めていて、出版社によっては非常に強硬な条件を出されて戸惑っているというところもあるようですが、アマゾンとの契約についてはどのようにお考えでしょうか?
角川氏:アマゾンも商売だからね。いろんな条件を出してるんだと思うんですよ。画一的に出版社に強硬な条件……呑めない条件を突きつけている、なんてことはあり得ないと思うんですよ。アマゾンは今、出版各社の本をあれだけ売っているわけですから、信頼する土壌がすでに出来てるんですよね。ですから、新聞の記事とか偏った判断をしない方がいいと思います。
たとえば「価格を押し付けてる」と言われているけど、実際に著作権法をやっている文化庁も独占禁止法の当局も「電子書籍で出版社の価格決定権はありますよ」とは誰も言ってくれてないわけですよ。だからアマゾンが「価格決定は私達にやらせてください」って言えば、今の法律でいえばね、それは仕方がないことですよね。ドイツなんかもそうなっているという話だから、「電子書籍も価格決定権を欲しい」という出版社の価格決定権が認められれば、それでいいんであって。それまでの間はアマゾンが「私達で持ちたい」という言っていいんだと思います。それに対して出版社側が「それは困る」「ああして欲しい」とかいろんな条件を話し合えばいい。「(出版社が価格決定権を持つ)それ以外にあり得ない」ってことを言ってるわけじゃないですね。
―話し合っていく余地があると?
角川氏:もちろんです。
津田氏:今のは角川会長の大人なご回答だったと思うんですけど、今、アマゾンと交渉のテーブルについてるかどうかについては?
角川氏:僕はねー、かなり着いてると思う。客観的に見て、アマゾンがキンドル・ファイアを(国内で)年内に出すか出さないかが一番の関心事だけど、そのときに出版社との話し合いが果たされてなくてね、キンドル・ファイアを出すはずがないですよね。
津田氏:ひざ詰めで交渉している段階であると。ちなみに角川グループの交渉が進んでるかどうかは聞いちゃってもいいんですか?
角川氏:僕は今、1年間、交渉していて。ハードな交渉をずっとやってますよ。僕は当事者として、現場の諸君に「今、どうなってるの?」って聞いてて、「これは頑張らないといけないね」「これは譲っていいね」とか(言ってて)、今、11条件くらいに煮詰ってきましたよ。これは、かなりのところまで来ていると。ただ、この11条件がなかなか厳しい。出版社としてはなかなか飲み込めないなっていうのも入ってます。全部、向こうの言いなりになることはできない。そういう風な中で、やっぱり話し合ってると、解決の糸口が見えてくるんですよ。
津田氏:これ、結構、日経新聞とかでも大きくなりそうな記事のような気がするんですけど!
角川氏:そんなことないですよ(笑)。まだ契約してないんだから。
―ある中堅出版社からは「販売価格の55%をアマゾンが得る」という契約を求められているという話があったのですが、そういったような提示があったのか、またそのようなパーセンテージは出版界にとって法外な割合なのか、角川会長のご意見を伺いたいのですが
角川氏:僕の認識ではね、55%というのは全てアマゾンに(電子書籍化を)依頼すると55%ということだと思うんですよ。当然、出版社は自分の責任で電子書籍化をしなくちゃいけないと思うんですよ。デジタルコンテンツを。
津田氏:僕も聞いてる範囲では、アマゾンに全部任せた場合は、アマゾン側の取り分があって。アマゾンで配信できる形まで自分達でオーサリングした場合には当然安くなるという。そういう柔軟性のある契約になってると思います。
角川氏:そういうことなんだと思うよ。
最終更新:11月9日(水)12時59分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻
BLOGOS 編集部 11月8日(火)18時59分配信
角川グループホールディングスの取締役会長の角川歴彦氏は11月8日、アマゾンの電子書籍端末「キンドル」でのサービス開始に向けて、同社と交渉していることを明らかにした。東京都渋谷区内のニコニコ本社で津田大介氏の司会によるトークセッションが開かれた際に記者からの質問に答えた。
国内の中堅出版社からは「こんなの論外だ!」と、アマゾンの契約書に激怒する声も出ているが、角川氏は、アマゾン側が「呑めない条件を突きつけているということはあり得ない」と話しており、一年間に及ぶ話し合いの結果、「11条件くらいに煮詰ってきた」と交渉が最終段階に及んでいることを打ち明けた。
純文学からオタク向けまで多くのコンテンツを抱える角川グループがアマゾンとの契約交渉が進んでいることが明らかになったことは、出版界に大きな波紋を呼びそうだ。【写真・文:安藤健二(BLOGOS編集部)】
「1年間交渉している」
―先ほど、キンドル・ファイアが電子書籍の端末として非常に優れているというお話が角川会長から出ましたが、アマゾンが国内の出版社にキンドルの契約締結を求めていて、出版社によっては非常に強硬な条件を出されて戸惑っているというところもあるようですが、アマゾンとの契約についてはどのようにお考えでしょうか?
