<ノーベル文学賞>スウェーデンの詩人に
毎日新聞 10月6日(木)20時36分配信


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ノーベル文学賞受賞が決まったトーマス・トランストロンメル氏=AP
 スウェーデン・アカデミーは6日、11年のノーベル文学賞を、スウェーデンの国民的詩人トーマス・トランストロンメル氏(80)に授与すると発表した。同アカデミーは授賞理由として「凝縮された半透明なイメージを通して、現実への新しい道筋をつけた」と述べた。詩人への授賞は96年のビスワバ・シンボルスカさん(ポーランド)以来。スウェーデン人の文学賞受賞は、74年の作家E・ユーンソン(故人)ら以来。

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 授賞式は12月10日、ストックホルムで開かれ、賞金1000万スウェーデン・クローナ(約1億1000万円)が贈られる。

 ◇イメージ豊か「隠喩の巨匠」…トランストロンメル氏

 1931年ストックホルム生まれ。父はジャーナリスト、母は教師。ストックホルム大学に学び、心理学者として若者の更生施設などで働いた。

 54年の最初の詩集「17編の詩」で高い評価を受け、以後「路上の秘密」(58年)、「半ば出来上がりの天国」(62年)などで神秘的世界をイメージ豊かに描いた。自然描写に優れ、独創的なメタファーを駆使し、「隠喩の巨匠」と呼ばれる。

 スウェーデンの戦後を代表する詩人として知られ、ロシアのヨシフ・ブロツキー(ノーベル文学賞受賞者)ら外国の詩人にも影響を与えた。作品は60以上の言語に翻訳され、91年にスウェーデン・アカデミー賞を受けるなど国内外での受賞も多い。

 90年秋、脳卒中で倒れ、言葉が不自由になったが、96年春に出版した詩集「悲しみのゴンドラ」(邦訳は思潮社)では俳句の詩型にも挑戦するなど健在ぶりを見せた。他に回想記「記憶が私を見ている」(93年)がある。

 トランストロンメル氏は受賞の知らせに「とてもよかった」と2語を絞り出し、喜びを表したという。【大井浩一、佐藤由紀】

最終更新:10月7日(金)0時56分

素直におめでとうございます。

暗黒の稲妻