アップル「iPhone」イベント、招待状が示唆するのは--発表内容を読み解く
Josh Lowensohn (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル 2011/09/30 07:30

 いつも通りの簡潔さにもかかわらず、米国時間9月27日の朝に届いたAppleのイベント招待状は思いを巡らせる部分が多かった。

 言うまでもなく、「Let's talk iPhone(iPhoneを話そう)」というフレーズはAppleが新しいiPhoneを発表すると説明している。問題は、新しい電話機が2機種あるかどうかで、その場合、同社にとって初の試みとなる。


来週のイベントに関するAppleの招待状。
提供:CNET
 同じく不明なのが、Appleはホリデーシーズンを前に「iPod」シリーズのアップデートを行う予定がないのか、そして「Let's talk iPhone」のフレーズは、根強くうわさされていたAppleの音声コントロールテクノロジの強化も指しているのかどうかだ。

 すべては来週、米国太平洋時間10月4日午前10時きっかりにスタートするAppleのイベントで判明するだろう。その一方、招待状から見て取れることもいくつかある。


1種類か2種類か

 招待状には不在着信/留守番電話があることを示すアイコンが表示されているが、そこにはただ1という数字が入っている。これが示唆するのは、新しい端末は2種類ではなく1種類だけということなのだろうか。2種類であるといううわさは以前からあったが、新しい端末の登場までにここ数カ月で再び話題に上っていた。

 Deutsche Bankのアナリストは6月、Appleは2011年中の発売に向けて、新たなハイエンドモデルと、わずかな改良を加えた「iPhone 4」という2つの端末の設定に取り組んでいると語っていた。そしてその数日後、ベトナムのサイトTinhteにその可能性を示唆する証拠となる、プラスチックのiPhone 4ホワイトモデルのスクリーンショットが掲載された。同サイトは、iPhone 4を公式発表前に手に入れたところでもある。

 最近では、中国のキャリアと進められている契約の一環として2種類のiPhoneが発売され、新しいiPhoneの発売の暁にはこのキャリアが取り扱う予定だとささやかれていた。そこに、J.P. MorganのアナリストであるMark Moskowitz氏が執筆し話題を呼んだレポートも加わり、話がややこしくなる。レポートで同氏は、新型iPhoneと同時により低コストで性能が向上したiPhone 4も発売され、2010年発売モデルのiPhone 4とあわせてAppleのiPhoneラインアップは3機種になると述べた。そして先週、元米副大統領のAl Gore氏が新しいiPhone(「iPhones」と複数形で表現)が2011年10月に登場すると語ったことも論争に拍車をかけた。

 送られた招待状を受けてこの話題に加わってきたPiper JaffrayのアナリストであるGene Munster氏によれば、Piper JaffrayはAppleが2種類の端末を発売してくるとは思わず、既存の端末の値下げを行いつつ「iPhone 5」を発売してくると考えているという。

 「iPhoneのローエンドモデルが出るとは思わない」とMunster氏は投資家向けのメモで述べている。「むしろ、Appleは最新デバイス(iPhone 5)を奨励金付きで199ドル/299ドル、前の世代のデバイス(iPhone 4あるいは「iPhone 4S」)を99ドルで販売してくるのではないかと予想する」(Munster氏)

 これは、「iPhone 3G」と「iPhone 3GS」をより新型の端末と一緒に販売するというAppleがiPhoneで行ってきた販売戦略と合致する。

iPodはどこへ

 特筆すべきは、iPodに関する記述が一切見られないことだ。この数年間、Appleは9月にイベントを開催して新たな製品ラインを発表している。だが、iPodシリーズの主役は、事実上電話機能のないiPhoneともいうべき「iPod touch」のままだ。


AppleのiPodラインアップ。
提供:Donald Bell/CNET
 実際のところ、iPhoneの発売以後、iPodはiPhoneよりも後回しとなり、また、Appleの総売上高に占める販売の落ち込みは回復の見込みを全く見せていない。

 とはいえ、iPodシリーズはいまだに売れ続けている。Appleの第3四半期(業績発表された直近の四半期。Appleの第4四半期は先週終了)でiPodの販売台数は754万台、前年同期比で20%の減少となっている。一方、同四半期におけるiPhoneの販売台数は前年同期比142%増の2034万台だった。

 iPodに関してAppleが打てる手は残されているのだろうか。iPodは調整や改善とともに毎年軽量化されてきたが、ここ数年、Appleはデザインのやりくりに行き詰まっている。例えば、「iPod shuffle」は使いづらいボタンなしのデザインからボタン式に戻り、「iPod nano」は全面的な見直しによってタッチスクリーンが搭載され、かつては大々的にうたわれたビデオ録画のようないくつかの機能が削除された。

 AppleはiPod touchでも壁にぶつかっている。この製品はアップデートするごとにiPhoneの機能が少しずつ加わっているが、iPhone自体よりも魅力的な製品となるには十分ではない。また、iPod touchの発売時期はiPhoneの発売に合わせて選択する必要もあり、来週のイベントでiPod touchのアップデートが一緒に発表されるならば、物事はもっと簡単になる。

音声コントロール2.0?

 今もっとも重要な両義語である「Let's talk iPhone」のフレーズは、明らかに読み取れることとは別に、Appleが長くうわさされていた音声コントロール刷新の発表を行うことを示唆しているとも推測できる。音声認識ソフトウェアはiPhoneではiPhone 3GSから搭載され、iPodにも導入されている。


Appleの現在の音声コントロール機能では、音楽を再生したり電話をかけたりすることができる。
提供:Apple
 このうわさはここ数カ月過熱している。2011年になってTechCrunchは、最先端の音声テクノロジを「iOS 5」に提供するとみられるNuanceとの連携をAppleが進めており、次のiPhoneではいくつかの追加要素もあるだろうと報じた。だが、6月にiOS 5が発表された時には音声機能はどこにも見当たらなかった。

 先日の9to5Macのレポートでは、iOSのソフトウェアキーボード内にマイクアイコンが配置されているスクリーンショットが掲載された。レポートではまた、音声機能によってユーザーはアプリケーションを起動し、声で端末内をナビゲート可能になるだろうとしている。

 Appleが2010年4月にSiriを買収したことを考えると、このうわさは特に興味深かった。Siriは自然言語処理やセマンティックウェブ検索、音声認識を組み合わせて音声クエリをウェブ検索ベースのタスクに変換する技術を有しており、Appleに買収される前には、音声コマンドを利用してタクシーやレストランの予約などを行うアプリケーションを開発した。

 モバイルデバイス向けの音声認識テクノロジでAppleがGoogleに水をあけられていることを考えると、この動きへの期待は高い。Googleは2011年1月、「Android OS」のアップデートの一環としてAndroidのキーボードに音声認識テクノロジを追加し、ユーザーの声をメッセージやウェブ検索の文字として変換したり、特定のコマンドでのアプリケーション起動を可能にしたりしている。それに比べAppleの音声コントロールは、2009年の導入以来ほとんど変化は見られていない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

(記事元:cnet japan)
URL:http://japan.cnet.com/news/commentary/35008190/

新発表されるのが待ち遠しいなぁ。

暗黒の稲妻