角川氏:アマゾンも商売だからね。いろんな条件を出してるんだと思うんですよ。画一的に出版社に強硬な条件……呑めない条件を突きつけている、なんてことはあり得ないと思うんですよ。アマゾンは今、出版各社の本をあれだけ売っているわけですから、信頼する土壌がすでに出来てるんですよね。ですから、新聞の記事とか偏った判断をしない方がいいと思います。
たとえば「価格を押し付けてる」と言われているけど、実際に著作権法をやっている文化庁も独占禁止法の当局も「電子書籍で出版社の価格決定権はありますよ」とは誰も言ってくれてないわけですよ。だからアマゾンが「価格決定は私達にやらせてください」って言えば、今の法律でいえばね、それは仕方がないことですよね。ドイツなんかもそうなっているという話だから、「電子書籍も価格決定権を欲しい」という出版社の価格決定権が認められれば、それでいいんであって。それまでの間はアマゾンが「私達で持ちたい」という言っていいんだと思います。それに対して出版社側が「それは困る」「ああして欲しい」とかいろんな条件を話し合えばいい。「(出版社が価格決定権を持つ)それ以外にあり得ない」ってことを言ってるわけじゃないですね。
―話し合っていく余地があると?
角川氏:もちろんです。
津田氏:今のは角川会長の大人なご回答だったと思うんですけど、今、アマゾンと交渉のテーブルについてるかどうかについては?
角川氏:僕はねー、かなり着いてると思う。客観的に見て、アマゾンがキンドル・ファイアを(国内で)年内に出すか出さないかが一番の関心事だけど、そのときに出版社との話し合いが果たされてなくてね、キンドル・ファイアを出すはずがないですよね。
津田氏:ひざ詰めで交渉している段階であると。ちなみに角川グループの交渉が進んでるかどうかは聞いちゃってもいいんですか?
角川氏:僕は今、1年間、交渉していて。ハードな交渉をずっとやってますよ。僕は当事者として、現場の諸君に「今、どうなってるの?」って聞いてて、「これは頑張らないといけないね」「これは譲っていいね」とか(言ってて)、今、11条件くらいに煮詰ってきましたよ。これは、かなりのところまで来ていると。ただ、この11条件がなかなか厳しい。出版社としてはなかなか飲み込めないなっていうのも入ってます。全部、向こうの言いなりになることはできない。そういう風な中で、やっぱり話し合ってると、解決の糸口が見えてくるんですよ。
津田氏:これ、結構、日経新聞とかでも大きくなりそうな記事のような気がするんですけど!
角川氏:そんなことないですよ(笑)。まだ契約してないんだから。
―ある中堅出版社からは「販売価格の55%をアマゾンが得る」という契約を求められているという話があったのですが、そういったような提示があったのか、またそのようなパーセンテージは出版界にとって法外な割合なのか、角川会長のご意見を伺いたいのですが
角川氏:僕の認識ではね、55%というのは全てアマゾンに(電子書籍化を)依頼すると55%ということだと思うんですよ。当然、出版社は自分の責任で電子書籍化をしなくちゃいけないと思うんですよ。デジタルコンテンツを。
津田氏:僕も聞いてる範囲では、アマゾンに全部任せた場合は、アマゾン側の取り分があって。アマゾンで配信できる形まで自分達でオーサリングした場合には当然安くなるという。そういう柔軟性のある契約になってると思います。
角川氏:そういうことなんだと思うよ。
最終更新:11月9日(水)12時59分
記事のみ紹介。
暗黒の稲妻